未来 本当の敵
皇帝との戦いから1年が経過した。
帝国ではなく聖女マリアを代表とする教国という体制に変わったことは、意外にも国民には理解されていた。
何よりあの皇帝との戦いが全世界に放映されてたのが大きかったのだろう。
マリアさんは奇跡の聖女として、俺も救世主として持ち上げられてしまった。
グレンさんは未だ残っている皇帝派の残党を掃討する部隊を束ねており、レイスは政治の運営を中心にやっている。
俺は放蕩神父として各地の旅をしながら悪魔や霊を駆除して廻っている。
あのデウス・エクス・マキナの能力で変化した髪の色はそのままだが神の能力は一部しか使えなくなってしまった。
そんな俺も2つの目的の為にこの国、あの始まりの教会にやってきた。
教会の扉を開き俺は中に入った。
「ダイさん。お帰りなさい!無事に帰って来て良かったです♪」
マリアが俺を出迎えてくれた。
「ああ、マリアも元気そうでなによりだよ」
そして俺はマリアを抱き寄せた。
「会いたかった」
「私もです♪」
あれから俺たちは紆余曲折を経て親しい仲になっていた。
この世界はゲームだけどこのままこの世界で生きるのも悪くないそう思った。
俺がこの国に来た目的それはマリアに会う事、そして...
----------------
特別収容所 地下5階
国の重罪人の中でも最も警備体制が高いこの場に今、俺、マリア、グレンさん、レイスの4人、そして元皇帝カインが対峙していた。
カインは能力を拘束する手錠をされており、抵抗は全くできない状況だ。
「元皇帝カイン、お前を支持していた残党勢力はもうあらかた鎮圧した。これ以上無駄な血を我々も流すつもりはない。お前から奴らを止めてもらえないか?」
レイスが言う。
当初それなりにいた皇帝派の勢力も、今はグレンさんや俺たちの手によって治まっていた。
「貴方が、協力をしてくれるなら貴方の待遇も改善することを約束します」
「...ふふふ」
マリアの言葉を聞き、カインが含み笑いをする。
「何がおかしい?」
こいつは今の状況を分かっているのだろうか。
「お前達は重大な勘違いをしているのだよ。この国を、この世界の敵は一体何なのかを。皇帝派の勢力?それとも我自身?いいや違うのだよ。本当の敵それは...」
その瞬間俺の脳内にアラートがなる。
こんなことは初めてだ。
「Lv300以上のプレイヤーが世界に侵入しました。直ちに警戒を整えてください。」
同様にLv200以上のプレイヤーの侵入を知らせる警告もいくつか流れた。
全員の表情から察するにどうやら全員同じ警告が伝わったらしい。
「お前達の選択我はせいぜい楽しませてもらうよ」
そう言ってカインはまた笑ったのだった。