新たな任務が出来ました
ティート達と合流し、恵理達がガータの家に着いた頃、ロッコにやっていたミリアムの使いが戻ってきた。その足元には、ティートが結んだものとは別の紙が結わえられている。恵理達は、皆でその手紙を読んだ。
『良いわよぉ! 出来ればそっちから、その揉み療治が出来る人にロッコに来て貰いたいわね~』
他にも書かれているが、端的に言えばこうだ。そしてもし来て貰えるなら、往復賃やロッコにいる間の食事や宿はルーベルが負担すると言う。
「……確かにね。素人がやると、揉み返しとかあって逆に具合悪くなるらしいし」
「怖、い」
エリの言葉に、ミリアムが無表情ながらも眉を寄せ、言葉通りの気持ちを示した。そして異国人のガータも、納得したように頷く。
「私も、揉み療治の心地好さは解るからな……しかも、そこまで優遇してくれるとは。我が家の使用人に、声をかけてみよう」
「ありがとうございます。ギルドマスターもですが、僕も微力ながら移動など手伝わせて頂きます」
そんなガータに、ティートはお礼を言って頭を下げた。それにうむ、と頷いてガータが玄関から入ると、一昨日のように使用人達が集まってきた。
「まずは風呂、それから食事だ……夕食には少し早いが、昼抜きだから良いだろう」
※
「まずは一回戦の勝利、おめでとうございます」
「おう、ありがとな」
「ありがとうございます」
蒸し風呂で汗を流しながら、ティートはサムエルとレアンを労った。それに対して、二人が笑って応える。
「ただ、師匠も心配してたけど……観客の圧、すげぇな。どんだけ血が見たいんだか」
「参加者は、怪我をしたくないから降伏してくれますけどね……最後の試合を見る限り、ああやって血を流すのが当たり前なんでしょうね。店長の言う通り、呑まれないように気を付けます」
「流石、女神……闘う前から、想定されていたとは」
「……闘技場を見て、何か呟いてましたから。店長のせ……故郷でも、似たような催しがあるのかもしれませんね」
サムエルとレアンが気を引き締めていると、ティートが感激したように両手を組んだ。
それに対して、レアンが当たらずとも遠からずな感想を口にする。実際はエリもリアルタイムにではなく、映画などの知識なのだが間違いではない。
「あ、そうだ。今日は髪を洗う時に、このリンスを使ってくれますか?」
「はい……あの、石鹸ではなくてですか?」
「石鹸で髪を洗った後、このリンスをつけてしばらくしてから流して下さい」
ティートが、エリから分けて貰ったリンスを男性の使用人に渡すと、不思議そうに首を傾げられた。
ロッコか帝都にしかないのだから、当然だろう。それに「お願いします」と、笑顔で促し――洗い終えたティート達の髪やレアンの尻尾が見事にツヤツヤになったのを見て、使用人からはひどく驚かれた。
それに笑みを深めながら、ティートは言った。
「これは、女神が発案した我が国のリンスというものです。効果は、見て頂けましたよね? まだあるので、よければ皆様も使ってみませんか?」
自分達男性陣だけでなく、エリ達にも使って貰うよう頼んだリンスは、ロッコの魅力を伝えて来て貰う為の第一歩である。




