プロローグ
「私の異世界、時々スライム」の再編集版です。
『スライムと、須藤来夢の異世界転移日記』
プロローグ
私の名前は――須藤 来夢、高校二年生。
特技もなければ目立つタイプでもない、どこにでもいる普通の女子高生。…のはずだった。
なのに。
目が覚めたら、私は見知らぬ草原に立っていた。
「ここ……どこ?」
制服のスカートが風に揺れる。スマホは圏外。人の気配もない。
頭が追いつかない。けど――これは、もしかして“異世界転移”?
ゲームとか漫画じゃあるまいし……そんなバカな。
そう思った、そのときだった。
ぷるん。
足元で、何かが弾けた音がした。見下ろすと、透明感のある水色の物体がぷるんと跳ねて、こっちをじーっと見ている。
「……うそ、スライム!?」
まさか、ね?
あれってゲームの中だけの話でしょ?それとも私、まだ夢の中?
「……ホントに、スライム……だぁ……(°〇°;)」
その子は小さく震えていた。怯えてるような、助けを求めてるような、そんなふうに見えた。
「……この子、子どものスライム?」
直感で分かった。この子は弱くて、はぐれちゃって、きっと、誰かに見つかったらやられちゃう。モンスターとして、討伐されちゃう。
「……私が、何とかしなきゃ!」
スライムの名前? そんなのまだ分かんない。
でも、私は――
須藤来夢。
スライムと出会って、運命がちょっとズレはじめた、普通じゃない女子高生。