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僕らを引き裂く、天から垂れる細い糸

作者: HERON

 僕と彼女は仲良く暮らしていたんだ。ただ、それだけなんだ。別に何の悪いこともしていない。

 だけど、天は僕らに罰を与えた。僕らに向かって天から垂れてきた細い糸。彼女はその糸に食いついた。


 すると、天から垂れてきた細い糸は、彼女をスルスルと連れ去ってしまった。

 もう、僕には手の届かない。宇宙よりもずっと遠くに引き裂かれてしまったような……


 だからこそ僕は願う。

 天よ。僕の声が天まで届くのなら聞いて欲しい。


 罰を与えるのなら僕にも罰を。彼女と同じように僕を天に連れ去って……今の気持ちじゃとても生きていけない。


 だから届け。僕の声。





 ……天に僕の気持ちが届いたのであろうか。

 今、僕の目の前には天から垂れる細い糸がある。僕も彼女も悪いことは何一つしていない。でも、天が罰を与えるというのなら逆らえない。

 しかも、彼女はその罰を受けようと天に昇った。だから僕も……彼女と同じ罰が受けたい。


 僕は、その細い糸にめいいっぱい食いつき、天へ昇る。

 天へ続く道は思った以上に短くて……でも、天はとても眩しくて……彼女も同じ事を思ったのかな。


 あっ、僕の咥えた細い糸が僕よりもずっとずっと大きな何かによって外された。天に住んでいるんだから天使かな? どっちにしても今から僕は罰を与えられるんだ。彼女と同じ罰でありますように……


 おぉ。僕の罰が決定したようだ。

 僕は天使に掴まれてどこかに乗せられて、火で焼かれる。とてもとても熱いんだ。罰なんだから当たり前だけど、とても熱い……


 そんな僕を天使は笑いながら見つめてる。きっとこれが僕の罰なんだ。


 体中から水分が消えていく感じがする。僕はもう少しで死ぬのだろう。意識も朦朧もうろうとしてきた。


 ……天は僕に罰を与えた。でも、最後に天は僕の願いを叶えてくれた。

 横を振り向いてみれば、彼女が僕の横で僕と同じように火で焼かれているではないか。


 ……罰を受けて死んでしまったんだね。焼け焦げて原型は無くなろうとしてきているけど……でも、僕には分かるよ。彼女を愛していた僕には分かる……僕ももうすぐ行くよ。


 天は僕と彼女が同じ罰を受けるのを許してくれた。

 きっと僕は彼女と同じ場所に行けるんだ。


 良かった。良かった……良かった…………

 表現力が具体的にどういうものなのかを掴むために書いてみた小説です。


 しかし、やはり表現というものがどのようなものなのかまだつかめません……

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