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異世界温泉であったかどんぶりごはん(旧題:パーティーを解雇されたアラサー女子はどんぶり屋を開く)  作者: 渡里あずま
第二部

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異文化(食事)体験

 ティート達と合流すると、彼らは魔法が使えなかったのでアジュール風の装いに身を包んでいた。いつもキッチリ着込んでいるティートは珍しく半袖シャツだし、サムエルとレアンに至っては素肌にベストを羽織っただけだ。細マッチョなサムエルと細いがしなやかなレアンにピッタリではある。もっとも落ち着かないそうなので、後で恵理達に洗濯された服を乾かしてほしいと言われたが。

 そしてアジュールの風呂文化については、体験したティートも貴族へのもてなしとして使えると思ったらしい。

 そんな彼に、ミリアムが提案したのは魔法で作った鳥に手紙を運ばせることだ。あまり大きなものは運べないので移動には使えないが、二、三日もあれば届けられるらしい。

 ミリアムにティートはお礼を言い、書いた手紙を風魔法で作ったらしい黄色い鳥の足に結わえてロッコに送った。恵理からすれば大したものだと思うが、ミリアムとしてはまだまだらしい。


みかどだと、瞬間移動も出来るらしい……頑張る」


 帝と言うのはSランクより更に上、帝都の冒険者ギルドに属する七人の実力者に贈られる称号である。黒と見紛う深紅のローブを纏って、顔や素性は隠している。武力も魔力も桁違いなので、エリとは別な意味でミリアムの憧れの存在である。


(と言うか、空席が出来たらミリアムも帝になりそうだけど)


 実力的には文句なしではないかと恵理は思うが、ミリアムなりにこだわりがあるらしい。まあ、無表情ながらも拳を握って気合いを入れているのが可愛いので、静かに見守ることにしよう。


「さて、食事を取ろうか」


 そんな恵理達に、ガータが声をかけて尻尾を揺らしながら食堂らしき部屋へと連れて行ってくれた。とは言え、テーブルはない。床に敷いてクッションを並べた絨毯の上に、たくさんの料理が乗った皿がいくつも並べられている。


「たくさんあるが、残すことは気にしないでくれ。アジュールでは、食べきる方が客をもてなせないという判断になるんだ。ただ、好きなように飲み食いしてくれれば良い」

「ありがとうございます……すごい……」


 そう言って、絨毯に腰掛けるガータに倣う。それからアジュールの料理を見て、恵理は思わず感嘆の声を上げた。

 山羊のチーズや羊肉の生たたき。サラダに始まって、串に刺して炭火で焼いた肉料理。更に、ひき肉を香辛料で炒めて煮込み、ナンにつけて食べるほぼカレーな料理もあった。とは言え、日本のカレーのように小麦粉を入れないのと野菜もそのままではなくペーストにしているので、恵理の感覚としてはスープに近い。


「香辛料が、たくさん……贅沢な料理ですね」

「他国から見ればな。汗をかくから、濃い味が好まれる。あと、この国では暑さなどで作ることの出来る作物が限られる。だから、売れるものを最大限の金額で売っているだけだ」

「なるほど……」


 ガータの説明に頷いたところで、恵理は口にしている料理であることに気づいた。

 ……これだけたくさん香辛料があるのに、砂糖はそれほど使われていないのだ。まあ、一般的な砂糖を作っているのはルベル公国のみなので、それを買う為にも関税を高くしているのだろう。


(だとしたら、てんさい砂糖って交渉材料になるかしら?)


 まずは武闘会に優勝して、交渉の場を設けることが必要だが。

 そう思い、恵理がティートを見ると――目線で考えていることが伝わったのか、微笑みながら頷いた。

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