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彼女と私は双子ではありません

大切なものは独り占め

作者: 雷ライ

誤字脱字に注意してください。

嫌な表現があります。


相変わらず白雪はおかしいです。


※監禁描写がありますが推奨するものでも肯定するものでもありせん。犯罪行為であるということを留意してお読みください。


そのほかを含めてなんでも大丈夫な方のみお読みください。


ダメだと思ったらすぐに読むのをやめて下さい。

カフェテリアではーちゃんを貶めようとしてから1ヶ月が経った。


高校2年生になったが、さほど変化のない日々を過ごしている。


さほどというだけで1つだけ変化があった。


それはしーが利用できると思って仲良くなった如月健斗きさらぎ けんとが、はーちゃんを取り戻そう作戦に協力してくれると言ってきたことだ。


正直胡散臭いし、信用はできない。


でも、男手が必要になることがこれからあるかもしれない。


そう考えると協力してもらうのは悪くないと思える。







「白雪、何か考え事?」


ある日の放課後、部活が休みだという健斗に誘われて彼の家に来ていた。


結構なお金持らしく彼は豪邸に住んでいる。


彼の部屋だというこの部屋だけでも何畳あるのか分からない。


家には彼の母親もいて、先程挨拶してきた。


外面にはそれなりに気を使っているので特に問題はなかったと思う。


「はーちゃん今日何時に帰ってくるかなぁ」


彼に隠してももうしょうがないので思っていることをそのまま口にする。


「相変わらず白雪の頭の中はお姉さんのことで埋め尽くされているな」


苦笑いしながら彼は言う。


カフェテリアでの作戦のときは、彼はかなりバカかも知れないと思っていたが考えを改める必要がありそうだ。


「当たり前でしょう?はーちゃんはしーの全てなんだから」


はーちゃん以外の人間はしーにとっては価値がない。


はーちゃんだけが欲しいし、はーちゃんだけがいてくれたらいい。


「それで次はどうする?」


健斗は特に興味なさそうに聞いてくる。


こいつ本当に協力する気があるのだろうか?


「一年かけてしーの味方は増やしたし、学校でのはーちゃんの評判は地に落とした。篠沢も今年は大学受験ではーちゃんと一緒にいる時間が減るはず。はーちゃんとの時間を増やしたい」


現在の状況と願望を言う。


「状況的には去年より良いってことな。でも、一緒にいたいって言うけど具体的にはどうしたい訳?」


「しーとはーちゃん、2人だけの世界に行きたい」


想像しただけで幸せだ。


しーとはーちゃんしかいない世界。


はーちゃんの瞳にはしーしか映らないし、しーの瞳に映るのもはーちゃんをだけ。


すっごい幸せだ。


「それは現実的に考えて無理だろ」


健斗は呆れたように言う。


「そんなのわかってるから、作戦を練って短い時間であろうと、はーちゃんと2人っきりになろうとしてるんでしょう」


ムッとしてしまう。


「本当に白雪の姉に向ける感情は異常だな」


さっきからずっと呆れた表情のままだら


異常?


何を言ってるんだろこいつは。


異常かどうかはしーが決める。


はーちゃんはしーにとって異常な感情を向ける相手ではなく、特別な感情を向ける相手だ。


好きなものを共有するのは嫌だし、独占したい。


そもそも、はーちゃんはしーのものなんだから取り返そうとして何が悪い。


「協力してくれないなら別にいいわよ」


しーはそう言って帰ろうと立ち上がる。


しかし、すぐに健斗に手首を掴まれる。


「まあ、待てって。短気は損だぞ、俺の話も聞けって」


健斗はそう言ってしーをソファに戻す。


「うるさいなぁ、時間は有限なのよ。こんなところで無駄な時間を過ごすくらいならはーちゃん探す」


そう、有限なのだ。


健斗に費やす時間なんてない。


「家で2人っきりになることはできないのか?」


しーの話は聞く気がないらしい。


作戦会議に戻った。


「無理。昔の作戦の弊害で、おじいちゃんとおばあちゃんはしーとはーちゃんを2人にしてくれない」


本当に気の利かない祖父母だ。


彼らはしーが彼らのことを大切にしていると思い込んでいる。


彼らはしーの役に立つ人間で大切なわけではない。


「じゃあ、白雪から旅行プレゼントするとかは?」


「そんなお金ない」


「そこは俺がどうにかできる」


本当にできるのだろう。


彼の家を見てしまっては否定できない。


「1日2日なら、今すぐにでもできるがどうする?」


健斗はこちらをまっすぐ見て問いかける。


「1日2日じゃ足りない。もっと長く2週間ぐらい、短くても5日は2人っきりになりたい」


本当のことを言えば永遠に2人っきりがいいが、無理なことはわかっている。


しーのなかではかなり妥協した。


「なら長期休暇じゃないと無理だな。春休みは終わってるから、夏か冬だな」


カレンダーと学校の年間行事予定表を持ってきて、夏休みと冬休みの期間を確認する。


「補習や講習の期間とかも考えると1番長く一緒にいられるのは、夏休みだろうな。このあたりがオススメ」


健斗はそう言いながらカレンダーの8月上旬を指差す。


「もっと早くは無理なの?」


3ヶ月も待たなくていけないことに不満顔になる。


「ここが最短だな。他の場所だと期間が短くなるし、ここが1番他の人に怪しまれない」


「うーーーーー」


健斗の意見を聞き、唸るしーを見て健斗は苦笑いをする。


「白雪の大っ嫌いな篠沢先輩も大学受験で忙しくなってるはずだから、白雪のお姉さんと一緒にいる時間も短いはずだ」


彼の中では作戦が出来つつあるのだろう。


しーを納得させるための言葉を紡ぐ。


「ならそれでいい」


しーの意見も取り入れるとそこが最善なのはしーにも分かった。


なので大人しく言うことを聞くことにする。


「今日はここまでな」


そう言ってしー正面のソファに座っていた健斗は、しーの座ってるソファにやってきてしーに覆いかぶさる。


「なぁ、白雪。せっかく俺と恋人になったんだから、恋人らしいことしよ?」


そう言いながら額や頬、鼻に瞼としーの顔のいたるところにキスをし始める。


恋人。


それは健斗から要求された協力するための条件だった。


しーは、はーちゃんしか愛してないのになぜしーの恋人になりたがるのかは分からないが、特に嫌悪感も抱かなかったので了承した。


今までだって恋人がいなかった訳ではない。


ただ、しーのはーちゃんに対する愛情に彼らは逃げていっただけだ。


それに、はーちゃんを手に入れるためならそれぐらい安いものだ。


健斗にキスされながらゆっくりとソファに押し倒される。


しーは両目を閉じて彼の首に腕を回し、それを受け入れた。














後日、作戦をまとめた。


まず、学校主催の勉強合宿ということで、3泊4日。


勉強合宿から帰ってきた後、祖父母には3泊4日の温泉旅行に行ってもらった。

健斗のお父さんが経営する会社の系列にモニターを募集していたので、されに行ってもらう。


次に事前に友達と口裏を合わせて、しーは祖父母が帰ってくる日の朝から友達と一泊2日で旅行に行ってることにする。

実際彼女たちは2人で旅行に行くと言っていたので問題なくいけるはず。


これで10日は問題なくいけると思う。


次にはーちゃんを連れて行く場所は健斗の家が所有するコテージ。


車で行けるが固定電話以外は使えない場所なのではーちゃんの家にスマホを置いておけば場所も特定されない。


もちろん、しーもスマホは置いていく。


せっかくはーちゃんとの2人っきりを邪魔されたくない。


移動手段は健斗の家の車。


これは彼に任せたので詳細はわからない。


篠沢とのデートの日は知っていたのでその翌日から作戦を決行する。


「はーちゃんと2人っきり。ふふっ、今からニヤケてしまいそう」


作戦前日の夜、しーはなかなか眠りにつけなかむた。










作戦は無事成功し、しーははーちゃんをコテージに連れてくることに成功した。



コテージに着き、はーちゃんを部屋に運んでもらい。


健斗には帰ってもらう。


「じゃあ、何もなければ2週間後に迎えに来る」


そう言って健斗はいなくなった。




夜になるとそろそろはーちゃんが起きるはずなので、夕食の準備をする。


夕食の準備がひと段落したところで


「なにこれっ!だれか!誰かいる?!助けて!」


と、はーちゃんが大声を出しているのが聞こえた。


急いではーちゃんがいる部屋に行き、ガチャっと扉を開ける。


「あれ?はーちゃん、もう起きたの?」


はーちゃんが起きたのに気づきながら、とぼけて聞いてみる。


部屋に入って見えたのは、はーちゃんの目隠しをして手首を結ばれている。


しばらく固まっていたはーちゃんが


「しらゆき?」


疑問符がつけながらしーの名前を呼ぶ。


「うん、そうだよ。あっ、ごめんね。目隠しつけたままじゃ見えないよね」


うっかりしていた。


はーちゃんの綺麗な瞳が見れないのは悲しい。


「ふっふっ、本当にごめんね。でも嬉しいなぁ、はーちゃんがしーの声聞いただけでしーだって分かってくれて」


嬉しくてニヤニヤしてしまう。


はーちゃんの目隠しだけをとる。


目が眩んでいるのか数度瞬きするはーちゃんの顔を覗き込む。


視界が安定したのか周囲を確認するはーちゃん。



「白雪、これはどういうこと?」


はーちゃんが必死に冷静を装って問いかけてきた。


そんなの答えは1つだ。


「はーちゃんと2人っきりになりたくて」


思いっきり笑顔で答える。


「せっかくの夏休みだからはーちゃんと一緒に出かけようと思って、何回も誘ってるのにはーちゃん全然一緒に出かけてくれないんだもん」


そう、しーは拗ねているのだ。


せっかくはーちゃんと過ごせる貴重な夏休みなのに、はーちゃんが全然誘いに応じてくれないから。


「はぁ?」


思わず声に出してしまったような声だ。


「どうしてもはーちゃんと2人っきりになりたかったから、協力してもらちゃった」


そう、これだけ。


しーの行動の理由はいつもはーちゃんが関係している。


「白雪、これ外して。それから私を家に帰して」


はーちゃんはそんなこと関係ないかのように言ってくる。


しーは瞳を瞬かせ、はーちゃんのその考えが無理なことを伝える。


「ここ、山の中のコテージだから今から帰るなんて無理だよ。スマホも通じないし」


何が問題かわからない。


「はぁっ?!なんでそんなとこにいんのよ!」


はーちゃんからまたしても大声が出る。


「だから、はーちゃんと2人っきりになりたかったんだってば」


聞き分けのない子をあやすような声で言う。


「明日には迎えに来るのよね?」


どこかは回さないまま、はーちゃんは問いかけてくる。


予想外質問だった。


せっかくはーちゃんと2人っきりになれるのに、しーが1日で帰るはずがない。


「2週間後には来るよ」


「2週間!?」


「2週間」


「なんでそんなにかかるのよ!?」


「健斗くんにそのくらいに来てって言ったから」


「食材なくなるし、ゴミとかたまるでしょ?」


「なんか3日おきにハウスキーパーさんが来てくれるらしいよ」


「ならハウスキーパーさんと帰ればいいでしょ?」


「軽トラに乗って2人で来るから乗る場所かありません」


「なんでそんなに用意周到なのよ!」


「3ヶ月前から練ってた作戦だからね」


「3ヶ月!暇なの!」


「はーちゃんのためなら大したことないよ」


さっきからはーちゃんは何にそんな慌てているのだろう。


「ふふっ、はーちゃん。そんなに難しく考えないで、しーとの生活楽しみましょう」


しーは夕食の支度をするため一度部屋を出ようとする。


「ちょっ、待って!どこ行くの?」


扉を開けるとはーちゃんが慌てたようにしーを引き止める。


「はーちゃんの夕ご飯取りに行くだけよ。しーがはーちゃんのこと置いて行くわけないでしょう」


言い終わるとしーは足取り軽く部屋から出て行く。


はーちゃんのためにしーが作った料理。


はーちゃんは喜んでくれるだろうか。


お盆に夕食をのせてとはーちゃんに持って戻る。


その後ははーちゃんに食べさせ、お風呂にも一緒に入った。


トイレの時は流石に外してあげたが、歯を磨くのはしーがやった。


はーちゃんの歯を磨くのは思いのほか楽しかった。







6日目の朝、はーちゃんに朝ごはんを食べさせ、しーは食器を洗うために部屋を出た。


この時間は1人になれる時間だった。


鼻歌を歌いながら機嫌よく皿洗いをしていると、突然バンッと大きな音が玄関から聞こえた。


そして次に聞こえたのは男性の声。


「初雪!どこだぁ!?」


これは健斗の声じゃない。


そう思った瞬間一気に警戒心が強くなった。


はーちゃんのいる部屋にも聞こえるほどの大声だったのだろう。


「壱耶!」


はーちゃんが不快なやつの名前を大声で呼ぶのが聞こえた。


はーちゃんの声が聞こえた後、すぐにリビングの扉が開く。


その姿を視界に入れた瞬間一気に頭に血がのぼる。


「なんであんたがここにいんのよ!!!」


「誰がここを教えたの?!!」


「帰れ!お前なんか要らないんだよ!」


「はーちゃんに近づくな!」


「消えろよ!」


篠沢壱耶が姿を現したことで、日頃から溜まっている鬱憤が抑えられなくなる。


「白雪!いい加減にしろ!」


篠沢の後ろからもう1人男性がリビングに入ってくる。


見間違うわけがないその人は、三つ子の真ん中・淡雪あわゆきことあっくんだ。


「お前は何がしたいんだ!」


あっくんは部屋に入ってきてしーの姿を確認すると、しーを睨みながら言う。


「壱耶さん、白雪は俺が抑えてるから初雪探してきてください」


そして、勝手にはーちゃんを探しに行くよう篠沢に言う。


頭にくる。


あっくんなんて呼んでるけどこいつのことは本当に嫌いだ。


こいつさえいなければ、はーちゃんにとってしーはたった1人の姉妹で、同じ生年月日に同じ両親から生まれた唯一になれるはずだった。


「あっくんまで私の邪魔するの!?なんでよ!しーはただはーちゃんと一緒にいたいだけなのに、どうしていつも誰かが邪魔しに来るのよ!?」


なんでこいつがはーちゃんと似ていて、しーがはーちゃんと似ていないのだろう。


「お前はどこまで自己中心的なんだよ!初雪はそれをいつ望んだ?お前の幸せのために初雪が犠牲になってるだけじゃないか!」


また大声で怒鳴ってくる。


こいつは小さいときからうるさい。


「それこそあっくんの勝手な決めつけでしょ!はーちゃんはしーと一緒にいるのを嫌がったことは一度もない!ずっと一緒だって約束したの。邪魔するならあっくんであろうと消えて!」


はーちゃんが望んでいないわけがない。


しーとはーちゃんはずっと一緒だ。


はーちゃんの隣に並んでいいのはしーだけだ。


「ずっと一緒なんて無理に決まってんだろ!それぐらい分かれよ!」


わかってるから2週間で我慢したんじゃない。


「お前に言われなくてもわかってる!」


顔を見ているだけでもイライラする。


なんで邪魔するのかな?


どいつもこいつも邪魔で仕方がない。


ふっと耳をすますと、廊下から足音が聞こえる。


淡雪を押しのけて、リビングの扉を開ける。


そこにははーちゃんをお姫様抱っこする篠沢が目に入った。


「何してんのよ!はーちゃんをどこに連れていくつもり!?」


はーちゃんを取り返そうと篠沢に飛びかかる。


「家に連れていくに決まってるだろ!」


そんなしーの手を掴み言う淡雪。


「今までは初雪がどうでも良さそうだったから見過ごしてきたけど、ここまでやるならもう見過ごせないから」


篠沢はそう言ってしーをひと睨みしてコテージから出て行った。


「はぁ?見過ごせない?何言ってんのあいつ?しーが今まで見逃してあげてたのよ?なんであいつの方が上みたいに振る舞うわけ?はーちゃんはしーのものよ」


視界が真っ赤に染まる。


篠沢に対して強い殺意を抱く。


殺意は抱くが殺しはしない。


そんなことしたらはーちゃんと一緒に居られるなくなる。


そんなのは無理。


「あっくん、離して。お前も敵なんだよね、ならお前もいらない。しーとはーちゃんを引き離すのはみーんな敵だもんね」


そう、敵だ。はーちゃんをしーから奪おうとするのはみんな敵。


「敵とか敵じゃないていう問題じゃないだろう。白雪、誘拐は犯罪だからな。そこんとこお前分かってるんのか?」


あっくんは鋭い目つきでしーのことを見ながら言う。


「犯罪?何言っての?はーちゃんはしーのだって言ってるでしょう?それを取り戻すのは、悪いことの訳ないでしょう?何回も言わせないでよ。バカなの?」


言っていることを理解できないほど馬鹿なのだろうか?


あっくんはそこまでバカではないと思っていたのだが。


「随分面白い話してるな」


突然の声に驚き扉の方を見る。


そこには健斗が立っていた。


こちらに歩いてくる健斗は、しーの頭を撫でると真っ直ぐあっくんの方を見る。


「はじめまして、藤沢淡雪さん。白雪さんとお付き合いさせていただいてます、如月健斗です」


爽やかな人気者の仮面を被り挨拶する健斗。


彼はしーとあっくんの間に立つ。


「………………藤沢淡雪だ。はじめまして」


あっくんはしばらく無言で健斗を見つめたてから言った。


「お前が白雪に加担していたやつか?」


あっくんの視線は完全に健斗に向いている。


「あぁ、加担っていうほどのものでもありません。協力させていただいただけですよ」


ニコニコしながらしーに協力していることを認める。


「お前分かってのか?白雪とお前がしたことは犯罪だぞ?」


あっくんは険しい顔つきになりながら言う。


「もちろん理解してきますよ。でも、好きな子の願いを叶えてあげたいって男の心境もご理解してもらえると嬉しいですね」


健斗はあっくんの言うことをサラッと流す。


「お前も大概イかれてるな」


あっくんは健斗を呆れたように見ている。


「ふふっ、ただ俺は白雪に笑っていてもらいだけですよ。じゃあ、白雪は俺が引き取るので。淡雪さんには車を用意しています」


そう言ってあっくんを外に促す。


「…………わかった。車感謝する」


あっくんはそう言ってリビングを出て言った。



健斗はあっくんが横を通り過ぎるようとすると、健斗はあっくんの肩を掴む。


しーには聞こえなかったが、あっくんに何か話しかけていた。





「…………。」

「…………。」


あっくんが部屋を出て行ってからしばらくしーと健斗の間には無言の空気が流れる。


「だいぶ荒らしたな」


最初に話しはじめたのは健斗だった。


リビングの状態を見ながら言う。


「白雪、今日は俺とここに泊まって明日帰ろう」


何にも言わないしーに遠慮しないで今後の予定を決めていく。


「リビングは使えないがなんとかなるだろう」


そう言って割れた皿やコップを片付ける。


「…………はーちゃんはしーのなの」


健斗が登場してから呆然としていた頭がようやく正常に動き出す。


「ねぇ、健斗。しーが悪いの?しーが悪い子だからはーちゃんを誰かに奪われるの?なんではーちゃんと2人っきりになりたいだけなのに邪魔されなきゃいけないの?」


疑問しか出てこない。


「……諦めるのか?」


そうしーに問いかけた健斗は片付けをやめて、しーの手を引き荒らしていないサンルームに移動した。


「諦めない。次の作戦考えなきゃ」


そうだ、落ち込んでなんかいない。


諦められるわけがない。


だって、はーちゃんが最後に選ぶのは絶対しーの隣だという自信がしーにはある。


「じゃあ、今日は一旦休憩してまた次の機会に考えよう」


そう言って彼はしーの頭を撫で続けた。



























「もっともっと狂っちまえ、白雪。そして、その姉に対する異常な執着を俺に向けろ。最後に白雪の隣にいるのはお前の姉じゃなくて俺だ」




※監禁描写がありますが推奨するものでも肯定するものでもありせん。犯罪行為であるということを留意してください。


白雪は人の目を気にしているようで気にしていません。


健斗が何を考えているのか分かりません。

いや、白雪を手に入れることしか考えていないのですが何をしたいのかが分かりません。


白雪は壱耶が嫌いです。


そしてそれ以上に、幼い頃から初雪と2人っきりになるのを邪魔する淡雪のことが嫌いです。


淡雪は別に白雪のことを嫌ってはいません。



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