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俺の旅はまだまだ続く。かも……?





 どうにかこうにか五つの宝珠を手に入れて、俺たちは魔王の住む城へとやって来た。


 城の奥に進むと、見えてきたのは大きな赤い扉。ゴゴゴゴと音を立てながら中に入ればそこには魔王が居て、伝説の剣を手に持ったまま椅子にどっかりと腰を降ろしている。



「貴様らか侵入者というのは。よくぞここまで来た。褒めてやろう」



 魔王は立ち上がり、近付いてくる。剣を構えて、剣先を俺たちの方へ向ける。これ以上魔王の好きにはさせないと俺たちも武器を構えた。


 魔王が世界に存在している理由。それは、誰かが一人でも世界を壊したいと、破壊したいとそう願った時、世界の中心に眠ると言われている(コア)から呪石(じゅせき)と呼ばれる邪悪な石が生み出されて、その石から魔王が誕生するからだ。



「我は、貴様ら下等な生物の呪いから生まれた存在。貴様らから憎悪の心が消えない限り、我は復活を繰り返す。我を倒すなんて事は絶対に不可能なのだよ!」



 魔王は剣を振り下ろして攻撃を続ける。魔王の猛攻撃が続いた事によってユーイとメイは力尽きて俺の背後で倒れていた。


 思えば、旅をしていく中で、魔王の存在が影響して人々が次々と狂っていく姿を何度も見たような気がする。この世界は淘汰されなけれぱならないと"魔王教"なる魔王信者たちが世界に向けて戦争を仕掛けようとしている所も目にした事があった。その憎悪と怒りが積もりに積もって核に溜まり、やがて呪石が生み出され、魔王が生まれる。


 俺たち人間の憎悪がなくならない限り、魔王は復活を繰り返して、何度も世界を脅かし続ける。人間に憎悪や怒りの感情をなくさせるなんて無理だ。




 ………それでも。




「それでも俺はお前を倒す! この手で!」

「……何もわからぬ人間だ。よかろう。そろそろトドメを刺してやろうか」



 俺の武器と魔王の持つ伝説の剣が向かい合う。互いに足を蹴って走り出し、同時に剣を振り上げた。


 剣が身体を貫く。倒れたのは俺の方だった。腹部からは大量の血が流れて、その場に倒れる。メイの俺の名前を叫ぶ声が聞こえた。




+




 ……………。


 ……………。



 声が聞こえる。



 目を覚ますと、目の前には五つの宝珠と俺たちに宝珠の事を教えてくれた占い師の女性が立っていた。女性の正体はなんと女神様だった。


 女神様の言葉に立ち上がって、宝珠を見る。声は宝珠から聞こえてきていた。私たちの力を使って。そう言って、五つの宝珠は俺の身体の中に入ってくる。力がみなぎってきた。



「!?」



 目を覚まして立ち上がる。血は止まっていた。俺の身体は光のオーラに包まれていて、五つの宝珠の力がすべて俺の力となりユーイとメイが受けた傷もみるみるうちに治していく。


 魔王は驚いていた。しかしそれも束の間、魔王は再び剣を振りかざして攻撃をしてくる。その攻撃を防ぎ、俺は魔王に反撃した。さすが宝珠の力。圧倒的な力で魔王を吹き飛ばす。



「ぐあぁっ!? な、なんだ、この力は……っ、まさか、あの女か!」



 魔王は剣を構え直して突進してくる。俺は武器を構えて、そこに宝珠の力を集中させた。虹色の光が武器に纏わり付く。


 魔王と俺は、同時に叫んで武器を振り上げる。今度は、魔王が倒れる番となった。



「ぐっ、……ふ、……っ!」



 口から大量の血を吐く魔王。

 魔王の身体が徐々に薄くなっていった。



「っ、こ、ここで我を倒したとしても、愚かな人間が居る限り、我は何度も復活する…っ、!」

「お前が何度復活しようと、この世界に俺が居る限り俺はまたお前を倒す。絶対に」

「……………、ふっ、ご苦労な、……事、だ」



 そう言って、魔王は消えた。

 魔王は居なくなった。俺たちは勝ったんだ。


 喜んだのも束の間、俺は自身にある力をすべて使い果たしてしまったためその場に勢いよく倒れる。ユーイとメイはそんな俺を見て慌てて駆け寄ってきて、急いで魔王の城を離れた。




+



 魔王は勇者によって倒され、世界は救われた。そのニュースが世界中に伝えられ、世界は歓喜した。


 勇者の名前は公表されなかっため、誰も俺が勇者だという事は知らない。知られたら知られたで大変だったと思うから、これはこれでいい。



「ユーイたちはこれからどうするんだ?」

「俺たちは故郷に帰るよ。そしたらまた二人で旅に出る」

「そうか」

「あのさ、もし良かったら貴方も私たちと一緒に行かない?」

「………ごめん。俺はもう旅はしないって決めたんだ。それに、もしまた魔王がこの世界に現れたら、今度は楽に倒せるように鍛えておかないと」

「…………、そっか。うん。そうだよね」

「……メイ。要相談で、残りたいんなら残ってもいいんだぞ?」

「っ、……な、何言ってるのお兄ちゃん! 私は残らないわ! お兄ちゃん一人にしたら心配だし!」



 眉をひそめて、メイは怒る。


 はははは。と笑い合って、俺たちは別れを告げた。また会おう。そう心に誓って。




+



 こうして、俺の旅は一先ず終わりを迎えた。


 突然の旅で最初は仕方なくだったけれど、旅を続けていくうちになんというか、……あ、いや、違う。やっぱり俺の旅は最初から最後まで仕方なくだ。



 そして俺は、家に戻る。


 旅に出る前の、いつもの生活を再開するために……。





「………で、何で俺の家に居るんですか女神様?」

「行くとこがないからよ。私、ホームレスなの」





すぐに終わる勇者の旅。

これにておしまいです。


ぶっ飛びストーリーで訳がわからなかったかもしれません。すみません。


"この話面白い!"と思った方が居ましたら、評価お願いします。



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[良い点] 最後の終わり方が悲しすぎるけど、面白かったです。 この小説がきっかけで、勇者物を書いてみようか悩みました。
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