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消えた銃


「ない! 予のベレッタが無くなっている!」

「なんですって!」

 ベレッタって……やめてください。銃って言って下さい。


 魔食堂で昼食を食べて玉座の間に戻ってくると、玉座に置いておいた筈の銃が――忽然と姿を消していた。


「ううう、これは、魔王の座を狙う者の仕業か――」

 両手をワニワニさせて魔王様が悔しがる。

「それは無いと思います」

「なんで」

 なんでって……。

「誰も狙わないでしょう。魔王の座なんて」

 たいして美味しくない役職だ。会社の社長……いや、会長の方がよほど羨ましいだろう。一日中玉座の間で暇つぶし三昧……。つまらない職種ナンバーワンのオンリーワンだ。

「酷いぞデュラハン! 泣くぞよ。ピエーンって泣くぞよ」

 ピエーンと泣け、と言いたいが。

「冗談ですよ。隙あらば私めが魔王の座を狙っていますから気を落とさないでください」

 魔王様の肩をポンっと叩いた。

「……微妙」


「ですが、いったい誰なのでしょう」

 玉座の間に入るなど、よほどの物好きか暇人だ。魔小学校の魔校長室に入るようなものだ。

 低学年の頃は興味津々で入りたくなるが……高学年になると入りたくなくなる……。

 ――説教される部屋だから――。

「校長室=説教部屋って、どんだけ悪いことしたの」

「内緒にございます」

 若気の至りでございます。こう見えても小さい頃はわんぱくだったのです。

「それよりも、魔王様こそ銃のような危険な物を放置しないでください」

「むむむ、やはり食堂まで持っていけばよかった」

 食堂にチャカを持っていくな。

「いや食堂だけでなく、あのような物騒な物は持ち歩いてはいけません」

 大事な物はちゃんとベッドの下とか玉座の下とかに隠してください。

「弾はどれだけ残っているのでしょうか」

「うーん。マガジンに15発こめたから、あと……一、二、三……」

 両手で数える魔王様。十以上が数えられない子供か!

「7発私に発砲しましたから残る弾数は8発です。急いで探しましょう。犯人はまだそう遠くに逃げていない筈です」

 魔王城内にいる魔族に被害が及ぶ前に探し出しましょう――。

「めんどくさいなあ」


「あんたのせいだろ――! と大声で叫びたい~」

「……」

 それでも玉座に座ろうとする魔王様はさすが魔王様だ。お昼の八宝菜を食べ過ぎたからゆっくりしたいのだろう。

「でも駄目です! なに座って少しだけウトウトしようとしているのですか!」

 だらしない。

「……鬼」

「どっちがだ! そっちがだ!」

 まったく面倒な仕事ばかり増やしやがって――とは言わない!

「無礼ぞよ」

「やかましい」


 魔王様をなかば引きずるように玉座の間から出た。



「予は魔力バリアーで包まれているから銃など平気ぞよ」

「……魔王様は平気でも、それ以外の魔族は無傷では済まないでしょ」

 誰も魔王様の心配などしておりませぬ。二~三発、撃たれてしまえと思っています。


 物好きにも玉座の間に立ち入る者など限られている。四天王とレベル一桁代のスライムくらいだ。数が多いのが少々面倒だが、スライムが持っていればすぐに騒ぎが大きくなり分かる筈だ。

 玉座の間を出て直ぐの廊下で遊んでいるスライム達に声を掛けた。

「スライム達よ、見たことないような金属の塊を持ち歩いている奴を見なかったか」

「うお、デュラハン! 唐突にめっちゃ意味不明(イミフ)な質問だなあ」

「話の流れとかって、ちゃんと考えているのか」

 うざ。

「金属の塊って、デュラハンのことか」

「ハハハ、ウケル―!」

「……」

 口の聞き方に気を付けろと言いたいぞ。こっちは魔王軍四天王、泣く子も黙る宵闇のデュラハンだぞ。

「……単刀直入に言うと、鉄砲を持った魔族を見なかったか」

「鉄砲? あー、RPGに出てくる武器か」

 ほら! 剣と魔法の世界にしっかり「銃」が根付いてしまっている! スライムまで知っている!

「え、実銃があるの? 見せて見せて!」

「そんなものは……ない!」

 あるけどない! まったく、警察に拳銃見せてもらいたがる子供か! いや、大人もか?

「見せてやろうと思ったのだが無くなったのだ。玉座の間から」

「……魔王様、それって言っちゃ駄目でしょ」

 ガックリするぞ。密かに探さないと騒ぎが大きくなるでしょうが。それでなくてもスライムは歩く拡声器のようなものなのだ。騒ぎが一気に広まってしまう。

「え! だったら誰かが持っているの?」

「あのパンパンって音は、銃声だったの」

「さよう。私が魔王様に撃たれたのだ」

 七発も。一生忘れないぞあの痛みは。胸に七つの傷を持つ男だぞ。冷や汗が出る、古過ぎて。

「「ウケル―!」」

「ウケるな! どつくぞ」

 握り拳を作って上げて見せる。

「デュラハン、いっつもドジばっかりしているから怒られたんだね」

「プププ」

 あんたが笑うな。

「バーカ!」

「口の聞き方に気をつけろ。これでも四天王なのだぞ」

「これでもってなんだ! 私が怒らないからといって調子に乗りよって……」

「「キャハハ、逃げろー!」」

「待て! というか、くれぐれも今の話を言いふらさないように!」

「「はーい! 魔王様の拳銃が行方不明だぞ~!」」

 声大き過ぎ! いまどき、小学校の廊下でもそんな大声上げて走り回る子供はいないぞ!

「見つけたら知らせるのだぞ!」

「「任せといて~!」」


 ……絶対に危ない。今日、魔王城内で絶対に誰か次の犠牲者がでるぞ。

「次の犠牲者って……一人目は誰ぞよ」

「私めでございます」

 7発も撃たれて酷い目に遭いましたから。

「あーそうか。プププ」

「笑い事ではございませんって!」


読んでいただきありがとうございます!


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