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狐鬼 第一章  作者: 七星瓢虫
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此の学校には

女子生徒の間に暗黙の了解が存在する


「美しい花は手折る事無く、皆で愛でよ」精神だ


憧れの的である、男子生徒には告白は疎か

親し気に話し掛ける事も御法度

致し方無く接する場合は一定距離を保つ事が義務付けられている


勿論、馬鹿馬鹿しいと思うが何故か逆らえない


誰の理解を得て

誰の納得を得たのか知らないが彼は「美しい花」の一人だ


彼の他にも数人、当て嵌まる男子生徒が居るが興味はない


唯、暗黙の了解等なくとも彼は近寄り難い雰囲気の持ち主

私がお近付きになる事は到底、無理な話だ


そんな暗黙の了解にも雰囲気にもお構いなしに

彼に話し掛ける女子生徒が此の学校には一人、いる


彼同様、容姿端麗、文武両道の彼女は

水泳部に所属する期待の新入部員だ


そして幸運な事に彼女は私の親友


褐色の肌が似合う彼女事、ちどりは

運動神経抜群なのに帰宅部なのが解せない彼に目を付け

水泳部に勧誘するも文庫本片手に丁重にお断りされる


「本が好きなんだ」


読書俱楽部は無いが確かに彼は図書委員だ


そんな彼に彼女は興味を持った

彼女は勝ち気で自分の容姿に自負を持っている

そんな彼女の誘いを断る(喩え勧誘であろうと)彼が気に入らなかった


以降、ちどりは女子生徒の妬み嫉みも何のその

何かと彼に話し掛けるようになった


文庫本もそうだ


自分はスポーツ馬鹿

勉強はするが読書は眼中になかった

是非、自分に「好きだ」と言う読書の魅力を教えて欲しい


目を爛爛とさせ身を乗り出す彼女のお願いを彼が快諾した結果

彼自身、薦める本を自分経由で運ばれる


「私さ、朝も放課後も部活で忙しいからさ」

「出来たら、すずめに預けてくれると助かるかなあ?」


唐突に両肩を掴まれ彼の目の前に、ずいっと差し出された瞬間

本当に視線の置き場に困った


彼の視線が自分に注がれているのが分かったから

絶対、彼の顔は見れない


「図図しいよ、ちどり」


蚊の鳴くような声で其れだけ言うと俯く


「何よう、すずめの為でしょう?」


耳打ちする彼女の言葉に驚き

顔を上げると目が合った、ちどりが小悪魔的な瞬きを呉れる


全ては自分の恋心に気付いた彼女の計らいだった

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