未来 そして救世主になりました。
未来都市を俺はとぼとぼ歩きながら観光していた。
車はSF映画のように空を飛んでいる。
見慣れない光景に面白さを感じながらも行く当てのない不安感がふつふつと湧いてくる。
俺はこれからどうすればいいのだろうか。
-------------
色々歩き回ってるうちにどうやら都市の郊外にきたらしい。
郊外はそこまでも未来感はなく割と落ち着いている感じだ。
辺りを見回してみるとこの都市に外観が馴染まない教会がある。
少し気になって俺は中に入ってみることにした。
「すみませーん。だれかいますかー?」
教会の扉を開き声をかけて入ってみたが返事はない。
聖堂の奥に自然と足が向かっていった。
なぜだろう。
俺のジョブが神父だからだろうか理由は分からないが足が止まらない。
奥までたどり着いた。
俺の目の前には神像があった。
「何なんだろうな。一体。」
おれはそのまま立ち尽くしていると。
「あっ!!!!!!貴方様はもしかして!!!!」
突然入り口から女の子の大声が聞こえた。
「え???」
すごい勢いで金髪碧眼の美人シスターが歩み寄ってきた。
ち、近い。。。。
緊張してしまう。
俺の両手を握ってくる。
「貴方はもしや御告げにあった救世主様?そうですよね?そうに違いません!!」
言葉の勢いもすごい
「あの、ごめんなさい。ちょっとおっしゃってる意味がよくわかりません」
救世主?御告げ??
何の話だろうか。
「ああ神よ!!ありがとうございます!!!これでこの教会も救われます!」
全然話を聞いてくれなーい。
「ちょっと落ち着いてください!!」
少し後ろに俺は後退した。
「あ、、、申し訳ございません私ったらとんだ失礼を」
少しは落ち着いたようだ。
「俺の名前はダイって言います。ちょっと訳ありなんですけど。記憶喪失みたいな感じで困ってました」
この世界の知識はない俺は記憶喪失を演じることにした。
実際にこの世界について全く情報がないわけだから嘘ではないだろう。
「記憶喪失...それは大変でしたね。私の名前はマリアこの教会の最後のシスターです」
両手をぎゅっと掴み合わせて目を閉じ憐みの念を感じる。
「最後のシスター?この教会にはマリアさんしかいないんですか?」
「はい!私しかいません。そもそもこの世界に教会と呼ばれるもの自体もうここにしかないんです」
え?なんで??
「教会はここにしかないんですか?またどうして...」
「この世界は宗教自体がもう失われつつあるんです。宗教は人の争いの種になるという理由で...国から禁教令がだされました。破るものには死罪が与えられています」
確かに宗教が原因で戦争が起きたりすることもあるけど...宗教が全くなくなってしまうなんて。
「確かに宗教は争いの種になってしまうこともあります。でもそれ以上に人々の救いにもなるものなんです。失ってしまうなんて私は悲しいんです」
シスターは悲しそうな顔をしてうつむく。
「そういう訳だったんですね。でもそういうことなら、この教会ももうすぐ無くなってしまうんですか?」
「いいえ。この教会は無くなりませんよ。」
え?無くならないの?なんで?
「神のお告げがあったのです。救世主様が現れこの教会を救ってくださると」
え、それってもしかして...
「もしや」
「ええ貴方様です」
満面の笑みで俺に向かってマリアさんは微笑んだのであった。