表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/135

一方、観客席では

 ガータ達が円形闘技場の席に着くと、周りからチラチラと見られた。

 最初は、ティート達が外国人だからかと思ったが――全く皆無とは言わないが、その視線の大半はガータへと向けられていた。

 アジュールに戻ってから、ガータは外套のフードを被りはしない。外国人ではあるが、彼女にとってはここが第二の故郷なのだろうか。猫耳や尻尾もいつも通りで、逆立ってたり伏せてたりしてはいない。


「……ヤな、感じ」

「すまないな。だが、私がいればお前達に絡む者はいないだろうから。我慢してくれ」

「嫌な感じもありますけど、熱い視線もありますね」

「ああ。これでも、武闘会の勝者だからな」


 とは言え、ミリアムが眉を顰める程にはぶしつけだ。そして、うっとりとした視線も混じっているのに気づいてティートが言うと、こちらも慣れているのか肩を竦めて答えた。


「そうなると……女神が優勝すれば、この熱視線が女神のものに!?」

「おー」

「……お前達は、本当にあの店長が好きなんだな」


 ティートの言葉にミリアムは無表情ながらも拍手をし、エリに対して多少は認めているものの、参加には未だに否定的なガータはため息混じりで言った。そして、ティート達を気づかうように口を開く。


「だが……私が言うのも何だが、女性が優勝するのは無理だと思うぞ? レアンも、あとあなた達の仲間の剣士もいる。更に、今回の武闘会にはアルゴが出るんだ」

「……誰?」

「元々、有名な剣闘士だったが第三王子の目に留まり、今では食客となっている。奴隷でこそないが、私のように身分や地位を手に入れたいのだろう……そんな強者に、か弱い女性が勝てるとはとても思えない。おかげで賭けにならないと、胴元がぼやいているくらいだ」

「賭け、ですか?」

「勝者を賭けるのだ。まあ、私はレアンに賭けたがな」

「……それは、外国人の僕でも参加出来ますか?」

「あ、ああ」


 ミリアムの質問に、ガータが説明してくれる。

 そこから出た賭けの話題に対して、ティートはガータに問いかけた。それにガータが頷くと、眼鏡のブリッジを上げて立ち上がる。


「解りました。それなら、僕は女神に賭けてきます」

「ん! サムと、エリ様!」

「そ、そうか……って、待て待て。二人だけで動くな。今、人を呼ぶから少し待て。ほら、胴元の子分があっちにいるから」


 躊躇なく、エリ達に賭けようとするティートに一瞬、ガータは気圧されたが――すぐに我に返り、観客に賭けへの参加を促している男を呼ぶ為、手を振るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ