第百七十九話 隠された優しさの警告
全科目合同訓練は、驚くほどあっさりとその幕を下ろした。
これはあくまで訓練。
運動会でもないので、祝賀会をするようなこともないそうだ。
合同訓練が開けて翌日、食堂の空気が一気に明るくなった。
衝立は取り払われたまま、合同訓練前のどよどよと非難するような空気は、嘘のようになくなっている。
授業時間が違うため、食事を同席したりすることは相変わらず稀だ。
だがあの一件で興味を持った相手や、顔見知りになった相手に、食堂や共同区画の廊下や図書室で、見かければお互い声を掛ける機会が増えた。
ネイバー校長の思惑、結束を固めるという方向は上手くいったようだ。
上に立って指示する立場の難しさを痛感した基礎科。
守ることの難しさを体感した護衛科。
それぞれ思うことがあった様子で、合同訓練後、何人かに言い過ぎたと謝罪された。
しかしあの時ウガラシを守れず、手も足も出なかったのは事実だ。
そう言って、魔法科の面々もそれぞれ謝られる度謝罪し返せば、直面している脅威がとても大きいと実感したのだろう。
基礎科生徒も護衛科生徒も、皆緊張した面持ちに変わっていた。
基礎科の王侯貴族たちにとって、シマスの王都ウガラシがああなってしまっては、明日は我が身だ。
そして彼らを守る護衛科も、他人事ではすまされない話。
シマス国の混乱はまだ続いているし、被害者も多かったから後ろめたい気持ちはある。
でも犠牲になった人たちのためにも、女神深教の連中は止めないといけない。
改めて意気込みながらルドーが食堂に向かえば、三つ子が珍しい相手を捕まえていた。
「とくべつしょうのおねぇちゃん!」
「とくべつ!」
「剣おしえて!」
「うっ、まだ早いです!」
可愛らしく群がってきた三つ子に、完全に狼狽えていたサンザカ。
ルドーが横を向けば、サンザカの護衛対象のオリーブは、すぐ傍のテーブルで優雅に朝食中。
時折眺めては微笑ましく見ているので、完全に容認して放置している様子だ。
魔人族が審査して与える、特別審査証。
ボンブやキャビン、ザックとマイルズと例の頭に羽の少女。
三つ子と一緒に全員が話し合った結果、最初にキング駒を奪ったサンザカが、特別審査賞に選ばれた。
てっきり三つ子はカイムを選ぶのかと思っていただけに、ルドーにはこの結果は意外だった。
なんでもキング駒を奪った瞬間のサンザカが、三つ子には物凄くかっこよく見えたらしい。
ボンブ達魔人族の大人組も、戦略的に勝利したサンザカの動きに感心し、ザックとマイルズはなんかよくわからないけどすごいと同調していた。
頭に羽の生えたあの子は、ずっとカイムに一人投票していたらしいが。
「あっ! ル、ルドーさんどうにかしてくれませんか!?」
思い返しながら食堂を進んでいると、ルドーに気付いたサンザカに助けを求められた。
三つ子もルドーに気付いて、味方になってくれと声を上げ始める。
「ルドにぃ! ルドにぃもお願いして!」
「とくべつしょうのおねえちゃんに言って!」
「かっこよかったんだもん! 剣がこう、すぱぱぱーんって!」
周囲を囲まれてきゃいきゃい褒め称えられるサンザカ。
嬉しさと恥ずかしさからか、顔面が真っ赤になってうろたえている。
「私にはオリーブさんの護衛があります! ルドーさんいつも一緒にいるでしょう、なんとかしてくださいよ!」
「うーん、俺に言われてもな……えーっと、キャビンさん、カイムは?」
三つ子を特に止める様子もなく、少し離れた所でオリーブ同様微笑ましく見ていた、三つ子の護衛のジャージー牛のキャビンに、ルドーは声を掛ける。
三つ子をどうにかするなら、まずカイムに声を掛けて話を聞かないと。
「ここに来る前になんかあの子と一緒に捕まってたわねぇ」
「捕まってた……?」
「ほら、昨日の訓練の時に指示してた男子よ、なんだか揉めてたわねぇ」
『あー、あの指示役の奴か』
「ベゴニーとか言ってたやつか? 揉めてたか、まぁ揉めるか……」
ふぅと息を吐いたキャビンに、ルドーはやれやれと頭をガシガシかいた。
訓練前日、ウガラシの対応にルドー達へ非難の声をあげていたベゴニー。
熾烈ながらも尤もな指摘をする真面目さから、厳しくも正しくあろうとする性格が伺える。
昨日チームに入っても思ったように動かなかったクロノとカイムに、文句でもつけているのだろう。
「「「教えてぇ!!!」」」
「うっ、あっ、だ、ダメです!」
「うーん、確かにサンザカの剣技すごかったから、何なら俺も教えてもらうか」
『おっ、いいねぇ。いっちょ派手にやるか』
三つ子が憧れるのも納得の、昨日の訓練でのサンザカの剣技。
確かに三つ子の言う通り、教えてもらうのも一つの手かもしれない。
ルドーが両手を組んでそう悩み始めると、サンザカは絶望顔に変わった。
「そっちの味方になるというのですか!?」
「お兄ちゃんどうしたの?」
「あぁリリ、三人がサンザカに剣教えてくれってせがんでて……」
「お助けええええええええええええ!!!」
食堂に合流してきたリリアに、ルドーが事情を説明しようと口を開いたところで、男子生徒が食堂入口から吹っ飛んできた。
悲鳴をあげて吹っ飛ぶ男子生徒に、食堂全員の視線が奪われる。
真直ぐ横に吹っ飛んだその男子生徒は、ギャグマンガの様にバシンと食堂奥の壁に叩き付けられ、そのままドシャッと床に落下する。
何が起こったのかと、ルドーはまじまじとその生徒を観察した。
色が抜けたような白鼠色のオールバック、挙動不審な青白磁色の瞳。
昨日チームの基礎科生徒にタコ殴りにされていた、ヒルガとかいう基礎科の生徒だ。
「ぐ、ぐぅ……」
「用意してないってどういうわけ?」
「話が違うぞくそが」
食堂入口から声がしてルドー達が振り返れば、カイムとクロノが入ってきた。
どうやらヒルガを吹っ飛ばしたのはこの二人のようだ。
一体何事なのかと、ルドーはリリアと一緒に慌てて駆け寄って声を掛けた。
「お、おい、カイム、クロノ、どうしたんだ?」
『珍しくド派手なご登場だぜ』
「こいつ、昨日言ってた限定スイーツ用意してないって」
「チビどもが楽しみにしてたってのに、どうしてくれるんだよ」
「えー!?」
「ないのー!?」
「なんでー!?」
「「「やだー!!!」」」
「あー……」
「楽しみにしてたもんね……」
カイムとクロノの話を聞いて、三つ子が途端に悲しみ始めた。
リリアがそっと三人に近寄り、よしよしと頭を撫でて慰める。
昨日の追加交渉で協力条件だった、限定スイーツ。
それが用意されておらず、交渉を不意にされ、カイムとクロノは怒り心頭のようだ。
三つ子の為の交渉条件、それが不意にされるのは、この二人にとっては地雷過ぎる。
機嫌の悪そうなカイムとクロノから、ルドーがヒルガに視線を移せば、ヒルガは途端に慌てだした。
「じっ、時間の指定してなかったから! 昼食! 昼食までに間に合わすんで!」
「昨日その話ししようとした瞬間逃げ出したやつだれだっけ?」
「信用ならねぇくそが、ぶちのめすか」
「おい二人! 話は終わってないぞ!」
床に這いつくばって震えるヒルガに近寄る、カイムとクロノ。
そこにやはり揉めていたのだろうか、二人を追いかけてベゴニーが食堂に入ってくる。
「こっちはもう話ないんですけど」
「しつけぇ! あっち行けやくそが!」
「そっちだってこちらの指示通りには達成できていないだろ! 勝利出来なかった以上、交渉は不成立だ!」
「えっ、マジ? やったぁ!」
ベゴニーの指摘にヒルガが歓声をあげたが、カイムが即座にギッと睨んで、ひえっと悲鳴をあげる。
カイムとクロノに向かって叫ばれたベゴニーの主張に、クロノは腕を組んだまま、大きく溜息を吐き、呆れたように首を振った。
「なにが不成立よ、なんか勘違いしてない?」
「なんだって! こちらの指示に従わず、散々勝手したのはそっちだろう! そんなんだからシマスも――――」
「あーもう、ベゴ。みっともないけんやめんかいね」
続く喧騒に、オリーブが食事を一旦やめて、座ったまま声を掛けた。
はぁと呆れたため息を吐いたオリーブに、ベゴニーはくってかかろうと近寄る。
サンザカが警戒して、即座にサッとオリーブの前に出て剣に手を掛けた。
「みっともないのはこの二人だろ、あれだけやって負けるだなんて」
「ほんまに勘違いしとんねな。ベゴニー、負けたんは二人には関係ないで」
「えぇ?」
オリーブの話に、横で聞いていたルドーがつい怪訝な声をあげた。
リリアも不思議そうに首を傾げたので、オリーブはニッコリ笑いながら、ルドーとリリアの方を向く。
「契約って言うのはな、ちゃぁーんと確認しとかんといかんもんやて。昨日のヒルガ、クロノっちゃんたちになんて言って交渉したか覚えとる?」
問題定義するように、オリーブは指をあげながらルドーとリリアに声を掛けた。
腕を組んで苛ついた様子のベゴニーが、だからどうしたとわんばかりの反応をしているのを横目に、ルドーはなんとか思い出そうと頭を捻る。
するとリリアがあっと声をあげた。
「たしか、指示に従って訓練に協力を、としか……」
「せや。チームの勝利、交渉条件に入れてへんのよ。交渉通り、二人はきちんと訓練に協力した。チームが勝とうが負けようが、クロノっちゃんたち二人には関係ないんよ。これは交渉した基礎科の落ち度やで? ベゴ」
両手を合わせてニッコリ微笑みながら、オリーブはそう言ってベゴニーに向き直った。
指摘されたベゴニーは、雷に打たれたような顔をしている。
「はぁ、だから言ってんじゃん。こっちはそっちの言われた通りにしかしてないって」
「文句言われんの筋違いなんだっつの」
いい加減分かったならあっちに行けと、カイムとクロノは二人してシッシと手を振った。
リリアとオリーブの話に、ルドーも思い出した。
確かにヒルガは、訓練に協力するようにとしか言っていない。
チームを勝利に導けとか、絶対に勝てとか、そういうことは一切言っていないのだ。
訓練を真面目にこなせば、それだけでカイムとクロノは協力したことになって、交渉成立。
ベゴニーに勝てなかった文句を言われても、それはベゴニーの責任。
カイムとクロノには全く関係のない話になるのだ。
「あー、そっかなるほど。確かに言われてみればそうだな」
「カイムくんもクロノさんも、その通りにしかしてないもんね」
『やっぱ商会の人間は伊達じゃねぇな』
「交渉は基本中の基本やからね。そういうわけやけん、ヒルガ、逃げられへんよ。大人しゅう三ヶ月、二人に限定スイーツ渡したりなね」
「ヒルガお前ええええ!」
「ひえーん……」
交渉内容を思い出し、どうしてそんな条件にしたのかと、ベゴニーはヒルガの襟をつかんでぶん回し始めた。
やれやれと食事に戻ったオリーブ。
しかしサンザカの方に三つ子がまた群がり、カイムに声をあげた。
「カイにぃ! とくべつしょうのおねえちゃん!」
「あぁ?」
「剣教えてほしいの!」
「俺も!」
「僕も!」
「ダメだと言っているでしょう! す、すみません! なんとかしていただけませんか!?」
「剣だぁ?」
向けられる声に、カイムはどうしたものかというようにボリボリ頭をかいた。
そう言えばカイムもボンブも、武器を使った魔法の使い方ではない。
魔の森の中での生活では、魔物の襲撃頻度が上がる可能性があって、武器の作成は難しいのかもしれない。
実際カイムは以前、魔人族は鉱物は使わないと言っていたし、武器の製造を魔人族はしていないのだろう。
カイムは武器を持たせていいかどうか、判断できない様子だった。
困惑していたカイムに、クロノがそっと肩を叩いた。
任せてくれということらしい、カイムはクロノに視線を向けられ、頼むとばかりに頷いた。
サンザカに群がる三つ子に、クロノがそっと近寄って腰を下ろし、目線を合わせる。
「ダメだよ三人とも、まだ魔力の使用安定してないでしょ」
「「「えぇー!?」」」
クロノに言われて、三人が一斉に非難の声をあげる。
魔力の使用安定。
一体どういうことだろうと、ルドーはカイムとリリアと一緒にそっと見守った。
「魔力が安定してないのに、下手に武器を使うと、暴発して危ないの。まずは魔力を使いこなせないと、カイムが危なくなるよ」
「そうなの?」
「カイにぃが?」
「……じゃあやめる」
下を向いてしょんもりし始めた三つ子に、クロノは優しく笑って頭を撫でた。
サンザカがやっとほっとしたように息を吐いて、クロノに頭を下げて礼を言ってから、オリーブの警護に戻る。
オリーブにかわかられて、サンザカが動揺しているのを見ながら、ルドーははてとクロノに声を掛けた。
「魔力安定してないと暴発するのか?」
「ファブ、特にうちの領地じゃよくあるのよ。魔力の鍛錬が不足してるのに、半端に武器に手を出して、爆発して周りを巻き込む」
『あー、未熟な傭兵とかがよくやるやつだな』
「へーそうなんだ、知らなかった」
「俺があぶねぇってなんだよ」
「その方が言う事聞くでしょ?」
自身を守る対象として話に出されて、カイムはかなり不服な様子だ。
しかしクロノの言葉に反論できず、唸りながら大きく項垂れる。
「あ、ルドーちょっと顔貸して。リリア、借りるよ。カイム、すぐ戻るから」
「あぁ?」
「えっ?」
「えっ、ちょっ、いででででで! 歩くって! おいクロノ歩くって!」
『なんだなんだ?』
突然思い出したかのように声をあげたクロノに、ルドーは腕をガシっと掴まれて引っ張られた。
関節がグキッと鳴って腕が逆方法に捻じ曲がり、痛みにルドーがバタバタ暴れても全く抵抗出来ず、ズルズル引きずられて行く。
そのまましばらく廊下を引き摺られて行ったと思ったら、唐突にそのままどこかの部屋にポイッと投げ捨てられ、ドスッと地面に尻もちをついた。
腕と一緒に痛みにルドーが呻いていると、カチャリと鍵を掛かる音が響き、慌てて身を起こした。
「おい! 急に何なんだよ!」
「警告しとこうと思って。多分、まだ自覚ないだろうから」
「警告?」
ルドーが身を起こせば、どこか小さな応接室のような場所だった。
明かりもつけずに薄暗い中、クロノは入ってきた横引き扉に、もたれ掛かって腕を組んでいる。
赤い瞳が、値踏みするようにすっと細められて、じっとルドーを見下ろしていた。
「逃げられたって言ってたよね、つまり、あいつに顔を覚えられた。しかも古代魔道具持ち。今、相当危険な状態になってる。わかる?」
「……例のあれの話か?」
薄暗い応接室で、怪しく光る赤い瞳に、女神深教についての話だと分かって、身が硬くなる。
ゆっくりとルドーが立ち上がる中、背負った聖剣が警戒するようにパチッと弾けた。
「だったらリリやカイムとも話したらいいだろ、なんで俺だけなんだよ」
「リリアには聞かせられないと思う。きっとすごく心配するから」
「……どういうことだ?」
リリアには聞かせられない。
その言葉にルドーは怪訝な表情で聞き返す。
クロノはルドーから視線を逸らし、考え込むように大きく息を吸った後、またルドーに向き直って答えた。
「転移魔法か、飛行魔法か。何かしら絶対に逃げられる方法を身に付けておいた方がいい。捕まったらきっと、死ぬより酷い状態に痛めつけられる」
「えっ?」
クロノから告げられたことは、ルドーの身を心配しての話だった。
唐突過ぎて訳が分からず、つい素っ頓狂な声をあげる。
しかしそんなルドーにも無頓着に、クロノは話し続けた。
「一度なったでしょ、グルアテリアで、剣のあいつに」
「グルアテリア……あっ」
言葉を伏せて話すクロノに、ルドーは思い出す。
グルアテリアで、ルドーは確かに、戦祈願に剣で全身串刺し状態にされた。
クロノはそのことを指摘している。
「……そういやあの時も、あいつは古代魔道具がどうとか言ってたな。なんか関係あるのか?」
「詳しくは話せないけど……古代魔道具の持ち主はね、あいつらにとっては惨殺対象。救いの対象じゃない。顔を覚えられた以上、きっと執拗に狙われ続ける上、一息では殺してくれないよ」
きっとこの世の地獄を味わうと、そう警告してきたクロノ。
ルドーはぞっとして、腹がねじれるような嫌な気分になった。
冷汗をどっと吹かせながらも、恐る恐る聞き返す。
「そんなになのか? 恨みを買ったとは思ってるけど……」
「恨みを買ってようが買ってまいが、あいつらは古代魔道具の持ち主を狙ってくる。今までは通りすがりの相手程度の認識だったから、無事で済んでたってだけ。理由は言わなくてもわかるよね、聖剣レギア」
クロノの最後の言葉に、聖剣が動揺するように大きくバチッと弾けた。
ルドーがさらに困惑するように、一瞬背中の聖剣に視線を向けた後、またクロノの方に視線を戻す。
『なんでだよ、一体どうやって……』
「……やっぱなんか知ってるのか? こいつが怯えてる理由」
「話せないって言ってるでしょ。とにかく、それだけ警告したかっただけ」
腕を組んだまま肩をすくめたクロノは、言いたいことは言い終えたと、カチャッと背後の扉の鍵開けて外に出ていく。
告げられた警告に、ルドーはしばらく呆けていた。
リリアやカイムと別れ、ルドー一人にだけクロノは警告してきた。
きっとただでさえ心配している二人に、これ以上負担を掛けまいと、クロノなりに考えてくれたからだ。
特にリリアは、この話にかなり動揺するだろう。
つまりクロノなりに、ルドーやリリアの身を案じてくれたのだ。
それが分かり、ルドーはクロノの後を追うように、応接室の外に出た。
「おい! クロノ!」
「えぇ? 追いかけてこなくていいって……なに?」
「ありがとな、心配してくれて」
「……別に、ルドーが捕まったら芋蔓式に私も危険になるだけだし」
だから肝に銘じといてといって、クロノは食堂の方に戻って行く。
ずっとよく分からなかったが、クロノはきっと、なんだかんだ言って、他人を放って置けない質なんだろう。
だから魔人族の一件で、放って置けずに彼らに付いて行った。
ルドーを全く気にせず、先をスタスタと歩くクロノ。
その背中を眺めながら、ようやく理解出来てきたと、ルドーは呆れて溜息を吐きつつ、同じ食堂の方向へと、後を追うように歩き始めた。




