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マイグローストーリー〜無能少年が英雄になるまでの物語〜  作者: カイザ
一章 一部 根暗な少年
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実技試験の迷宮 その三

未来は剣を抜き、ホブゴブリンに吠える。


「さぁ、来いよ。俺が相手だ!!」



威勢よく放った言葉はこの迷宮にこだまし、緊迫した緊張感が未来の身体中を走る。


ホブゴブリンはゆっくりと未来に近づいていく。まだあまりこの世界の戦闘方法を理解できていない未来は後ろに下がりながら様子を伺う。


「グガアアァァ!!」


ホブゴブリンは咆哮しこっちへ向かってくる。


(この場合は………)


未来はホブゴブリンに無防備に走りこみ、ゴブリンが攻撃をする瞬間に足元へ滑り込み、後ろから背中を剣で突く。


未来が刺した所からはわずかながら血を流しているがどうやらあまり効いていないようだ。


ゴブリンは後ろを振り返ると同時にこんぼうで未来をふりはらう。


「があぁっ!!」


未来は壁に叩きつけられ、血を吐く。


衝撃で動けない未来にゴブリンが近づき、勝ち誇ったような顔をしながらこんぼうをふりおろす。


「ぐっ!!」


未来なローリングで攻撃を躱したが、硬い地面が未来の頰を削り、血が流れる。


(今の俺に勝てる相手じゃない!!)


わかってはいたが、あらためて思う。

だが、それでも逃げる訳にはいかない未来は再び剣を構える。






***

使い魔を使い、状況をモニターごしに映す魔法『マジックモニター』で実技試験の様子を見ていた先生のもとに一人の生徒が声をかける。


「本当にいいんですか?」

「ん?あぁ、大丈夫だ。問題ないよ。」

「……そうですか。」

「それより君が言ってたヨシザワ君。なかなか面白いね。」

「––––面白いって……」


生徒はため息を吐き、先生はとあるモニターに指を刺す。


そこには巨大なモンスターのホブゴブリンと戦っている少年が映し出されていた。


「彼、自分の為じゃ無く、他の人を逃す為に戦ってるんだよ。それにさっきもみんな呼びかけていたし。」

「そうですか………。それより今日の部活はどうしますか?」

「うーん。実技試験の担当しているし、今日はいいよ。」

「わかりました。」


そう言った後生徒は去っていき、先生は再びモニターに目を戻した。





***

未来は目の前にいる巨大な敵–––ホブゴブリンに剣を構える。


頰、頭、体からは今まで経験した事がない痛みが襲う。


未来は建物の壁まで走り、それにゴブリンがついてくる。


(よし、来てくれた。後は俺の今の身体能力にかける!!)


未来は壁側に置いてあった置物を登って屋根の上に登った後、勢いよく飛びゴブリンの頭を剣で刺す。


その攻撃は脳天に直撃し、ゴブリンは力なく倒れ、未来は安堵する。

ゴブリンは起き上がる様子がない。どうやらさっきの一撃で決まったようだ。


(勝てた………!!)


胸を撫で下ろすが、再び屋根の上に登り、ゴールへと向かったがその途中、何度か本物に襲われていた人を未来は助けた。





***

町の景色も終盤になりとうとう未来はゴールを果たす。


幻覚から抜け出すと町の風景は消え、モニターで様子を見ていた先生が未来に気づいた。


「やあやあ、おめでとう。君は合格だ!」

「そ、それより!あの幻覚の中に本物のモンスターが!!」

「物理的な痛みを与えるモンスター、か?」

「そうです!!早くこの試験を中止に––––!!!」

「それがこの試験の仕様なんだよ。」

「は––––?」


未来はこの先生が何を言っているかわからず、一瞬、思考が停止する。


「だからこれが仕様なんだよ。物理的な攻撃をするモンスターはあの幻覚にいる。」

「そ、それじゃあ!あそこで倒れた人たちはどうするんだ!!殺されるぞ!!」

「安心しろ。そのモンスター達も幻覚だ。ほらよく自分を見てみろ。ホブゴブリンに受けた傷がないだろう?」


未来は地面で傷つけた頰の傷以外のものがないと気づく。


「異常事態の時、みんなはどんな反応をするか見ていたんだよ。」

「––––––」

「君の反応は面白かったよ。君の歳頃ができるものじゃない。」

「––––そうですか。」

「ま、そういうことだ。合格者は向こうの教室に行って待機だ。」

「わかりました。」


未来はおとなしく先生が指定した教室にむかう。



「ぁ……大丈夫!!?」


さっき、未来が助けた少女が未来に気づきこっちへ近づく。


「あぁ。それより無事についたんだね。」

「うん。でも、剣士になる為に来たのにあの程度で怯えてたらこの先やっていけないよ………」

「あんなの、誰だって怖いよ。少しずつ慣れるしか無い。」


実際、未来も恐怖に支配されていたが、それよりもこの子を護る強い意志が未来を突き動かした。


「うん––––そうだね………。あっ、名前言ってなかったね。私はティアラ・ハーツ。よろしくね!!」

「俺の名前は吉沢未来。そ、その……よろしく!!」




そして時間が経ち、実技試験が終わり、約40名が転入する事になった。



読んでいただき、ありがとうございます。

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