変わる為に
未来と椿はスライムの液体の一部を瓶に詰め、鍛冶屋のアレンに向かいクエスト完了を報告した。
「ありがとよ。ほら報酬だぜ!」
そう言って600マルを未来に渡す。
「あ、ありがとうございます!」
未来は精一杯の声で礼を言う。
未来は変わると決めた。今までやってこなかった努力をすると決めた。そしていつかあの世界に帰ると。
それにはまず自分から変わる必要があると未来は判断した。そして自分を変えようと頑張ったのが今の礼だ。
「それにしてもこの剣、使いやすいですねー。」
「まぁ、うちで作ってる剣だからな!ここにある剣はみんな使いやすいぜ!」
(さすが春野。俺が頑張って習得しようとしているコミュニケーションを簡単にやってのけている……)
「あ、あの……」
「ん?どうしたんだい?」
「えと––その……」
「ん?なんだ?」
(声を出すんだ!俺!!)
「け、剣の使い方を教えてくれる場所ってないんですか?」
未来は精一杯声をだす。礼は言えるが他人に何かを聞く事はまだ難しいらしい。
「剣の使い方……なら剣術学院に行ったらどうだ?」
「剣術学院………」
学院と言う言葉に未来は息が詰まる。
(学院……つまり学校…)
未来にとっては学校はいい思い出が無い。
とは言っても未来の行動のせいなのだが。
(でも、そこへ行かないと剣は学べない………。)
「––––その剣術学院はどこにあるんですか?」
「ん、一番近い所だとここから南に進んで30キロだな。」
「さ、30キロ……」
「まぁでも、今は冬だし、新学期が始まる春の一ヶ月前に出発したらいいんじゃないか?」
「と言う事はまだ時間があると……」
「その間、剣術を磨いた方がいいぞ。」
「え?」
未来はきょとんとしているとアレンは説明を続ける。
「剣術学院に転入するには実技試験に通らないと入れない。だから磨いとけ。」
「し、試験……」
(どうしよう……剣術を学ぶ為に学院に行きたいのに実技試験があるとは……いきなり詰みが……)
「なら私がその間君に基礎を教えようか?」
突然、椿が声を出す。どうやら未来に剣を教えてくれるようだ。
「え、ほんと?」
「うん。私も特に目的も見つけてないし。」
「あ、ありがとう!」
(よかった……とりあえずそこはなんとか出来そうだな。)
「とりあえず、出よっか。」
「え、あ、あぁ。」
「武器が欲しくなったら鍛冶屋アレンに来てくれよ〜!!」
「そういえば、今日はどこで寝泊りすればいいんだろう?」
「スマホを売った事で宿ぐらい稼いだと思うし、しばらくは大丈夫……だと思う。」
「自身ないんだね……」
未来が持っているマルは2万9千800マル。そしてクエストのマルを合わせると、3万400マルだ。
「宿はいくらするんだ?」
「探すしかないね」
未来と椿は宿を探しながら町をまわる。
途中、今晩の夕食を食べ、そしてようやく宿にたどり着いた。
「やっと見つけた……」
「とりあえずチェックインしよっか。」
「うん。」
未来と椿はチェックインをしたが部屋が一つしか無い為、一緒に寝る事になった。
(まさか女の子と……しかも春野と同じ部屋で寝ることになるなんて思ってもなかったな。)
そして、1日が経ち、特訓が始まった。




