スキル習得の試練
あれから数日、未来達は外出活動部に入り、いろんなクエストに挑戦した。
だが、先輩達の力が強すぎて、未来達二年生には何もする事が出来なかった。
「今日からスキル習得の授業だね!」
「うん。楽しみだね。」
(スキルか……俺は雷だけど、どんなスキルになるんだろう。)
「よし、今日からスキル習得を始める。ついてこい。」
エレノア先生の言われるがままについていく。生徒達はスキルを習得出来るという喜びで、「どんなスキルだろ!?」「強いスキル来い!!」など、とても賑やかだった。
「着いたぞ。ここで、スキルを習得を行う。」
着いた所は、薄暗く部屋で、そこには人数分の水晶が置いてあった。
「今からこの水晶を使ってスキル習得をしてもらう。ただし、人によってはこのスキル習得はとても辛く、苦しいものだ。それでもやれる者は手を上げろ。」
(辛くて苦しい……俺も、いろんな事を乗り越えて来たんだ。今回も越えてやる。)
そして未来は手を上げると続いてみんなも手を上げた。
「よし、それじゃぁその水晶に魔力を込めろ。」
そう言われ、みんなは水晶に手をかざし、魔力を込めていく。
「え……?」
未来はみんなを見て、目を大きくする。
(なんで、魔力を込めた途端に倒れたんだ?)
まるで死人の山に立っている気分になった未来は、水晶に魔力を込めるのを躊躇した。
「どうしたミライ。早く魔力を込めろ。」
「はい。でも、どうしてみんな急に倒れたんですか?」
「みんな、精神世界に行ったんだ。そして……いや、ここから先は自分で体験してこい。」
「わ、わかりました。」
無理矢理納得させ、魔力を込める。
(魔力の流れをイメージ……イメージ!)
本で読んだ魔力の込め方を参考に込めていく。
徐々に意識が朦朧としていき、そして、意識が完全に無くなり、力なく未来は倒れた。
***
気がつくと、俺は見知らぬ場所に立っていた。
「ッーーー!!!!」
体の自由が効かず、誰かの名前を叫び、手を伸ばしていた。
どこだ……。どこかで見た気が………。
俺が叫んだ名前に、前にいた少女は振り向き、俺に微笑む。
「ごめん……俺が………俺が弱かったから…世界を救えなかった……ごめん。ごめんよ……!!」
俺は泣きじゃくりながら、目の前の少女に話しかける。
崩れて行く世界。光となって消えていく人達。そして目の前の少女も光となっていく。
「いいんだよ……君は悪くない。精一杯頑張ってくれたじゃない……。君は私の……いえ、私達の英雄なんだよ。」
「違う!俺は……英雄なんかじゃあ……」
「–––––––––––」
ここからの話は聞こえなくなり、そして、少女は光へと消え、世界が崩れる。
場面は変わり、いつの間にか、俺と椿が住んでいた日本にいた。
(学校……)
俺の前には通っていた中学校があった。
そして、教室へと再び場面は変わる。
「俺達、未来が盗むのを見た。」
「あっ、そうそう。俺らも見た。絶対に言うなよって言われてたけどやっぱそんな事はできないよな。」
この会話を聞いた時、俺の時が止まったような感覚がした。
「本当なのか?吉沢。」
「や、やってない!」
(お、俺は…やってない!)
心の中で叫ぶ。この光景は過去の物だと頭の中ではわかっているが、否定せずにはいられなかった。
「嘘つくなよ。未来。」
友達だった奴が冷めた目で俺を睨む。
やめろ。そんな目で俺を見ないでくれ。
「え、最低。」「吉沢ってそんなやつだったんだ……」「もう話すのやめよ。」「人間として終わってんな。」
それからも罵声が続いた後、場面は次々といじめのシーンへと変わっていった。
もうやめてくれ。もう、見たくない。
一度経験した悪意が再び俺を傷つけていく。
もう……何も信じられない。
「––い––––だい––ぶか!––おい!!」
「えっ」
気がつくと辺りはもといた場所に戻っていた。
スキル習得……これはきつい事になりそうだな………




