第十六話 強く信じてやり続ければ、どんな願いもかなう
今日はもっさんから相談を受けて
ひとりでマンションのもっさん家に来ている。
ノーナとワンワンオは二人でどこかへお出かけとのことだ。
「どうも、すいません」
ちゃぶ台の反対側の席に着いたもっさんは俺に謝ってくる。
「もっさん、どうしたの?何かあった?」
「ノーナ様のことです」
「……」
「どうやらまた悪い癖が出たみたいで……」
俺はピンとくる。先日そのようなことを言っていた。
こないだワープしたとこだな。
「また別の星を侵略してるのか」
「はい……。面白そうな星を見つけられたようで」
「うーむ……」
ハリセンで殴ってもやめないだろうな……。どうすべか。
「どのくらい侵略してるの?」
「まだ一国の一部だけだそうです」
「正直言って意外なんだけど……」
あいつにしては侵略スピードが遅い気がする。楽しんでるのか……?
「はい。意外と手ごわいようです」
「そうか……」
俺が叱りに行かなくていいならそうしたいが……。
「聞くところによると、ワンワンオさんはすでに駆り出されたようです」
それでワンワンオが最近やる気なかったのか……繋がってきたぞ。
真性ネトゲ廃悪霊のあいつがドラファ7以外でやる気を出すとは思えない。
俺は腕を組んで考え始める。
ワンワンオが行かなければならないのなら
かなり相手方が強力ということだな……。
「もしかして、それでダメならもっさんやリーファーさんも……?」
「ええ。いずれお声がかかるかと……」
それで俺に相談してきたのか……むむむむ。
「ワンワンオから現地の状況は聞いてる?」
「はい……全力で遊ばれているようです……」
「そうかぁ……かなりご迷惑おかけしてるなこりゃ……」
「悪魔としての御本分がありますから……どうしてもたまには……」
言葉を濁すもっさんに俺は頷く。仕方ないところはあるだろう。
ある意味悪魔と言う存在自体が天災みたいなもんだからな。
だとしたらだ。
「もっさんさ。ワンワンオにそれとなく相手方につくように言ってくれない?」
「敵にですか?」
「うん。そしたらバランス多少とれるだろう?」
「ですが……」
「ドラファ7のレア武器三つくらいやるって言っといて」
間違いなくノーナを裏切るはずだ。
ノーナもあの性格だし怒るよりむしろ面白がるだろう。
問題なのは俺がクソオンゲーに久々にインして
クソつまらんレア武器掘りを延々としないとならないことだが……。
まあ、原住民の方々の命には代えられないだろう……。
「難しいと思うけど、もっさんとリーファーさんも向こうに行ったら敵に塩を送ってくれると……」
もっさんはそこで俺を手で止めて、頬に手をあてて考え始めた。
しばらく俺がベランダを見ながらお茶を飲んでいると
「わかりました。たしかに難しいとは思いますが……何とかやってみましょう」
決意したもっさんがシリアスな表情で言う。
「あ、でも、もしさ、もしもだけどノーナが侵略完了しそうになったら……」
うーめんどくせぇけどしゃあねぇ。
「俺もそっち行ってあいつ止めるから。安心して」
言っちまった……。とはいえさすがに二度もアイデアのみで一発解決は
無理っぽいので惑星の原住民の方々にギリギリまで頑張ってもらうしかない。
もっさんとは今日の話は黙っておくという約束をして別れた。
ノーナの気が向こうにいってるから会話を察知されるとか
そういうのはないようだ。
帰ってくるとノーナがいつものようにベッドで漫画を読んでいた。
俺は全力でウンコマンの今後の展開を考えて
思考を読まれないようにする。
「おっさんさー☆」
「……ん、なに」
「こないー?楽しいよ☆」
さっそく誘われたが俺は行く気はない。
ワンワンオはうんざりした顔をしながらドラファ7をやっている。
「俺にはウンコマン~聖戦の調べ~を見てくれる読者が待っているからな!」
「そのどうしようもない駄作はいいとしてー」
「駄作ではない!!二十一世紀を代表する傑作だ!!」
「いいか!!強く信じてやり続ければ、どんな願いもかなう!!」
「……」
ノーナは物凄い見下した眼をしたあと、黙って漫画を開きまた読み出した。
俺は再びウンコマン~聖戦の調べ~を黙々と書き始める。




