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ヨーロッパの覇者が向かうは異なる世界  作者: 鈴木颯手
第1章【転移と戦争介入】
13/14

第13話「中小国家群1」※

神聖歴1222年10月2日 バルパディア 北方領 領都アラバヴィル

 北方領はバルパディアの総督領で最も広大な領土を有している。これは北部にはゼルシアやミティアなどの脅かす強敵が存在している為、自分たちで軍隊を作り、養うことで臨機応変な対応を期待しているためであった。それゆえに北方領は北部の守りであると同時に侵略時の先鋒を務める事に重要な場所であった。

 それ故に、大総督アララシタスは不満であった。近年、バルパディアの北伐は行われていない。バルパディアは建国当時からダルクルス大陸の統一を国是としているにも関わらず、宥和政策と言っても可笑しくはないアーシア公国の一件やゼルシアとの同盟。ミティアとの関係改善を行っていた。

 統一をする上で滅ぼすであろう国々と関係を深める。それがアララシタスには許せなかった。バルパディアによる大陸統一を夢見てここまで突き進んできたアララシタスは遂に自分からきっかけを作ろうと独断で動き出した。


「これより我らは中小国家群を滅ぼし、その領土を併合する! 北伐の開始である! 勇猛なるバルパディアの戦士たちよ! 進めぇい!」

「「「「「ウオォォォォォォォォォォッ!!!!」」」」」


 アララシタスはゼルシア、ミティアなどに対する守備兵以外の全軍5万を用いて中小国家群に侵攻を開始した。最初に侵攻を受けたのは領土を接するソフ王国でその日のうちに王都を含む全ての重要拠点が陥落した。と言うのも中小国家群において万の軍勢を動員出来る国はいない。それどころか千すら出せない国がほとんどの中で最新鋭の兵器で武装した5万の軍勢を前に抵抗など出来る筈がなかった。

 10月3日には次の目標として周辺諸国へと軍を分けて侵攻を開始した。軍勢は3つの軍団に分かれており、東部はレタトー将軍率いる1万、北部はアララシタス大総督率いる2万、西部はディラネス将軍率いる2万がそれぞれ侵攻している。それぞれの軍勢は万単位であるために周辺諸国にこれらをうち破る事は出来なかった。

挿絵(By みてみん)

 そして、中小国家群の北部に位置するベルー王国ではこの事態に対応するべく緊急会議が開かれようとしていた。







神聖歴1222年10月9日 ベルー王国 王都ベギルガ

「既に中小国家群の半数がバルパディアの占領下になっております。我が国との国境もそろそろ接する勢いです……」


 そう報告する宰相ルフラフス及びこの場の誰もの顔は暗い。バルパディアの進軍速度はベルー王国の予想を超えて凄まじく、既に中小国家群の半分を占領していた。ベルー王国は以前から帰属する意思を見せていた国家に兵を展開して防衛の姿勢を見せているがそれらはおおよそ5千程しかおらず、一番数が少ないレタトー将軍の兵の半分ほどしか存在しない。もし、全軍がベルー王国に向かえばひとたまりもない。

 しかも、これらの軍勢はバルパディアの正規兵ではなく、大総督の私兵である。もし、本腰を入れれば10万以上の兵が出てくるのは目に見えていた。


「……神聖ヨーロッパ帝国はなんと言っている?」


 最近、王都ベギルガの一等地に神聖ヨーロッパ帝国の大使館が造られた。元々貴族の私邸だったそれを買収して大使館としており、そこにルフラフスの使者が訪れて今回のバルパディアの侵攻に関してどうでるのかを聞いていた。


「神聖ヨーロッパ帝国は中小国家群に対して侵攻する準備をしているとの事です。……彼らもバルパディアの動きは予想外だったらしく、現在は兵を展開する準備を進めていると言っておりました」


 アーシア公国に展開していた神聖ヨーロッパ帝国軍20万はベルエガ戦争の終結に合わせて本土へと帰還していた。アーシア公国は今後間接統治による属国として扱っていく事が決定され、不必要な大軍は解散となっていたのだ。その結果、今回のバルパディアによる北伐に対して即応する事が出来なかった。

 現在はアーシア公国に展開している2万の軍勢が隣接するオーデルランド連合王国とルクサンブール大公国に進出している。両国ともにバルパディアの侵攻に対して神聖ヨーロッパ帝国に首を垂れる事を決定した。現在、ルクサンブール大公国の東部はバルパディアが占領しているが神聖ヨーロッパ帝国との戦闘は避けたいらしく、にらみ合いの状況が続いていた。


「とは言え彼らも我らが神聖ヨーロッパ帝国の事実上の配下に降った事は理解しているはずです。国境を越えて侵攻してくる可能性は低いです」

「それは別に直接の侵攻だけが侵略の方法ではあるまい。……エンスルト、報告せよ」

「はっ!」


 アルーベル6世の言葉に諜報機関長のエンスルトが自らの報告書を読み上げる。


「実は帰属を示した4つの国全てでバルパディアが援助したと思われる小規模な反乱が発生しました。それらは十数名から数十名の規模であり、全て鎮圧済みですが反乱がおこるたびに数は増加しています。いずれは千単位の反乱が発生する可能性もあります」

「成程。帰属する事を上は決めても下は、国民は望んでいないという事か」


 いくら国家が帰属を示しても、ベルー王国と言う元大国だが中小国家群に数えられそうな程落ちぶれた国家と一つになりたいとは思わないと言外に言われている様な気がして誰もが憂鬱な気分となるが落ち込んでいる暇などない。もし、バルパディアが侵攻してきた場合に備えなければいけないのだから。


「エルヴァンよ。我々で出来る事などたかが知れているが防衛の準備を進めてくれ。それとルフラフスは神聖ヨーロッパ帝国に援軍の派遣を要請してくれ。バルパディアとて馬鹿ではあるまいが我らを野良の勢力と考えている可能性もある。そうなった際に対応できるようにするのだ」

「「はっ!」」


 エルヴァン大将軍とルフラフス宰相に命令を下したアルーベル6世はバルパディアの矛先がこちらに向かないように、そして国内が安定を取り戻す事を願うのだった。


挿絵(By みてみん)

緑:バルパディア領

深緑:バルパディアの占領地

紫:神聖ヨーロッパ帝国領(占領地含む)

薄紫:神聖ヨーロッパ帝国恭順国

黄土色:ベルー王国領

黄:ベルー王国に帰属を示した国家

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