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トナカイの妖精    作者: 弐屋 丑二


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第十二話ワンワンオ

「ワンワンオって名前にしたから」

元俺のベッドに丸まって寝ているヘルハウンドを

座椅子にして漫画を読んでいるノーナがのたまう。

元の角の生えたロリボディに戻っている。

「ふーん……っていうかあの後、ちょー賀寿明にしぼられたんだけど」

クソオンゲードラファ7で、サブキャラを育てながら俺が言う。

「神社で長々と祈祷された上に、裸で冷たい霊水ぶっかけられもしたんだけど」

家にたどり着くとすぐに賀寿明と並んで、やつの親父さんから

深夜に及ぶ長いお払いをされたのである。

「何も憑いてないのにねー。大げさね☆」

お前俺に憑いてるんじゃないんかい。っていうのも言うのがめんどうだ。


「あのナイスバディの身体はどこいったのよ」

あの夜、長いお払いされて帰ってきたら元のノーナに戻っていた。

「ん、もっさんに預けてきた」

「まじ?保管とかどうしてるんww」

「もっさん年収二千万超えそうだし、あのマンションのワンフロア借り切ったわ

 空きありまくりで家賃安いし」

もっさんは最近、深夜だが地上波に出始めている。

俺がクソオンゲを文句言いながらやっている間も

使い魔のもっさんは休まず働いているのだ……えらい……。


「ところでこいつ当たり前のような顔して俺の部屋に居るけど

 だいじょぶなんかい」

「ワンワンオは私の(しもべ)になったからもう問題ないわよ☆

 定期的に魂食べさせないといけないけど、

 そのへんの浮遊霊とかとっ捕まえればいいだけだし」

「ふ、ふーん」

何か怖いこと言っている気がしたが、聞いていないことにした。

「とにかく生きている人様に迷惑はかけるなよ」

「りょ☆(了解の意味らしい)」


最近のドラファ7は大々的にカムバックキャンペーンとかやっているが

まったく変わらずに世界で700万人が固定ユーザーとして減りも増えもせずに

とどまっているという数字が発表されている。

どう考えても700万人留まる内容でないのに人が減らないのを

会社側もかなり不気味に感じているらしく

このあいだの株主総会で

「ドラファ7のポテンシャルが落ちたままだが復活させる気はあるのか」

と言った質問をした真面目な株主さんに

「莫大な収益をあげているのはみなさん知っての通りなのだが、

 会社側としても好調の理由は目下分析中である。サービスは継続決定している」

という困惑の入り混じった回答をしている。

その発言を受けて株価は爆上がりしたが、

ドラファ7がもはや経営の柱になっているのは

会社としても牢獄の中に閉じ込められた感じじゃないだろうか……。


ゲーム内は相変わらず

「ウンポコー」と街で誰かが言うと

「○ンポコー」(○の中にはランダムでチやマが入る)

「シブヤマダのお尻から出たものあったかぃナリぃ…」

とすかさず帰ってくる温かい世界となっている。

この間はGMキャラ(ゲームマスター、ざっくり言うとゲーム内警察。中身は社員やバイト)が

「仕事することないナリィ……」

とGMネーム丸出しで返していたのを見た。

「GMさんもシブヤマダのウンコのしまつお疲れナリィ……」

「クソゲーすぎてやめないでー(迫真」

などとレスされていたのが面白かった。


最近の匿名掲示板でのドラファ7の話題は

ドラファ7日本ブログランキング一位を初期から維持している

ジョイナスさんという東大卒で顔出しもしているイケメントップブロガーが

ゲーム内で書くことがなさすぎて

エクストリーム・アイロニング(極限地帯でアイロンをかける競技。検索したら詳細でるぞ)

のプロプレイヤーになってしまったということだ。

今日もジョイナスさんは日本アルプスでムキムキの筋肉を見せながら

アイロンをかける動画を嬉々としてアップしている。

再生数は上々で、ジョイナスさんのドラファ7ブログも

順調に人気エクストリーム・アイロニングブログになりつつある。


「ネトゲも面白そうねぇ……」

勝手に心を読んでいたらしいノーナに座布団を丸めてぶん投げると

ワンワンオが大きな顔を伸ばして嬉しそうに口でキャッチして

俺の手元に正確に投げ返してくる。

「お、おう……。あ、ありがとな」

「ヴァオッ」

気にすんな。という風にワンワンオは得意げに唸り鳴いた。

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