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何でも屋ホワイトドラゴン  作者: 梅谷 雅
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第三話 焼死体

第三話 焼死体

私は金霊に鈴音と名づけた。

鈴の音のようにきれいに育ってほしいという願いをこめた。

私は短縮形のスズで呼ぶことにしているのだが……

タッツー! ご飯だよー。

……スズ、どうしてそんな呼び方になった?

だって何でも屋さん名前は竜乃って言うんでしょ? だからタッツー!

私にそんなかわいらしい名前は似合わんよ。可能であればぜひやめてほしい。

嫌です!

即答か。まぁ、それは仕方ない……か。それで? 

どうしたの?

それは私の台詞だ。どうして飯がすべて黒焦げになっている。お前もしかして料理できないな?

そんなことないわよ! 私だってちゃんとオムライスぐらい作れるわよ!

オムライス? この消し炭が? 私には発がん性物質にしか見えない。

そうなの、おかしいのよ? ここのガスコンロすごい火力でつけたらすぐにこれなのよ

そんな嘘はつかんでいい。全くこれだから浮遊霊って奴は

私浮遊霊だけど遊んでるわけじゃないんだよ?

はいはい、分かりましたよ。さて、オムライスだっけ? 私がお手本を見せるからよく見ておけ。

はいはーい

まずは卵をといでおこう。三個ほど使えばふわふわにできる。次に米だな。とりあえずレンジで暖めてそこにケチャップをかけるとしてそうだ、肉がない。鶏肉が冷蔵庫に入っていたはずだからそれにしよう。

タッツー、気をつけてね!

うるさい、お前と違うんだから私は失敗などしない。こうやってフライパンに油を敷いてまず火をつける。そしてフライパンが温まってきたと思ったら鶏肉を入れて


ファイヤーーーーーーーーーーーーーーーーーー


タッツー! 鶏肉が黒焦げになったよ!

……スズ、さっきはすまなかった。おそらく彼は私の客だ。

タッツー髪の毛がちりちり

うるさいこれはもともとだ。こんな変な髪形になったのにも何かしらのわけがあると私はいまだに思っている。


ファイヤーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うるさい! あんたはさっきからこのコンロの中に入っているが何者なんだ。また幽霊か。

スズ、これはお前さんの依頼じゃないのかい?

私こんな変な知り合い居ないよ?

あのぉ

なんだ? しゃべれるのか

ムチャーーーーー

スズ、お前はうるさい。

すみません、聞きたいんですけどここはどこですか? 確か自宅に居たはずなのですが

(意識はあるが自分の記憶は失ってしまっているらしいな)

あんた、体はどうしたんだい?

体? そういえばないですね。……体がない!? どうして!! なんで体がないの!?

やめないか、君がそうやって騒げば騒ぐほど火の粉が飛び散っているんだ。その火の粉をがんばって消すエミの身にもなってやれ

そうなのよ! どうして私が水かけなくっちゃいけないのよ! タッツーがやればいいじゃない!

すみません……

やれやれ、一つ聞きたいんだが、君の名前とか君の記憶に関係あるものは今もっているかい?

持ってるといっても今俺が持ってるのなんて多少の記憶とこの炎の体しかないですし

そうだな、幸いあんたの体は人間サイズではない小さいものだ。とりあえずこのフライパンの上に居てくれ。そして場所を移ろう


私たちは屋敷から出て火が燃え移らない庭に行くことにした。

まぁ、気休め程度にしかならないなかった。

それは一応スズに庭の手入れはさせているが、雑草などはたくさん生えている。

屋敷の中だと貴重品とかを燃やしたくないという私のわがままがあるから外にでただけだ。

(炎の体で記憶はない。おそらくこいつの死因は焼死だろう。原因さえ分かれば成仏させてやるんだがな。もちろん、何かはもらうが)

あのぉ、俺は結局どうしてここに居るんでしょうか

言いづらいことなんだが、君はもう死んでいる。または危篤状態だ。危篤状態の場合は早急に君の本体を探して君を入れなければいけない。幸い私は何でも屋というものをやっていてね、君みたいな霊であろうと依頼主であることには変わりないのだよ。

そうだったのですか。俺なんか苦しかった気がするんです。

苦しかった? どういうことだ?

生活とかだと思います。お金がほしかったって言うのは思い出せます。何のためにお金がほしかったのかは思い出せないんです。

それは家に借金とかがあったんじゃないの?

(スズの奴、私も思っていたがストレートに言ったな。家が燃える心配とかしてないのかこいつ)

借金……そう、なんですかね? わからないんです。

仕方ない、私が力を貸そう。ただし、いい情報や私のほしいものがあったらそれと交換でいいね?

え? それはどういうことですか?


今から君を本にする


私は何でも屋という仕事をしているからね。人間以外の客だってたくさんくるんだよ。そういう人たちにも対応ができるように不思議な力だって持っているさ。

私はそういって一つの花を出す。

その花はガーベラだった。

その花は何?

ん? あぁ、ガーベラという花だよ。この花は『神秘』の花言葉を持つ。

そして私はその花を右手に持ち、炎の中に手を入れる。

タッツー、やけどしちゃうよ!

多少のやけどは仕方ないさ……彼の苦しみのほうがよほど痛い。はっ!!

その掛け声とともに炎は一冊の赤い本になった。

その本の題名は【少年】だった。


分かりにくいもんだな。題名からではどんなものか想像がつかん。スズはわかるかい?

タッツーが読み聞かせてよ!

やなこった。スズに読み聞かせるぐらいなら普通に読んだ方が早い。


本の内容はシンプルなものであった。

出生から始まり学校生活、そして中学時代に父親が借金を残して逃げだし母親は女で一つでこの少年のことを育てていた。しかし、少年が高校生のときに母親が病に付して死亡。

その後母の残した遺産などを節約して使うことで苦労して生活をしていたらしい。そんな中、父親が現れて少年の家の金をすべて持ち逃げ去った。

すべてに絶望したこの少年は自分の家を自分で燃やし焼身自殺をした……か。

体のことも書いてあるがこれは病院に運ばれたときは手遅れだったらしいな。

かわいそうな話ね

そうだな、せめて安らかに成仏できればいいのだが

本をフライパンの上に置き、パチンと指を鳴らした。

すると元の炎の体に戻った。

どうでしたか?

言いづらいんだが、君の体はもう死んでいたよ。君は父親や自分の人生そのものに絶望をして焼身自殺をしたらしい。

……そうか、そうだったんですね。

すまない、力になってあげられなかったようだね。私に何かできることはあるかい?

私を本にしてもらえますか?

ん? どういうことだい?

私を本にしてその本を私の父親に渡してほしいんです。

それで何かが変わるとでも? くだらない。そんなことをするぐらいならとっとと成仏してしまえ

俺が本になって父に読んでもらいたいんです。俺の……俺と母さんの悲しみを知ってほしいんだ。もう死にゆく俺ができることは、せめて俺の生き様を見て悔い改めてもらうことだ。もう俺みたいに人生を狂わされる人が出ないように……

――勝手にしろ。その代わり、それが終わったら成仏すると誓え。私へのお礼はそれでかまわない。

はい、ありがとうございます。


その後、私は彼の言うとおり彼を本にして父親に渡した。

もちろん彼だということは告げずにこの本を一度読んでみてください、この本を出版社に渡したりすればあなたは金持ちになれるかもしれない。ただ、内容を知らないとあなたは内容を聞かれたときに嘘がばれてしまいますよ? とかとにかく適当にでまかせを言って父親に本を渡した。


私の考えでは数日たてば本は自然と私の家に帰ってくると思っていた。

しかし、本が帰ってくることはなかった。

私は彼の行方が気になり出版社にとにかく電話をしまくった。

すると私と面識のある社員から呪われた本の話を聞かされた。


(あぁ、何でも屋さんか)

久しぶりです梅宮さん。とある赤い本を探しているのですがご存知ありませんか?

(呪われた本のことだな。本当にあれはなんだよ)

呪われた本?

(その本をはじめに知ったのはある男性からの電話だったらしいんだよ。すごい本を作ったから読みに来てくれというものだったんだけどさ、本来俺達は著者の下にいくことなどありえないんだよ。特に無名の作家なんて尚更ね。でも、あまりのしつこさに新人社員が行くと言っちまったんだよ)

ほぉ、それでどうだったんですか?

(その本を持ってその男らしき人が焼け死んでいたんだと)

焼け死んでいた?

(あぁ、それでうちの新人が気になって持ってきちまったらしくてさ、その本を読んだらそいつも焼死体で見つかったよ。新聞見れば分かると思うよ)

その本は今どこに?

(あぁ、気味が悪いってんでもう燃やしちまったよ)

第三話です。

ありがとうございます

さて、この話は二重の不孝について考えたとき浮かんだものです。

一度目の不孝を味わったあとに二度目の不孝がやってくる。

いやぁ、やってきてほしくはないですね。

面白く面白く書こうという風に考えているのですが、どうも自分の面白いと思う作品をかいていく傾向があるらしいです。

誰が呼んでも面白いと思ってくれるような話、作れたらいいですね。

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