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異世界温泉であったかどんぶりごはん(旧題:パーティーを解雇されたアラサー女子はどんぶり屋を開く)  作者: 渡里あずま
第一部

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30/135

新メニューを考えています

 ……強かった夏の陽射しが柔らかくなり、朝晩が涼しく感じられるようになった。

 そんな中、今日もロッコには人々を乗せた無料馬車がやって来る。


「「「いらっしゃいませ!」」」

「おう! 嬢ちゃん方、また来たぞ!」

「今日もよろしくね~」


 大浴場からの案内嬢達に、口々に答えるのは近隣からの常連客だ。

 初めての客は彼女達について広場に行くが、常連客の彼らはまず大浴場に行ってひと風呂浴びる。

 となると、恵理達飲食店組が忙しくなるのは昼過ぎと思われるかもしれないが、意外とそうでもない。逆に大浴場目当ての客と被らないように、地元の者や泊まった者達は(酒場以外には)朝や午前中のうちに来るのだ。


 朝食の為に、あるいは旅のお供に焼き立ての惣菜パンを買いに行ったり。

 仕事前、観光客達を出迎える為の腹ごしらえとして、恵理の店やグルナの店で食べたり。

 そんな彼らが店を後にし、賄いを食べて一息つくと、今度は大浴場を満喫した観光客達がやってくる。女性客だけではなく、男性陣もリン酢効果でサラツヤの髪なのはご愛嬌だ。

 メニューのせいもあるだろうが、それぞれ初見は店主とは異性(恵理なら男性、グルナなら女性)の客が多い。とは言え、ロッコに何度も来る客になると他の料理も食べたいのか相手の店にも行くようになる。それ故、大浴場開店から二ヶ月ほど経った今となっては客層に偏りはそれ程ない。

 そして食事や買い物(リン酢やマテオの店の薬、ハーブなど)を終えた者達が帰ると、宿泊客達は酒場に向かってロッコ名物のりんご酒と料理を楽しむ。

 客層を分ける為、恵理達の店では酒を置いていない。とは言え、仕事を終えた地元民が夕食を食べに来るので閑古鳥が鳴くこともない。

 余談だが、どうせ往復するからと朝、出発する馬車にも無料で乗せたら宿泊客が増えた。おかげで素泊まり宿二号店も開店し、ルーベルはすっかりご機嫌である。


「……うちの店の売り上げも順調なので、次は新メニューを出そうと思うのよね」

「「「カツ丼ですか、店長(女神(師匠))!」」」

「うん、大好評なのは嬉しいけど違う」


 閉店後、レアンと様子を見に来てくれたティート、サムエル、ミリアム、グルナとそれぞれラムしゃぶ丼(やはり自分の脳内だとそう言ってしまう)とラグー丼を食べていると、男性陣が即座に目を輝かせてそう言った。

 確かにこれから寒くはなるが、台所の規模的に常時揚げ物はやはりキツい。

 それ故、彼らの反応に恵理は苦笑しつつも否定し、ミリアムは我関せずとラグー丼を頬張っている。


「俺が言うのも何だけど、やっぱ男は肉好きだよな」


 そう言いながらも、グルナが食べているのはラグー丼である。彼も肉は好きなのだが、今日はチーズやミートソースの気分らしい。


「それも、解るんだけど……アムレッソ丼とか、グルナの和風ピラフで醤油や味噌も認知されてきたから。私も、和食寄りのメニューを作りたいの」


 そんな面々に、ラムしゃぶ丼を食べ終えた(恵理は恵理で醤油の気分だった)恵理は自分の気持ちを打ち明けた。

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