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カイン姫騎士を助ける

地龍ガンガロスは草食の龍。ドラゴン系の魔物にしてはあまり強くない。


強くないと言ってもその姿は硬い攻殻を身に纏い、棘の付いた尾が特徴的で火炎を吐き、牙や棘が超高温になり辺りを破壊する。四足歩行で翼がなく、体長は大きいもので体長10メートルにもなる立派なドラゴンだ。


人が近付こうが害がなければ何もしない無害な龍とも知られるが、一度逆鱗に触れれば群を成して全てを平らげ、燃やし尽くし、破壊する。温厚な種だと言われているが龍の逆鱗に触れれば脅威なのにかわりない。


もちろん討伐では破壊の権現と化したガンガロスを討伐しているが、懸念していたよりもスムーズに討伐が進んでいる。


Aランク冒険者ゴルドリン・バルザのパーティー『黄土の騎士』の活躍やBランクパーティー達の活躍もありガンガロスはしだいに駆逐されていく。


所詮はCランク相当のドラゴンだ。Aランク、Bランクの冒険者が束になって襲いかかればドラゴンとて恐れるに足りない。


杞憂だったか。そう思った瞬間。ガート山が震えた。


「ガァァァァァ!!!」


「なんだあれ?」


山の頂上が爆発し、穴から翼の生えたガンガロスが10匹以上現れる。


「ガンガロスニュートだ」


どこからかそんな名前が聞こえてくる。ガンガロスニュートはガンガロスの亜種。

翼の生えたガンガロスは強さが跳ね上がり、狂暴性もガンガロスを上回る。


ガンガロスニュートのレベルは最低でも90。強い個体でもレベル70のガンガロスとは隔絶した力を誇り、何より宙を舞う。

討伐適性もBランク相当。だが、時にBランクもAランクであろうと喰う。宙を舞うとはそれほどにアドバンテージが大きい。


「こいつを見越してのAランクか」


「ガンガロスニュートは聞いてなかったな」


ここにいるCランク冒険者では手も足も出ない。大半がCランク冒険者で構成されたガンガロス討伐隊。その中のどれだけ宙を舞う敵への攻撃を持っている奴がいるのか。

ドラゴンともなればそこらの弓矢じゃ傷は付けても打ち落とすまでいかない。必ず魔法戦になる。見る限り冒険者の中で魔法に長けた者は一握り。早めに統率を取る必要がある。


「カイン。あんた魔法は?」


「いけるが、まだ空飛ぶ経験はないんでどこまでいけるかわからないな」


半分事実で半分嘘。魔法が想像力重視な以上やれなくもない。前世の世界での魔法を模倣すれば直ぐに魔法は使えるだろう。それにスキルを使って過去の俺に戻れば一瞬で灰塵に帰せる。

だが、スキルは使う気はない。あれは消耗が激し過ぎる。


魔法を模倣したとしてどこまで正確に当てれるかが問題。再現出来ても今のレベルでどこまでのダメージが与えれるか・・・


「ガンガロスニュート相手だと俺達も油断できない。パーティーで当たることになるんだが、あんたはどうする?」


「俺はとりあえず前線まで出てガンガロスの数を減らしてくるかな。いきなり俺がパーティーに混ざっても連携も出来ないし、前線で状況を見てくる」


「そうか。何かあったら直ぐ声掛けてくれよ!」


「その時は頼むよ」


力を入れて一気に飛び出す。


「早ぇなおい。どんなステータスしてんだ」


ザザの驚きの声をバックに一瞬で周りを置き去りにして山を駆け上がる。

Aランク、Bランクの冒険者がガンガロスニュートに手をとられるなかCランク冒険者だけでもガンガロスと余裕をもって戦えている。

走るなか危なそうな冒険者を何人か助けて前線まで登り詰めた。





予想に反して前線はすでにガンガロスニュートによって総崩れになっていた。

ガンガロスニュートのせいで高レベル冒険者が手を離せないでいるせいで、他のガンガロスニュートを相手に冒険者がパーティーを組み、連携をせざる終えないでいたのだ。


1ヶ所、銀甲冑を纏う集団がいた。


中央に銀甲冑を着た銀髪の美女。


周りを5人の銀甲冑の騎士が囲む。


美女と騎士とで計6名の銀甲冑の胸元にはドラゴンを剣が突き刺した模様が画かれている。


この模様はクリシアン王国、王家の紋印。


王家かそれを守護する騎士にのみ許された紋印だ。


日夜図書館で本を読み耽り、結果スキル【速読(極)】まで手に入れて読み漁った情報だ。間違いは無いはず。

本に書いてあった通りならば恐らく中央の彼女はクリシアン王国、王家の人間。

Aランク冒険者は彼女のための護衛もあったのだろうが、他のガンガロスニュートに手をとられている。だが、彼らがガンガロスニュートを相手しているお陰で被害が出ないで済んでいる。


周りの騎士は王家守護隊『シルバラート』だろう。


選りすぐりの精鋭。皆がスキル【レベル上限突破】を有しているって話だ。


だがガンガロスニュート7体に囲まれれば『シルバラート』でも厳しい戦いだろう。

少女を囲む騎士の中で中央でガンガロスニュート3体を相手にしている猛者がいる。辛うじて捌ききれているって感じだが、驚異的強さだ。

他の騎士は辛うじてガンガロスニュート相手に拮抗している感じで、力はほぼ互角。どちらが殺られてもおかしくない。


少女もただ守られているわけでなく、魔法を使い、ガンガロスの接近を許さないように防戦している。


ガンガロスニュートは山を粉砕して出てきた。巣分けをする際に巣を破壊するのはおかしいし、騎士達やAランク冒険者と戦っているガンガロスニュートはどこか焦っている。それゆえに此方に優位に働いているところもある。


魔物にとって人間は補食の対象。余程の敵がいなければ焦ることは無いはず。早めに体制を整えないとヤバイかもしれない。


考察を止め、ガンガロスニュートに的を絞る。


ガンガロスニュート3体を相手に善戦していた騎士の上をガンガロスニュートが1体すり抜ける。一瞬の隙を疲れ、守られている少女へと接近する。


「そうはさせないさ」


黒乃紅雲に手をかけ引き抜くと同時に刀身に炎を纏う。


ガンガロスニュートの首へと一太刀。豆腐を斬るようにすんなりと刀身が肉の中へと入り切断する。

レベルの上昇、防具によってのステータスの上昇、刀自体の切れ味、魔法による強化、体に刻み込まれた技術全てを駆使しガンガロスニュートの首を切り落とす。


「あ、貴方は?」


「俺はカイン。Eランクの冒険者だ」


やったことと冒険者ランクが噛み合わないことに驚かれる。


「すまない!助かった!君がゴブリンキラーのカインか!?」


「そうだが、その名で俺を呼ばないでくれ!凄い恥ずかしい!」


中央を守る騎士がニヤッとした顔で話し掛けてくる。すでにガンガロスニュートを1体斬り伏せ、2体目も虫の息だ。

こいつ気付いてわざと後ろに逃がしやがったな。


「カイン君。ちょっと手をかしてくれると助かる」


「わかってる」


騎士も直ぐに2体目を斬り倒し仲間の救援に向かう。俺は反対に展開していた騎士の助太刀をする。余裕が出来た騎士達は見事な連携を見せ、あっという間にガンガロスニュートを駆逐する。

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