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カインは集団クエストに参加する

「カインさん」


いつも通りクエストを受けるためにギルドに来ているとサイーナさんに呼び止められる。


「なんですか?」


「実は集団クエストの人員募集が来てるんですが、参加してみませんか?」


「集団クエスト?パーティーで、じゃなくて?」


「はい。集団クエストは討伐が大変な魔物や数の多い魔物にだけ出されるクエストです。緊急クエストとは違ってギルドが調査し、危険度を設定した上で冒険者に召集をかけるんです。うちでも何名か出そうかと思いまして、カインさんにどうかと」


「それは良いんだけど、何を狩るんです?」


「地龍ガンガロスの巣です」


最強種の一種、龍。ドラゴンと呼ばれる魔物。その中でも地龍の強さは下位だが、強力な力を持っているのには代わり無い。


「ガンガロスはあまり人里を襲わない温厚な種だと聞くが、何故討伐対象に?」


ガンガロスはドラゴン種にしては珍しい草食の龍。群を成して棲息し、互いを護り暮らしている。草食と言ってもそこまで食べる訳でもない。『山喰い』と呼ばれる魔物ダンガットローバ、超巨大な魔物に比べたら可愛いものだ。


「それがですね。ガンガロスは温厚な種なのでギルドでもあまり監視はしてはいなかったのですが、今回巣分けを行う程に数が増えた様でして。

しかも繁殖期とも被るのでかなり殺気だっていて近くの村も少なくない被害が出始めているんです。なので巣分けで大移動される前に巣ごと叩いて数を減らそうと言うことになりました。

報酬も国とギルド双方から出ますし、ガンガロスは龍種なので素材もかなりの額で売れると思いますので配当金もかなりの額になると思いますが参加してもらえないですか?」


「サイーナさんの頼みじゃ断れないよ。参加させてもらいます」


「ありがとうございます。これで集団クエストの危険度もかなり下がります」


嬉しそうに笑顔でサイーナさんはお礼を言ってギルド受付の中に入って手続きをしに行ってしまった。


ガンガロスの討伐適正レベルは60。強い個体でも70レベル。パーティーでの討伐適正は平均50もあれば討伐出来る魔物。


そして俺のレベルは少し上がって72レベル。肩慣らしに強者を探してサイーナさんの紹介で魔物を狩ったら一気にレベルが上がってしまった。それからは雑魚を倒してもピクリともレベルが上がらない。


ガンガロスの適正レベルは60。俺なら一人でも軽くあしらえる魔物だ。スキルの【レベル上昇値最大固定化】によって俺は72レベルだが、すでに100レベルの者と同等以上。


スキル【レベル上限突破】のスキルの取れるダンジョンの適正を軽く突破している。このまま一人で突破するのも悪くないが、それはそれで寂しい。


この集団クエストでいい人に出会えればなお良いのだが。そんな事を考えながら集合場所をサイーナさんに確認する。





集団クエストのあるのはトトカの街から離れた村『ササナ村』。ササナ村は農村で有名でクリシアン王国の中でも5本の指に入る広大な農地を持っているらしく。村規模には珍しくクリシアン王国騎士団が駐留しているほどの重要地だ。


「あんたカインさんか?」


ササナ村に向かうため、馬車に乗って移動していると茶色い革鎧を来たおっさんに話し掛けられる。因みに移動費は国の経費だ。


「あぁそうだがあんたは?」


「やっぱりそうか!あの『ゴブリンキラー』に会えるとは光栄だ。俺はザザ。ザザ・カトロってんだ。いや~若いって聞いてたがホントに若いんだな!」


『ゴブリンキラー』ゴブリンの巣を一人で殲滅してから呼ばれてる二つ名だが、正直ゴブリンキラーはやめてほしい。二つ名に雑魚の代名詞ゴブリンは流石に恥ずかしすぎる。


「それで俺を呼ぶのは止めてくれ『爆斧(バクフ)のザザ』」


爆斧のザザはBランク冒険者。トトカの街の冒険者ギルドで10本の指に入る実力者だ。

Bランク冒険者ともなるとレベルも80を超えてくるし、レベル上限突破のスキルを持ってる者も少なくない。


ザザの声に周りの皆もこいつがゴブリンキラーかとじろじろ見てくる。こっぱずかしい。


「あんたもガンガロスの討伐に呼ばれたんだよな?」


「あぁそうだが?」


「あんたみたいな強者が一緒なら安心だ。何かあったら助けてくれよ!」


「俺はまだEランクの冒険者だぞ。ザザさんに教わることはあっても助けれるほどじゃないと思うが」


「なぁに言ってんだ!ゴブリンの巣とゴブリンキングを一人で潰すなんて今の俺にもできんわ!ガハハハハ!!」


ザザのお陰で周りの冒険者とも打ち解け、旅の道中様々な情報をきくことが出来た。いくつかのパーティーに入らないか誘われたがとりあえずこのクエストをこなしてからと断った。


それから数日ようやくササナ村に到着した。



「私は今回クエストの指揮をとることになったゴルドリン・バルザである!グインの街の冒険者ギルドから来たAランクの冒険者である!」


黄色い鎧を着込んだスキンヘッドに立派な髭を生やしたおっさんがとパーティーメンバーと思われる人達が一段高いところから演説を始める。


Aランク冒険者。Aランク冒険者は皆がダンジョン攻略者で【レベル上限突破】のスキル持ちだ。なにせAランクの最低条件が100レベルを超えてることだからだ。本当の強者なのだろう。おっさんの纏う気はパーティーの中でも一際大きい。


「我らパーティー『黄土の騎士』が先陣をきりガンガロスを討つ。他の者は後ろからついてきてほしい!けして皆欠けることなく戦い抜こうではないか!」


総勢50名の冒険者。ギルドの代表としてきているため大体がCランク以上。Cランクと言えどレベル平均70以上。Cランクまで来るとレベルよりもステータスの伸びが良くないと上がることも出来ない。

ならず者ばかりな冒険者だが、Cランクともなると信用第一。信用がないとクエストを受けてもギルド側から断られることもあるほどだ。コツコツと信用を積み重ねないと次のランクに上がるのも厳しい。Cランクが1つの壁になってくるし、Cランクで生涯を終える冒険者も少なくないと聞く。

そこから考えるとAランクの凄さを感じる。


冒険者全員が雄叫びを上げ、腕を空に突き上げる。


「ガンガロスは観測情報で100を超える規模になってきているそうだぞ」


ザザが冷静な口調で話しかけてくる。


「100体超えだろうが、この人数なら何とかなるだろうが・・・ガンガロス相手にAランク冒険者がで張ってくるのを見ると何かあると考えちまうな」


「それはわかるが・・考えすぎじゃないか?」


「いや、ガンガロスなら殺気だっていようとCランクでも対応圏内だ。こんなに人を揃えるならAランクはいらないと思う。用心に越したことはないさ」


「そうかもな。うちのパーティーにも用心しとくように伝えとく」


出掛けにギルドマスター秘書のサイーナさんに今回は何かあるかもしれないと話があった。

ギルドでも集団クエストをだす際に基準があり、今回はガンガロス相手に集める冒険者の基準が高過ぎると話していた。


そんな事を考えているとガンガロス討伐に全員が動き出し、最後尾から爆斧のザザのパーティーと俺とで着いていく。


目指すはガート山。ガンガロスの巣。総勢100体におよぶ地龍ガンガロスが待ち受けている。

一歩一歩近づくごとにガンガロスの雄叫びが近くに聞こえてくる。

冒険者50名とガンガロスの戦いが始まる。

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