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新たな発見

 魔石は、魔法属性の色で淡く光る。そして発掘された魔石は、道具を動かす動力源として使われたり、魔法使いが己の魔力で魔武器を作ったりするのに使われる。


「それで、ウチの店に来た訳だ……まあ、確かに道具作ったり交換するのに、魔石も扱ってるからな」


 翌日、どんぶり店の昼休みの時間に何故か植木鉢を持ってきたミリアムと、彼女に連れられてきた恵理とティート、あとサムエルは鍛冶職人でドワーフのローニの店へとやって来た。

 ちなみにレアンとグイドは留守番である。


「それで、魔法使いの嬢ちゃん? 土だけに見えるが、何か種でも植えてんのかい?」

「ん。香草の種。アマリアさんから貰って、グルナさんの畑から土を貰った」

「とは言え、魔道具では土属性の魔石は使わないぞ? ウチの店にあるのは、火属性か水属性だ」

「ん、だからまず使い切った魔石、お願い」


 恵理の昨日の話を説明すると、ローニはミリアムへと話しかけた。

 それにミリアムが頷くと、ローニは一旦店の奥に入ってすぐに掌に収まるくらいの大きさの、灰色の石を持ってきた。何でも、鍛冶職人の仕事の中では使い切った魔石を道具から外し、新しいものと交換するということも含まれるらしい。


「使わせて頂きますね……ミリー?」

「ん」


 恵理がそう言って受け取り、ミリアムに手渡す。

 植木鉢を床に置くと、ミリアムはその石を両手で包み込み、祈るように目を閉じて――しばらく経った頃、カッと目を見開いて持っている石を皆に見せてきた。


「……出来た」

「おおっ!?」

「スゲェな、ミリー!」


 そう言って差し出された石は灰色から、地属性を示す黄色い色に変わっていた。

 無表情ながらもミリアムは満足げに言い、そんな彼女にローニは驚愕の声を上げ、サムエルは相棒を褒めながらその頭を撫でる。


「じゃあ、次は魔石で植物が育つかだな……種は、真ん中ら辺に植えたのか?」

「ん」

「んじゃ、魔石は端に置くぞ」


 ローニがワクワクした表情でしゃがみ、植木鉢に魔石を置く。ミリアムも目を輝かせて植木鉢の前にしゃがみ、そんな二人を恵理達が取り囲む。

 ……すると恵理の仮説通り、魔石の魔力に応えるように土から芽が出てきた。

 一同の前で、見る間に枝分かれして葉を広げる。一気に成長する香草に、ローニの鳶色の瞳が大きく見開かれる。


「すごいなっ、どんぶり店の姉ちゃんの言った通りだ!」

「そうですね。どれくらいの範囲や期間使えるかは、これから試してみますけど」

「……水属性なら、使いきった後の魔石に私、魔力付与出来る。協力してくれた、お礼」

「ありがとな、魔法使いの嬢ちゃん……ただ、むしろこれからも頼みたいから、報酬についてはしっかり相談するぞ!」


 そう言って、ローニが身長の割に大きな手でミリアムのツインテールを撫で回す。  

 その動きにつられて、無表情ながらも大きく揺れるミリアムにちょっとハラハラしたが、サムエルが支えるのを見て恵理はホッとした。

 そんな彼女に、輝くばかりの笑顔でティートが言う。


「これで、てんさい砂糖が作れます……新メニューも作れますね、女神!」

「そうね……てんさいやこんにゃく芋の栽培もだけど、砂糖やこんにゃくへの加工も獣人の皆さんにお願いすればいいかしら? そうすれば、安定した収入源になるわよね」

「流石です、女神!」

「あと、確かに親子丼でも使いたいけど……サトウキビ砂糖の高級感はないけど、てんさい砂糖も商品化したらどう? それなら、平民の口にも入るようになるでしょう?」

「何と!? ありがとうございます、売り上げの一部は是非、女神義援金にっ」

「いや、私が作った訳じゃないからね!?」


 当然のようにティートが言うが、アイデア料と言うのも申し訳ないくらいだ。

 それ故、新しい思いつきに使える予算だとは思いつつも、いつものように義援金を増やしたがるティートを止める恵理だった。

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