未来 隻眼の女帝
マンホールの奥は広い空間が広がっていた。
秘密基地のようだ。
俺は青年に付いていく。
一体此処はどこなんだろうか。
何人かすれ違い皆俺を見る。
だが視線は顔ではなく俺の痣を見ている気がする。
やがて足が止まり目の前にはドア。
青年がドアをノックして開ける。
「こちらへどうぞ」
俺を部屋の奥に案内して青年は立ち去った。
部屋には片目を眼帯で隠した赤髪の女が座っていた。
女は煙管を吸いながら俺を見ている。
「あんたが噂の救世主って奴か。聖痕もあるし間違いないね。あたしの名前はグレン。ここを取り仕切っている。」
「この聖痕が救世主の証なのか?」
「いいや聖痕は救世主の証ではなく神の加護を得た者の証だ。そして今のこの世界において言えば聖痕は忌むべき証となっている。聖痕を持つも者は問答無用で処刑の対象となる」
「え、それは何でですか?!神の加護といってもただの痣ではないんですか?」
「この世界で聖痕を持っていたのは当時教会に所属していた、元英雄達4人だけだ。つまり聖痕は英雄の証。帝国からすれば教会側の象徴になりかねない聖痕持ちは殺しておきたいのさ」
ニヤリと笑いながら言う。
「俺この世界のマリアさん達の英雄の話を知らないんですけど、教えてもらえないでしょうか」
「知らない奴なんていたんだな...まあいいだろう。この世界の誰もが知っている話さ」
グレンは語り始めた。