第三話※ちなみに未成年の飲酒は違法だ、真似するな
「ちょっと……これ、俺の"ウンコマン"じゃないんだけど……」
俺は戸惑いながら自称悪魔のトナカイの妖精の幻覚に話しかけた。
……ああ、お前らそう言えば
俺の何十万字ある"ウンコマン"の筋書きを知りたいか?
おお、すげぇ、知りたそうな顔してるな。
しゃあねえな!教えるか(嬉)
凄く短く説明すればこうだ。
高校で超キツイいじめにあっている男子高校生が
ある日の夜中、いじめっ子から閉じ込められた体育倉庫から
何とか窓を割って脱出して
街灯が射した住宅街の夜道を帰っていると、
天敵のアナルマンに尻を掘られそうになっているウンコマンを発見する。
あまりに絵面が汚かったので見ない振りして通りすぎようとするが
「たすけてェ……」というウンコマンのか細い哀哭に
つい、ダー〇ナイトのジョー〇ーが分身したみたいないじめっ子集団からの
自衛のためにたまたま持っていた釘バットで
アナルマンの後頭部を十発ほど殴ると動かなくなった。
助けたウンコマンがなついてしまって、しかたなく家に連れて帰ったんだが
そこはさすがにウンコ、臭いがきついので
ファ○リーズをたくさんかけたら、臭いが混ざってしまい
違う方向で部屋の臭いがやばくなった。
仕方ないので窓を空け
二人で親の酒を盗み飲んでバカ話をして
夜が明けるのを待っていたら(※ちなみに未成年の飲酒は違法だ、真似するな)
なんかいじめられっ子同士気があってしまった。
夜が明け、ウンコマンを家において
高校に登校するわけだが、自分の席に座ろうとすると椅子が爆発するとか
ロッカーにハブ(毒蛇。沖縄産)が数匹入っているとか、
体育で走っていると、ピアノ線が首の位置に張られているとか
相変わらず命の危険を感じるようないじめを受けていたんだが、
7限目の歴史の授業のときに奇跡が起きた。
ヒー〇・レジャーそっくりのいじめの主犯格(女)が
先生から指名されたので、ダルそうに登壇して
第二次世界大戦中期における
ヒトラーとロンメル将軍の関係悪化について板書していると
ウンコマンが教室の黒板側のドアを物凄い勢いであけて
「ウンコアタ-ック!!!」というが否や
その女に抱きついて、持ち前のウンコ面でディープキスをかました。
その女は次の日から登校拒否になった。初キスだったらしい。
意外と繊細なジョーカーだったようだ。
そして学園生活が平和になった元いじめられっ子は
世界の謎と陰謀にウンコマンと共に巻き込まれていくという話だ。
トラックに轢かれて異世界に転生したり
二十四時間以内に大統領を救ったり
七人の妹に囲まれたり、魔法学校に入学したりするぞ。
釘バットに頭を割られた天敵アナルマンもアナルマンゾンビとして復活する。
どうだ読みたいだろう。うふふ。
アツく語りすぎてしまった。ああ、そうだ。現実に戻らねば。
「えっ……自分のじゃないって、どういうこと?」
自称悪魔のトナカイの妖精は動揺しすぎて顔が青くなっている。
俺は彼女の顔を見て合点がいってしまった。
検索してみると分かるが
"小説家になるお"サイトにはかなりの数の小説"ウンコマン"があるのだ。
お前らも暇があったら検索してみろ。
全国のウンコマンたちの夢の死骸だらけだ。
その中のひとつに彼女は間違って、呪文をかけてしまったらしい。
「ネットとか、もしかして全然しない?」
俺は目を細めて問いかけた。
「えっ、えっ、そ、そんなことないわよっ……携帯も勿論スマホよっ!」
彼女はさっきまで飲んでいたお茶が気道に入ったらしく
ケホケホッとかわいらしくむせている。
こいつ、やっぱり悪魔と何か違う気がしてきた……。
そのころ、二ヶ月半後にトラックに敷かれる運命だった
日本のどこかの孤独な無職が心臓発作で事切れた。
彼の楽○とア○ゾンからの発送報告だらけのメールボックスには
出版社からのオファーが山ほど届いていたという。