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遺産

青みがかかった惑星の最も大きな大陸の北方、海岸線まで千と数百キロ程内陸部に広がる

砂漠地帯の外れ、オアシス都市の外周部にある荒野に朽ち果てた飛行機や船や車などの残骸。

それは夕日も相まってさながら墓標のようである。


それは惑星アトラスの何処にでもあるスクラップ置き場の風景、スクラップ同様朽ちた看板には

【ハーマック商事】の文字が見える。

その横には【高価買取】や、【高リサイクル設備】等文字も見えるのだがやはりくすんだ文字で

見え辛い、きっと商売にやる気を失いかなりの時間が経つのであろう。


その敷地の中のガラクタを工具を使い解体している影が二つ、

坊主頭の未だ青年には達しておらぬであろう子供と何とか青年とよべるか?ひょろひょろっとした

ぼさぼさ頭の青年の二人である、いや、その脇に呆れたような顔をした黒髪眼鏡の少女が一人、

近隣の人達には有名な三人組であった。


坊主頭 「おいっ、本当に使えるんだろうな?、この無線機」

ボサ頭 「うん、多分大丈夫だから」

 「多分って、こんなに苦労して使えなかったら意味ねえだろ!」

 「でも取り外しちゃわないとテスト出来ないんだよ、この船動力ないし」

 「バッテリーつないでちゃちゃっとテストしてみようぜ」

 「だめだよ、|CP{{コンピューター}}も繋がないといけないから」


実に楽しそうに無線機のユニットを取り外そうと悪戦苦闘しているのだが何が楽しいのか

ちっともわからなさそうな少女がしびれを切らせたようだ。


黒髪眼鏡 「もー!えーやん、どうせまた壊れてるって、はよ帰ろうや」

 「いいよ、後は僕がやっておくから」

 「ちょっ、これ使えたらすげぇんだろ?ハル?」

ハル|(ボサ頭) 「うんっ、上手くいったら星間通信も可能かも!」

坊主頭 「すっげぇー!、ダリア、お前先帰ってろよ」

ダリア|(黒髪眼鏡) 「あかんって、またエディーにしばかれんで!」

 「ちょっと、静かにしてよ、ダ・・ディー!、クリスも静かに!」


「ハルー、ここにいるのかー?」

大声で大柄な男が近づいてき、三人を見渡しながらあきれ顔でため息を吐き出す。

「お前たち、また勝手に大事な商品に手を出してやがる」

「ははっ、父さん・・・」

「いいじゃん、べつに・・・」

「ハーマックはん、お邪魔してますぅ」

上からハル、クリス、ディー(ダリア)である。

「まったく・・・、まぁいい、お前らもう遅いから帰れ」

「続きは明日やろうぜ!ハル」

「はい、お父さん」

「お邪魔さん、ハルまたなぁ~」


ハルとハーマックはスクラップ置き場脇にある家へ、クリスとディーは自分の暮らす家へむかう。

すぐ近くにあるぼろいアパートへ入っていくクリス。


その頃夕暮れの官庁の一室、太った男が部屋の中を見渡し思案していた。

この男アトラス政府総務省港湾部門税務室長と大した肩書を持つ身分なのだが仕事上のあるミスを

おかしてしまっていたのだ、それは男の机の上に乱雑に置かれていた書類に目を通していた時に

見つけたもので一か月も前に緊急の案件として男のもとにまわってきた書類であった。

要するに忘れていたのだ、どうしようか悩んでいた男の視線がある男のもとに止まった。

前年よりこの課に配属された新人の男でたしか孤児院出身だった男だ、そうだこの男に押し付けてやれ。


「おいっ、そこのお前!、そうそうお前だ、ちょっと来い」

「はい、なんでしょう室長」

「この案件を急ぎで処理してくれ、つぶれた会社の宇宙ドックが見つかってな、どうも名義人が

変わってしまっているようだ、この名義人を見つけて滞納している税を取り立てて来い」

「はぁ~、名義人不明案件ですか?」

「いや、名義人はクリス・ブラントン、この町の住人だ、この督促状を渡して来い、今日中に」

「今日中ですか?もう退社時間ですが」

「いいから行ってこい!緊急の仕事だ、残業代はつけてやる、わかったな」


イッショウ・イノウエというふざけた名前の男は別にふざけた理由でこの名を語っている訳ではない、

赤ん坊の頃、孤児院の前で拾われ名づけられた子供はみなこのような名前になってしまう、

ともあれ彼イノウエは退社前に上司からいいつけられた仕事の為にクリス・ブラントンなる人物を

訪ねてこの治安の悪い地域をさまようことになってしまった。


「はぁ~、ここだな」

ため息をつきやっとこ探し当てた家の呼び鈴を押し、これでようやく家に帰れるなどど

おもいながら家の前に突っ立っていると家の中から厳つい男が出てきた。


「クリス。ブラントンさんでしょうか?私は税務署から来ましたイッショウ・イノウエと申します」

「あぁ、クリスか?、何の用だ」

「はい、クリスさん名義の宇宙ドックの兼でお邪魔しました、この督促状が・・・・」

「まぁまて、俺はクリスじゃあない、それよりドックだ?なんの事だ」


イノウエは上司から聞かされた話を説明し、督促状を渡して帰ろうとするのだがクリス・ブラントンなる

人物は子供で既に就寝中、今話をしている人物はクリスを引き取り育てているエディーなる人物だと判明、そして宇宙ドックの存在も知らなかったようで後日宇宙ドックの場所で

話し合いすることに決まり、その日は帰ることになった。


後日、宇宙港シャトル乗り場にエディー、その嫁のフラン、クリス、ディー、ハル、そしてイノウエの

一行の姿があった、その姿は家族旅行のようである。

道中シャトルの中で、


「クリス名義ってことはやっぱりおやっさんが残したってことなんだろうな」

「ええ、なんでしょうね、でもなんでガイアスに残さなかったんでしょう」

エディーの独り言にフランが答える。

その横で会話を聞いていたイノウエが聞く

「そのガイアスさんってのは?」

「ああ、ガイアスってのはクリスの兄貴のことだ、今は士官学校へ行っててしばらく会ってねぇがな」


懐かしげに昔のことを思い出すエディーは若いころクリスの父親の仕事を手伝っていた、

そしてフランもそこで働いていたのだが父親が亡くなり事業が経ちいかなくなったとき男気をだし

クリス達を引き取ると、一人で子育ては無理だろうと当時言い寄っていたフランとの夫婦生活が

始まるのだがそれはまた別の話にしよう。


そうこうしている間に目的地に到着しドックに降り立つ一同、かなりの年月の間ほったらしかていたので

あろういたるところでくたびれている。

それでもテンション駆け上がりのクリス、なにしろ憧れの船|(宇宙船)のドックであり、何よりも

それが自分の名義なのだ!ともに船好きのハルとともにはしゃぎまくっている。


ドック自体はそんなに大きなもので無く船がどうにか3隻程入ればいっぱい程度、しかもガラクタが

船一隻分程度ある状態でたいした資産価値はないのであろう。


そうやって色々調べているとガラクタで遊んでいたクリスとハルが大声を出し会話中の一行に近づいて

きた。

「すげぇぜ、船!船がある~」

「あれ船だよ、絶対に船だ~」


騒がしい子供達を落ち着かせ説明させるとあのガラクタは船をばらしたもので組み立てると船になる

らしい、どうやら大規模なオーバーホールの途中で止まっていたようである。

そしてガラクタの中に船の操縦室らしいものがあるらしい、鍵がかかり中には入れないが。

船があるなら資産価値もかなりのものだろうとその船室を調べてみたが、どうにも鍵が外れない。

手を尽くし調べたがどうにもならず諦め休憩していた時、ディーが入口らしきドアの脇に手をついて

みるとドアが開いた。


「生命認証、ダリア・フランキィティーと認めます、なにか御用ですか?」

おそらく船のコンピューターであろう音声が問いかけてくる


「何故ディーの生命認証が登録されてんだぁ?」

エディーの独り言のような問いかけに

「あなたはどちら様でしょうか?」

「俺はエディー、苗字なんてねえんだが元ブラントン商会の社員だ!、こりゃーおやっさんの船

だったんだろ?、なんでディーの生命認証なんだ」


コンピューターの説明ではブラントンは最後の時に宇宙ドックを息子のクリスに

この船をブラントンの片腕であった男、ダリルキッチの娘ディーに残そうとしたらしい。

クリスとディーは親同士の決めた許嫁どうしで自分たちの死後言いつけ道理に二人が一緒になれば

ドックと船が手に入るようにいたずらを仕掛けていたらしい


「まったく・・・、おやっさんらしい・・・」

早速船を組み立てようとするバカ二人を引き連れともかく今後の事を話し合うことに

ドックと船は手に入ったが滞納している税金も結構な額でドックと船を処分することになりかけたが、

クリスが猛反対、念願の船が手に入ったのに手放すなんてとんでもないことらしい、

現実問題負債は莫大なのだがなにせ名義人が反対するものだから無理やり手放させるわけにもいかず

どうすべきか考えていた時に助け船をだしたのは船のコンピューターであった、船だけに助け船である。


彼女の名はリンダ(おやっさんが名付けたらしい、船乗りたちは自分の船に女の名前を付ける風趣がある)

リンダ|(船のコンピューター)の説明ではこのまま船を組み立てればそのまま航海が可能で

この船は貨物船、ゆえに運送会社を立ち上げれば十分負債は返済可能との計算らしい。

話し合いは続くのだが船好きの馬鹿の意見を採用し一同は運送会社を開業することになる。


 

大変おそくなりましたが、ようやく2話目です。

プロットを用意していたのですが書き始めると結構変更点がありおそおそです!汗

ちなみに「遺産」は続きます

本当は一話で終わるはずでしたが・・・・

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