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カイン魔法を習う

ゴブリンの巣掃討と財宝の鑑定の結果と防具購入代金を差し引いたお金を受け取った。

元から持っていたお金と合わせて現在の持ち金は1000万ラタ。豪遊しなきゃ数ヵ月は暮らせる。

その間に身を固める。


今はサイーナさんに紹介された冒険者御用達のホテルに泊まっている。


「今日はどうされるんですか?」


ホテルの食堂で朝食を食べているとウエイトレスをしている同い年位の女の子に話しかけられる。彼女の名前はターニャ。このホテル『鷹の巣』のオーナーの娘だ。


「サイーナさんに紹介されて何組みか冒険者と組んでみたんだけど中々気が合わなくてね。だから今日は気分転換に出掛けようと思ってるんだけど良いところはないか?」


ここ数日新人冒険者や有望な冒険者とパーティーを組んでクエストをこなしたが、気が合わず中々上手くいかなかった。気の良い奴らだったが、攻撃の指向性、タイミング等々、どことなく合わずこれから長い冒険者生活をする上では折り合いが悪いと判断しパーティーを組まなかった。相手は俺と組めなかったことでかなり残念そうだった。


「良いところですか。それなら『魔法屋(マジックハウス)』なんてどうですか?カインさん程の腕ならもう覚えてるかもしれないけど魔法を教えてくれるとこなの」


「魔法か。それはいい。まだ魔法は習ったことがないんだ!」


「え!?そうなんですか!?冒険者は魔法と武器とスキルを駆使して戦うから魔法もかなりの腕なのかと思ってました」


魔法か。ゴブリンキングとの戦いで辛うじて刀に炎を纏わせることができた。それから使う機会も無かったから忘れてたな。

せっかく全属性が使えるんだ習っておいて損はないな。



ターニャから『魔法屋(マジックハウス)』の場所を聞き、早速来てみた。

店の看板にはデカでかと魔法屋と書かれている。

ドアを開け中に入ると意外にも中は閑散としている。


「いらっしゃい」


カウンターには10歳位の女の子が座っていた。


「お母さんかお父さんはいるかな?魔法を教えてもらいに来たんだけど」


「はぁ。私はもう30の女で、ここの店主ですけど?」


「はぁ!!!?30だって!?」


俺の反応にすでに飽きたようにしれっとした目で見られまた溜め息を吐かれる。


「あんたこの街は初めてね?」


「あ、あぁ」


「私はイサ、妖精族と人間のハーフ。だから身体の成長が遅いの」


「あ、あぁそう言うこと、か。びっくりさせんなよ」


妖精族は総じて体が小さく長命。ステータス成長で魔法方面にボーナスがつく種族で、基本4~5の間でステータスが成長するし、魔法方面のスキルの成長が早い。だが、体力方面のステータスの伸びが悪い。5がでない訳では無いのだが確率が格段に悪い。魔法に特化した種族だ。


「それで?魔法を習いに来たんでしょ?」


「あ、あぁ。よろしく頼む。魔法については素人なんで猿でも解る位簡単に教えてくれ」


「魔法のことを全然知らないなんて珍しいわね。まぁいいわ」


テクテクとカウンターから歩いてくると教本を渡される。


「まずそれに沿って説明するわ」


「猿でも解る魔法解説書、ね」


魔法は個人によって使える魔法が違う。火の魔法しか使えない人、2つ以上の属性を使える人と様々。

全属性の魔法を使える人はどの種族にもあまりいないが、珍しい訳ではないとのこと。妖精族なんかは頻繁に全属性適合者が産まれるらしい。


適合属性を調べる玉があるそうなので後で調べるとのこと。適合属性を調べとわかった適合属性がステータス欄にスキルとして記名され完了。後は魔法の練習あるのみ。


魔法の属性の種類は火、水、土、風、雷、光、闇、治癒、無の9属性。


最も一般的な属性は四大属性と呼ばれる火、水、土、風の4つ。


次に珍しいのは雷、光、闇の3属性。


最も発現が珍しいのが治癒属性。


誰でも使えるのが無属性。無属性は魔力操作による技術系の事を総じて無属性と言うので攻撃力はそこまでない。


魔法の発動に必要なのは器用の数値、イメージ、魔力コントロール、魔力だ。


イメージした物を形創るのが器用の数値、その形に魔力を注ぎ、溢れないように魔力をコントロールする。魔力が足りないと発動しない。多いと魔法の威力は上がるが、威力は魔法攻撃力に依存するため、それ以上は威力を出すことが出来ないので魔力コントロールは燃費を良くするためにもかなり重要になってくるとのこと。


魔法は決まった形が無いそうなので同じ様な魔法でも何をメインに構成を変えてくるかでかなり威力が変わってくるらしい。

だが、この世界の魔法には詠唱がないかわりにインターバルが必要。


ステータスの魔法攻撃力が低いのにそれ以上の攻撃力を出そうとしたり、器用が足りないのにそれ以上に細かい魔法を発動しようとすると容量を超えて魔法を行使することになるため発動に時間が必要になってくる。また、ステータスの数値限界を発動しようとすると発動に時間がかかる。


時間が必要な場合本人にしか見えない魔方陣が展開され、カウントダウンを行われる。魔方陣が全部消えた瞬間に魔法が発動されるらしい。面白いシステムだ。


俺のように全ステータスが同じ数字になってる者は限りなく少ないだろうが、数値の差が限りなく無い場合は、発動する魔法はインターバルがかなり短くなる。余程の大魔法でもないかぎりは俺なら一瞬で魔法を発動できるってことだ。


それにイメージもかなり大切で、しっかりイメージすることは器用の数値を補う効果もあるし、魔法に名前を付けるとイメージしやすいので推奨されてる。


無呼唱(ムコショウ)での発動も可能なので、タイミングを見計らって初めから発動準備をしておいてカウントダウン終了と同時に魔物にぶっぱなすなんてこともできる。だが、高位の魔物や人間は魔力を感知できる者が多いので、無呼唱でもできる範囲が重要らしい。


「ざっとこんな感じかしら」


「へぇ。かなり自由度が高いんだな」


「ま、無呼唱での発動は上位冒険者になる上で重要になるから、しっかりイメージすることね。イメージがしっかりしてないと魔法発動に時間がかかるから注意よ。じゃぁまずどの属性が使えるか調べましょう」


イサさんがカウンターの奥から人の頭ほどある大きさの水晶玉に9つの円錐の水晶が刺さっているものを持ってくる。


「これに魔力を通すと適合属性の水晶が光るから水晶に触って魔力を通してみて」


わかってはいるが、俺の使える属性は全属性ってスキル【英雄カインの魂】の中に含まれている。

だから光るのは全部。魔力を通すと思った通り円錐状の水晶が全部光。


「始めて見たわ・・・適応属性は全属性ね」


「そうみたいだな」


「あんた凄いことよ!!もっと驚きなさい」


「は、はい」


「まぁいいわ。ならまずどんな感じか魔法を使いましょう。こっちよ」


魔法屋の裏の運動場、25メートル四方の運動場に出る。中々広い。

運動場の真ん中には丸太が置かれている。


「あれに向かって魔法を使うわ。【ファイヤーボール】」


掌から頭代の火の玉が出て丸太に当たる。当たるが丸太は燃えず火の玉が爆散する。


「器用なことをするな。やっぱり呼名発動した方が良いのか?」


「そんなことはないわ。分かりやすく発動しただけよ。さ、やってみて」


「【ファイヤーボール】」


手を上に上げると巨大な火の玉を作り出す。手を丸太に振り下ろすとイサの【ファイヤーボール】と同じスピードで飛び、丸太に当たると爆発はせずに巨大な火柱を上げて丸太を燃やし尽くす。


「お~燃えたな」


「あんたもうファイヤーボールですらないじなゃない」


「イメージを変えるだけで随分変わるんだな」


「その通りよ。だから相手が呼名発動しても信用しないことよ。ひねくれた奴はファイヤーボールって言って水属性の魔法を飛ばすなんてあるくらいだからね。魔法戦は騙し合い。どうやって当てるかよ」


「自由度が高い分読み合いが大切だな」


「後は自分が出来ることをしっかり把握することと、どんな魔法があるかを知ることが大切よ。私は火属性の妖精族とのハーフだから火属性しか使えないけど他は本があるから見てく?」


「あぁ。そうさせてもらうよ」


それから日が暮れるまで本を読み明かした。色んな形の魔法が在ること。属性の特性にも別れるが形はあまり変わらないことを学んだ。魔法を知れば何とか魔法が使えなくても対処出来そうだ。


後はどう戦闘に取り入れていくか試行錯誤が必要だ。弱い魔物相手に色々試してみよう。

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