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異世界温泉であったかどんぶりごはん(旧題:パーティーを解雇されたアラサー女子はどんぶり屋を開く)  作者: 渡里あずま
第二部

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百聞は一見にしかず

「改築って……だったら、これからもどんぶり店は続けるんですね!?」

「辞めたりは、しないってことですよね?」

「は、はい」


 椅子から立ち上がった二人に真剣に詰め寄られて、恵理は椅子に腰かけながらも後退った。

 けれど、恵理が二人からの質問に肯定すると――途端に、ドリスとテレサは「はぁ~」と大きく息を吐いて再び座り込んだ。


「「良かったぁ……」」

「え」

「だって、何か帝都から引き抜き来てるじゃないですか!?」

「追っ払ってるのは、見ましたけどぉ……確かに、店長さんの将来を考えるとロッコ(ここ)みたいな田舎にいるより、帝都に行った方がいいとは思うんですけど」

「ええ、思いますけど……」


 そこで一旦、言葉を切るとドリスとテレサは顔を見合わせ、先程同様キッと顔を上げた。


「「お願いですっ、ロッコにいて下さい!」」

「勝手なんですけど……どうか、お願いします」

「他のお店もですけど……エリさんのどんぶり店は、私達の癒しなんです」


 ドリスとテレサは、それぞれに力説して恵理に頭を下げてきた。

 そんな二人に、黒い瞳を見開いて――恵理は我知らず、祈るように自分の両手を組みながら口を開いた。


「……あの、改装するとしばらく……換気口を作り直したりするので、それこそ大浴場と同じくらいの日数、休むかもしれなくて」

「換気口って……もしかして、メニューを増やすんですか!?」

「え、ええ」

「そうしたら、あの、新メニューも勿論、嬉しいんですが……カツ丼も、定番メニューになりますか!?」

「……はい、揚げ物に力を入れられるようになりますから」


 予想外のドリスからの食いつきに、恵理は驚いた。

 そんな彼女に、テレサがやれやれと言うように笑いながら説明してくれる。


「ドリス、カツ丼大好きなんですよ」

「競争相手が多くて、一回しか食べられてないんですけど……めでたく定番メニューになったら、好きな時に食べられますねっ」


 テレサの言葉に、ドリスが両手で拳を握って力説する。

 一見、クールな印象だがドリスは結構、食いしん坊キャラらしい。


「どぉ? エリ、まだ不安かしらぁ?」


 今まで黙って見守ってくれていたルーベルに、恵理は首を左右に振った。


「……ありがとう、ございます」


 いくら一人で色々考え込んでも、相手が何を思っているかはこうして直接、尋ねてみないと解らない。それこそ『百聞は一見にしかず』だ。

 そして、不安を吹き飛ばしてくれた二人とルーベルに、恵理は感謝の言葉を伝えて組んでいた両手を、胸元に引き寄せながら頭を下げた。



「女神、ギルドマスター、お帰りなさい」


 大浴場から戻ってきた二人に、まずティートが言う。


「……エリ先生、大丈夫ですか?」

「ええ……お騒がせしました」


 次いで声をかけてきたヴェロニカに、恵理はそう言って頭を下げた。そんな彼女の黒髪を、ルーベルが子供にするようにクシャクシャッと撫で回した。


「ハイハイ、解決解決! でねぇ? 実はエリもだけど、アタシも新しいこと思いついちゃったの~」


 そして満面の笑顔で、ルーベルはポンッと両手を打って言葉を続けたのである。

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