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そんな訳でと新たな課題

 恵理が魔石の使い方や再利用について思いつき、ミリアムが倒れつつも頑張ったことは予想以上の結果を出した。

 畑での収穫量が増えた『だけ』ではない。

 魔石への付与は、何度もすることが出来る。ただ、消耗は元々の魔石よりは早い。だから廃坑する前のように、魔石を特産品にすることは考えていないとルーベルは言った。

 ……けれど一方で、この発想自体が大発見となった。

 まず、魔法使いを頼まなくても魔石さえ用意出来れば、魔力を付与することで農作物の収穫を増やすことが出来る。それからもう一つ、冒険者達の新たな収入源となった。

 と言うのもまず魔力は皆が持っているが、魔法という形で魔力を外に出せる者は限られている。元々の魔力量と教育故、魔法使いになれるのは貴族以上の者に多いが、平民にいない訳ではない。それ故、帝都には魔法学園があって平民も受け入れている。

 そして平民の魔法使いとなると、皇族や貴族に召し抱えられられなければ冒険者になるしかない。

 そんな冒険者達に、ルーベルは魔石への付与を依頼したのだ。

 属性複数持ちであり魔力量の多いミリアムほど、数も作れず早くもないにしろ、彼らも魔石に魔力を付与することが出来た。冬の寒空の下、外に行かなくても出来る依頼に魔法を使える魔法使い達は歓喜した。


「全員ではないけど、魔法使いは学者気質って言うか……エリ様の言葉を借りると『インドア』好きなの」


 とは、何故かドヤ顔でのミリアム談である。

 そんな訳でミリアムもだが恵理も魔法使い達、それから魔石のおかげでたくさん収穫出来るようになった農夫達に感謝された。

 いや、過去形ではなく今も恵理はずっと一目置かれている。


「元々、ラグー飯とリンスで街興しに一躍買ってるしぃ。雪が降ったらどうしても、狩りとかの依頼も減るからぁ。エリ様々って感じぃ?」

「ルビィさん……」

「それにこのこと、デファンスさんに報告したらぁ。すっごく喜んでたわよぉ? 雪こそ積もらないけど、やっぱり寒い時にも出来る仕事ってありがたいものねぇ」

「あ、はい」


 ひどく大事おおごとになっているのに、悪いことではないが困ってしまう。

 だが両手をピッタリ合わせ、顔の横に置いての乙女ポーズと笑顔で言われたのに、恵理はそう返事をすることしか出来なかった。


(……まあ、少しでも役に立てたなら何より)


 そんな訳で砂糖もある程度、手に入れられた(商品化するのは春以降だが)ので、親子丼はめでたく定番メニューになった。

 新たなどんぶりは、こうしてロッコで受け入れられたのだが――新たな課題も、浮上したのである。


「店長! 明後日は、カツ丼の日だろ!」

「……ええ、限定五食ですが」

「やった! 頑張って来るけど、親子丼みたいに定番になるの、楽しみにしてるからなっ」

「はい」


 男性客からの声に、恵理は何とかそれだけ答えた。

 ……そう、女性や子供客には親子丼が人気なのだが。

 男性客には、ティート達のリクエストが続いたのと、寒くなったからという理由で始めたカツ丼の方が人気なのである。

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