未来と学院生活 その一
新学期当日。
始業式に転入者達は体育館の舞台に立ち挨拶しなければならなかった。
未来にとってそれはとても憂鬱で最悪だった。
(みんなの前に立って挨拶………考えだけで頭痛がする。)
そしてその時が来て未来、ティアラ、それと他の転入者達が舞台に上がる。
そして挨拶が始まる。
「えっと––今日からここでお世話になるティアラ・ハーツです。よろしくお願いします!」
(あぁ––––緊張するーーー!!)
冷静を保っていたが内心ではここから逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
「ガルガ・レイン。てめぇらみたいな雑魚と馴れ合うつもりはねぇ。」
(何?なんで挑発的なの?俺後なんだからやめてほしいな。)
それからとうとう未来の番となり覚悟を決め、大きく深呼吸をする。
「––––吉沢未来です。これからの学院生活、積極的に取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いします!!!」
(う、うまくいった!!)
未来は心の中でガッツポーズをする。だが、この言葉により未来の運命が左右されるとはその時は全く気づかなかった。
***
始業式が終わり、新しいクラスへ向かい、自分の席を見つけた後、そこは座る。
「あっ、ミライじゃん!!」
赤い髪の少女–––ティアラが未来に気づき、こっちへ向かってきた。
「あっ、ティアラさん。同じクラスなんだ。」
「ん。後、さんはいらないよ!同じクラスメートだし!」
「そうだね。ごめん。てぃ、ティアラ。」
「うん!!」
彼女は無邪気に微笑む。
(か、可愛い……)
少しの間、ティアラに見惚れていた未来だが、我を取り戻す。
「お互いなんとか入れてよかったね。」
「––––そうだね。」
「………俺、剣術を磨くのもあるけど、自分を変えるために来たんだ。」
「え?」
突然の事にティアラはキョトンする。それでも未来は話を続ける。なんとなくこの話はティアラに聞いて欲しいと未来は思った。
「俺、人と関わるのとかうまくないし、それに剣はもってのほかで運動すら全然駄目な無能だったんだ。」
「…うん。」
ティアラは静かに未来の話を聞いてくれた。
「でも、変わるきっかけをくれた人がいたんだ。その人に追いつきたい!!って頑張って努力してやっとみんなとおんなじステージに立てるようになった。それが嬉しくてさ。でももっと先へ行ってみたいんだ。剣を学んで、強くなって、変わりたいんだ。俺は。それが俺がここに来た理由。みんなみたいに将来の事をあまり考えずに来てしまったんだ………」
(何話してるんだろう。俺は)
自分でも何を言っているのかわからなくなり、言葉を詰まらせる。
「いいと思うよ。」
「え?」
「自分を変えるために来たっていいじゃん?人それぞれの選択だし。やりたい事をやればいいと思うよ!」
「そ、そっか。」
(なんか、励まされたけど、よかった。彼女に話して。)
照れ隠しで未来は頭をかく。
「思ってたけどミライってくせっ毛だよね。」
「まぁね。」
未来の髪はいわゆる天然パーマと言うものだが、未来はそれをかっこよく決まっていると思っている為、唯一、自信を持てるのがこの自慢のくせっ毛なのだ。
「なんで、そんな髪なの?」
「ん?自然にこうなってるんだよ。」
「……結構似合ってるよ。」
「本当!?ありがとう!!」
初めて褒められた髪に、未来は興奮し大きな声を出してしまう。
(しまった。みんなに見られてる……)
未来は咳払いをすると教室に先生がやって来た。
「お前ら席につけー!」
「あっ。」
先生は願書届けの時と、試験の時にいた先生だった。
(あの人が担任なのか。)
黒髪黒目、そして出るに出た胸。パッと見だけだと日本人のような容姿をしている。
「今日からここの担任のエレノア・ハレンだ。よろしく。」
先生は挨拶をした後淡々と話を続ける。
「試験に合格し安心してると思うがが努力を怠るなよ〜。後、二年生からはスキルの習得をしていく。これでさらに戦士としてさらに高みを目指して言ってくれ。」
(スキルの習得か。楽しみだな。)
そして時間が過ぎ、一日が終わる。




