【マザースライム、現る】
【マザースライム、現る】
スライムの森の奥。
来夢とスライムたちが笑い合うその空気を、一瞬で凍らせる――“気配”が、森に満ちた。
「……アオ……今の、なに?」
来夢が震える声で問うと、アオの青い髪がわずかに逆立った。
「……マザー、だよ。ぼくたちスライムの母親……」
ズン……ズン……
地響きのような振動。
森の奥から、巨大な影が――溶けるように現れた。
透明な液体が幾層にも重なったような巨大スライム。
大きさは木々を超え、中心には「人間の顔のような仮面」を宿している。
その瞳が、じっと来夢を見据えた。
> 「……人間よ……なぜ、おまえが我が子らに《名》を与えた?」
来夢は一歩も退かず、スライムたちの前に立つ。
「この子たちが、寂しそうだったから。だから――」
> 「名付けは“血の契約”……本来なら、母である私の務め……
それを奪うは、“掟破り”……」
マザースライムの声が、森の空気を重くする。
> 「ならば試練を受けよ。“偽りの親”ではないと証明してみせよ――来夢。」
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試練の宣言
《マザースライムは試練を告げた》
「来夢よ。この者たちに“真なる名”を刻んだというのならば――
“その絆”を証明せよ」
> 「孤児たちを守り抜け。
それが叶えば、おまえを“準母”として認めよう――
だが、守れなければ……“名”は取り消され、進化は失われる」
アオが来夢の手を握った。
「……ぼく、信じてる。来夢が、ぼくたちの“おかあさん”だって」
チュルルたちも、次々と来夢のそばに寄ってきた。
「絶対、負けないもん!」
「母って、なんだろ……でも、好きって気持ち、きっとそれだと思う」
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次回予告風
スライムたちの絆をかけた“試練”。
それは森に満ちるスライムの暴走個体たちの中を突破し、「心の結びつき」を証明する旅。
だが、その裏で、マザースライムにもまた隠された“過去”が――?