ラストクリスマス
「クリスマスかー」
「だねー」
世間はクリスマスなのだが、相変わらず家にいて
ウンコマンⅡ~聖戦の調べ~を書きまくる俺と
ベッドの上でマンガを読み散らすノーナ、
そして床に座りドラファ7を黙々とやり続けるワンワンオである。
最近のネットでの流行りは
"彼女から24、25日は人が多いからやめよ?"
と言われたというネタである。
「ふーん。つまり24、25日は本命の彼氏で、
他の日は二番目のお前だよっていう意味なのね。
面白いわねー。人間世界、肉欲促進してるわ☆」
俺の思考を勝手に読んで、鼻を膨らませたノーナが調子に乗る。
「おっさんも私とやらない?
もちろん本命日の今日でいいわよ☆」
「すまん。執筆で忙しくてそれどころじゃない」
俺は振り返らずにウンコマンⅡ~聖戦の調べ~の第二話
"下水管より来るもの"を書き続ける。
こんな聖夜にアカシックレコードから降りてきた
伝説の文学作品を書けるなんて素晴らしいじゃないか、
そう思うんだ。逆にそう考えるんだ。の精神で
俺は物の怪やら悪魔が巣食うこの魔窟で書き続ける。
「できた!」
それはクリスマスももう終わりそうな25日23時12分のことだった。
俺は喜びのあまりガッツポーズをしたのだが……
ワンワンオはその喜びの声にも耳を貸さずにドラファ7をやり続け、
マンガを読み飽きたらしいノーナは俺のipodで様々なロックミュージックに浸っている。
「ねーThe1○75ってさー」
「できた!!第二話できたよ!!」
「八十年代の売れ線ニューウェイヴを現代のセンスでやってていいよね☆」
「おい!!この文豪の出世作ができたってばよ!!」
「でもでもスネアの音が高くなくて、ベースも八十年代のものより重いのよね☆」
「あああああああ我慢できねええええええ!!さっそく投稿じゃあああああああああ」
お気に入りのバンドへの愛を語り続けるノーナは無視して
俺は前に書き上げた第一話とともに"小説家になるお"の
マイアカウントの投稿ページ内にコピーペーストして
投稿ボタンを押す。
「よし!!あとは待つだけだわ」
俺はワクワクして、アクセス数の推移を見守る。
うむ。いきなり百件ものアクセスが来た。
まずは前作ウンコマンでついたファンの人がアクセスしてきてくれたな。
ふう。あとは読んでくれた人たちの評価を見守るだけだ。
ん?何?ウンコマンⅡ~聖戦の調べ~の内容が知りたい?
しょうがないなあ、お前らにもちょっとだけ教えてやるか……(嬉
物語は後に苦役聖人と呼ばれることになる
ボツリヌスの章から始まる。
舞台は前作の十二年後
前作で登場したウンコマンの十二人の妹が
風俗に行った疲れで眠っているウンコマンの隙を突いて、
ウンコマンを虚数空間へと封印した世界だ。
ウンコマンシスター達の中で一番かわいい
ウンコマンシスターナンバーファイブが
「私は天使なの」とYO!TUBEにあげた動画で宣言すると
またたくまに地球連邦政府の代表になってしまい、
その権力を上手く利用したウンコマンシスターたちの手により
地球にはかつて無い平和な時代が訪れた。
だが……裏では陰謀が企まれていたのである。
ウンコマンに頭を割られて復活したアナルマンゾンビが
復活した後にまた頭を割られたことを根に持っていて
埋められていた墓から復活した。
復活したアナルマンゾンビは
南アフリカのケープタウンを拠点に裏社会での活動を再開し、
その資金を元手に、日本でとんこつベースのラーメン屋を始めた。
そしてそのラーメン屋にたまたま食べに来た
ウンコマンシスターナンバーエイトとラーメン談義に華を咲かせてしまい、
「俺もウンコマンシスターズに入るわ」と
何となくウンコマンシスターナンバーサーティーンとして
生まれ変わったのだ。
ウンコマンシスター初の女装者の誕生である!!!
それを閉じ込められた虚数空間から為すすべもなく見ていたウンコマンは
自分が新たな性癖に目覚めようとしていることに気付いた。
なんと○んこが立っていたのであ………
スパパーン!!!
と小気味の良いハリセンが響き、後頭部をダブルでドつかれた俺は
何が起こったのかわからずに振り返る。
そこには無表情のノーナと無表情のワンワンオがハリセンを持って立っていた。
普段四足のワンワンオもその巨体で立っていて、前足にはしっかりとハリセンを抱えている。
びっくりした俺を尻目に、一人と一匹は何事も無かったかのように
ともにハリセンを床に置くと
元のポジションに戻り、さっきと同じことを続ける。
お、おう……なんか俺悪いことしたんだろうか……。
ま、まあとにかく、続きを説明するぞ……。
新たな性癖に目覚めたウンコマンは、脱出できない虚数空間で
アナルマンゾンビへの愛と性欲で、もがき苦しむことになる。
その苦しみから生まれたのが苦役聖人ボツリヌスである。
ウンコマンの苦悶が現実化したボツリヌスは
各地の無関係のラーメン屋をその不潔さで保健所送りにしながら、
元アナルマンゾンビ、現ウンコマンシスターナンバーサーティーンの
ラーメン屋本店へと迫る。
そこまでが第一話だ。そして第二話からは下水道での
ウンコマンシスターナンバーサーティーンとボツリヌスの死闘が始まるのだ!!
どうだお前ら、面白そうだろう?
ふふっ。超自信作だぜ。
投稿し終えた満足感で満面の笑みの俺に、思考を読んでいたらしいノーナが冷めた目で言う。
「ねぇー天使と悪魔の設定は?」
ああ、以前話したやつか。悪魔が増えると天使がどうたらみたいな。
「作品内に"私は天使なの"というセリフがあるだろ?
ちゃんと取り入れたぜ!!」
「ふーん……で、それだけ?」
無表情のノーナに若干ビビりながら俺は答える。
「う、うん。それだけ……」
「……」
無表情のまま固まって、口を閉ざして黙ってしまったノーナと、
大きなヘッドフォンをして"もう関わらないで"というワンワンオの気配を
背中にビシビシと感じながら
俺のクリスマスは過ぎていった。




