ちょっとお子様向けにしてみました
本日二話更新です。
ティートと二人で、王宮に連れていかれたところ――恵理だけ風呂に連れていかれ、サウナとマッサージでもてなされた。
着替えはガータ宅同様、服を洗って貰った後に魔法で乾かしたので免れたが、考えてみれば今日は武闘会で闘ったんだった。いくら目立った怪我がないとは言え、そのまま料理は確かにまずい。
そしてサッパリしたところで、恵理は王宮の厨房に連れていかれた。
ありがたいことに、竈は二つ借りることが出来た。だから一つでタイ米を炊き、もう一つでカレーを作り出す。
そして少し考えて、恵理は先に炊けたご飯の鍋を一旦、アイテムボックスにしまった。
代わりに、フライパンで目玉焼きを二つ作る。香辛料が食べられている国ではある。あるが、一人は子供なので万が一、辛かった時は卵で味をまろやかにしようと思ったのだ。
(温泉卵でも良いけど、生っぽかったら苦手な人もいるのよね……だから黄身は半熟だけど、あとはしっかり焼くように両面焼きで)
何か聞かれたら、そのまま言って図星だと怖いので「太陽を模してみました」とそれらしいことを言うことにする。
普段は別々に食べている(まあ、王族と有名とは言え、平民なので当然だろうが)らしいが、今日は特別にサイードはアルゴの部屋で食べるそうだ。他の料理もあるが、先日のガータの時のように恵理の料理も一品として食べてくれると言う。
「あの……よければ、その料理の作り方を教えて貰えないか? 香辛料をそうやって使うのも、米をそうやって食べるのも初めて見る」
そして手作りルーを溶かし、器にタイ米と出来上がったカレーを盛り付けて、目玉焼きを乗せたところで、恵理は料理人らしい髭の男性にそう声をかけられた。嬉しさのあまり、恵理は即座に頷いて男に答えた。
「いいですよ。米は、知っているんですか?」
「ええ、隣のルベルから入ってくるから……ただ、普段は香辛料で味つけをして食べてるな。それだけだと、味がしないと思っていたら……スープや料理と合わせるなら、そのままでも良いんだな」
「そうなんです! 香辛料を普段使い出来るなら、こう食べると美味しいですから、ぜひ!」
髭ははやしているが、雰囲気としては二十代半ばなので恵理より年下だと思う。
とは言え、恵理は年より若く見えるので多分、年下だと思って話しているのだろう。だが、この異世界にカレー文化が広まるのなら、そんなことは全く気にならない。
満面の笑顔でアイテムボックスに一旦カレーをしまい、代わりに紙を取り出してカレーの作り方を書いていく恵理に、声をかけた男性や他の料理人達はうっとりと見惚れるのだった。
 




