グラブ・ザ・ワールド
シラナイセカイ――それは世界を変えようとしたもしくは手に入れようとした――者の話
序章 日記
19××年×月×日
今日もつまらない。学校に行って、授業を受けて、部活に行って、帰って、家でも勉強する。いつも通りの日々。刺激がない。周りの人間は、身の程もわきまえずにこの自分を馬鹿にしている。非常におもしろくない。俺は間違っていないと思う。傍から見ても成功している方だろう。成績は上の下くらい、彼女もいて、部活でも真ん中くらい。ただ、友達はいない。中学の頃からひねくれてるとよく言われた。でも俺の生き方は間違っていないはずだ。ならば、社会が間違っている。だから、俺はこんなことを思い始めた。今日は特に何もなかったからそれを日記に書いておこう。
「世界を変えたい……」
そして、世界を変えるためには何が必要か。それは、世界を知ることではないだろうか。我々は日々学ぶ。しかしながらそれだけでは足りない。だとしたら、俺は積極的にかつ能動的に動いて世界を見つけなければならない。俺の尊敬している哲学者のフランシス・ベーコンは「知は力なり」と言った。有名な言葉だが、おそらく周りのやつらは倫理で覚えないといけないセリフ程度にしか思っていないだろう。けれども、俺にとってはそんな簡単に噛み砕けるものではない。俺はこれからの人生で知識をつけて、そしてそれを強みにして生きていかなければならない。
今日の日記は語りすぎた。明日もある。このへんで日記を閉じることにしよう。