表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/94

91話  二つの知らせ

お久しぶりです。新生活が始まった事もあり、なかなか投稿出来なくて申し訳ございません。頻度は下がるとは思いますが投稿は今後も続けていきます。

先の戦役において、市街地への被害は比較的小規模だった。


ディンやダリアの様な軍人達が魔王軍を都市内に入れなかった事と、カノイとの戦闘が魔法協会の敷地内でしか発生しなかった為である。


厳密には魔導列車の線路が一部破壊されていたり、カノイが放った斬撃の跡が綺麗に残っていたりと無傷ではなかったが、民間人は避難していた為大きな被害は出ていなかった。



しかし戦場となった魔法協会ではそうもいかない。本部の建物は倒壊し、今現在再建されている。


一級魔法試験というのは3次試験まである。

とりあえず魔法がまともに扱えるかみる1次試験、実践形式で実力を測る2次試験、そして最後の試験は実力波魔法使い達による面接兼実技だ。


しかし問題なのはその試験が丁度今壊れている本部の施設を使う事だ。


その為再建が終わるまで二次試験合格者達は待たされる事になる訳だが、そのお詫びとして合格者には魔法協会の広い敷地で魔法の練習をする許可が降りていた。


使わせてもらえるなら使おうという事でちょうど六樹とリベルもそこに足を運んでいた。

タイミングが良かったのか貸し切り状態だった。


魔法協会の敷地内では、カノイを屠るのに活躍したダメージを魔力消費に変える魔法を含めた、様々な安全装置がついており、さながらSF作品に出てくるシュミレーションルームの様な使い心地だった。



そんな中常軌を逸した爆轟が鳴り響いた。




ドオオオオオオオーーーーーーーーーーーン!!!!




骨まで染み渡る様な音、そこにリベルの驚きに満ちた声が響く


「大丈夫か!リョウ兄ィ!?」



「。…………マジか……」


音の発生源、当の六樹はあんぐりと口を開けて呆けていた。唖然と見つめる先には巨大なクレーターが出来ていた。


◇◇


いつかの魔力を帯びた猪の肉を齧りながら、二人は少し落ち着いていた。


「本当何やってんだよ。ここの魔法がなかったら()()()()()()()()んだぞ?」


「いや〜…色々試してだんだけど、こりゃ使えないな」


六樹はやれやれと言った様子でそう返す。そしてリベルは先程生まれ、そして今現在自動で修復されつつあるクレーターを見ながら改めて聞いた。


「で、一体なにしたんだ?」


「う〜〜〜ん…」


その質問に六樹はしばらく考えた後こう答えた。


「危ないから言わない」


六樹のその言葉にリベルは聞き返す。


「そんなにヤバイの?」


「割と」


リベルは六樹の選択を尊重しそれ以上の追及はしなかった。すると、六樹から話題を振る。


「代わりと言ったらなんだけど、新技見せてやるよ。イカしたやつ」


「へ〜!どんなの!?」


ノリノリで食いついたリベル、すると六樹は見てろよと言いながら片膝を付き、そして帯刀した葦刈を抜刀した。


「疾駆…一閃!!」


シュシュシュシュ………!!ジュバン!


斬撃が地面を走り、近くにあった岩を切り裂いた


「うお〜!スゲー!それって剣聖の技だよな!?」


目を輝かせながらそう言うリベルを六樹が肯定する。


「前に一回死にかけたお陰で死霊遣い(ネクロマンサー)としてレベルアップしたんだよ。それで死体だけじゃなく故人の品、つまり葦刈(コイツ)からカノイさんの記憶を呼び出せる様になったって訳だ」


「えっ?じゃあ剣聖の技を全部使えるって事?最強じゃん!」


純粋な瞳でそう言うリベル、だが六樹は首を振る。


「流石にそこまで便利な訳じゃ無い。あくまで剣を通してお手本が見れるのであって、技自体は自力で習得しないといけないからな。使えるかどうかは俺次第だ」


「あ〜、それでずっと素振りしてたのか」


実際六樹はここ数日剣を振り続けていた。

六樹は葦刈の刀身を見ながら続ける。


「でも闇雲に鍛錬をするよりもずっと良い。それに俺にはエスタがいる。カノイさんの動きを俺の体に合わせて調節してくれるしな」


「エスタってリョウ兄ィが体内に取り込んだ精霊だっけ?ほんと馬鹿げた事するよなリョウ兄ィ」


感心した様な呆れた様な物言いだった。


「俺は最善だと思ってるよ。本当に助けられてる。最近はエスタ無しでもかなり動ける様になってきたけど、エスタがいなかったら何回死んでたか、それに今も剣聖の技を覚える手伝いをしてくれてるしな」


「頼りにしてんだな」


「あぁ、俺の相棒だ」


こうして二人は適度に訓練をしながら過ごした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


第三次試験の日となった、二次試験合格者達が一人づつ呼ばれていく。


「次は249番、ムツキさん。入ってください」


そしてとうとう六樹の番となった。案内されたのは荘厳な雰囲気の応接間だった、そこには明らかにベテランも思しき魔法使い達、そしてその中心にいる代表であろう壮年の男性に声をかけられた。


「ムツキ君だね?」


「はい」


「まずは今回の一件、礼を言わなければならないな」


「いえいえ、降りかかる火の粉を払っただけです」


謙遜する六樹、一通りの社交辞令が終わると男はこう切り出した


「それはそうと、話は聞いているよ?」


「!?」


ギクっと六樹が反応する。心当たりが多すぎる。

六樹に声をかけた男、キシヤ・スレトリアは続ける。


「本来なら他者を支援する目的で試験に潜り込んだ場合、失格なのだがね」


「………っ」


六樹から冷や汗が垂れる。威厳のある大人に詰められるというのはどこまでいっても緊張するものだ


しかしキシヤは首を振る。


「本来なら、だ」


「?」


「今回の試験において君は本来支援対象となるべきリベルテ様に追い回され事実上機能していなかった」


六樹が眉を顰める。キシヤは続ける


「それどころか事実上難化した中でヴェルフ翁含め多くの魔法使い達と張り合い高得点を叩き出した事、またリベルテ様も君の支援が関係の無い部分で実力を示した事、そして今回の一件での活躍を加味して不問とする。」


キシヤが同伴した魔法使い達に確認する。


「皆さま宜しいな?」


「試験で実力は示したので問題ないでしょう」

「同感でございます。」

「しこりはありますが、妥当かと」


「あ、ありがとうございます!」


六樹がかしこまって頭を下げた。そして、キシヤが告げる。


「それでは!一級魔法使い認定試験の最終試験を始める!」


◇◇



「あっはっはっはっ!!!ふぅ〜!ふぅ〜!!………ふふっ!!そこまでお膳立てされて、()()()()()()!!!」


試験が終わり宿で結果を聞いたリベルが腹を抱えて笑い転ける。


「笑うな貴様!!」


「あっはっはっはっ!!!あんだけ活躍したのに……ふふふっ!!」


リベルはつぼに入ったのかバンバンと机を叩きながらずっとニヤニヤしていた。


「残念でしたね。なんて言われたんですか?」


リベルとは対照的に残念そうにしてくれるアンリがそう聞いた。六樹は萎んだ様な顔で答える。


「魔法を使った工夫は評価出来るけど、使ってる魔法自体は大した事ないから、一流の魔法使いとは言えないって………ぐうの音も出なかった」


「あっはっはっはっ!」


「こんの!!クソガキ!!」


要するにお前は強いは強いけど別に魔法使いではないよね?というのがベテラン魔法使い達の総意だった。

間違いなく正論だ、実際六樹は死霊遣い(ジョブ)の関係上通常の属性魔法は中級までしか使えない、その上で死霊遣いとしても二流なので流石に一級の称号は貰えなかった訳だ


六樹はリベルに聞き返す。


「そう言うお前はどうだったんだ?」


「もちろん合格だ!その歳で二属性も極めてて凄いって褒められた!」


リベルは得意げにそう言い、バッジの様なものを見せつけて来た。金の装いに魔石が埋め込まれていて明らかに高価な物だと分かる。


他の魔法使い達が単一属性に絞ってビルドを組んでいる中、リベルはそれらと同等以上で二属性使えているというのは確かに相当なものなのだろう。受かるべくして受かったという事だ。


するとリベルが六樹に質問した。


「リョウ兄ィ、一級には落ちても二級には受かったりはしなかったのか?」


「そう言えば、特別二級ってのには受かったかな」


そう言うと六樹はリベルの貰ったものとはまた違う意匠が施された品を取り出した。


「はえ〜、また珍しいやつを貰ったな〜」


「何ですかそれ?」


アンリがリベルに質問した。リベルは答える。


「等級はそのままの意味だけど、魔法の扱いに一家言ある奴には「特別」ていう枕言葉が付くんだよ」


「そうなんですね」


「まぁつまり…リョウ兄ィは上手く工夫してる二流って事だな!」


「二流で悪かったな」


悪態をつく六樹、するとリベルが慰めの言葉をかける。


「でもレアなのは間違いないぜ?誰でも何かしらの工夫はしてるけどその中でもリョウ兄ィのは別格って事だ!」


「そ、そうなのか…」


少し照れ臭くなる六樹、そしてリベルはこう続けた。


「良かったなリョウ兄ィ!悪知恵が認められて!!」


「お前ほんと一言多いな!!」


ぐあっ、と六樹がリベルを捕まえようとするがリベルは軽やかに躱す。


「くそっ!逃げられた!」


「二流に捕まるかよバーカ!!バーカ!!」


「ほんとっ!憎ったらしい!」


しばらく追いかけっこをしていると


「リョウ、大人気無いですよ」


「あっ、はい。」


すっと姿勢を正し謝る六樹、それを見たリベルが更に煽る。


「アン姉ェに怒られてやんの!!」


「リベルちゃん?」


ギクッとリベルがアンリを見る。


「これ以上リョウを煽るなら、()()、ですよ?」


そう言ってアンリは握り拳を見せつけた。


「……ごめんなさい」


「はい、よく出来ました」


余程教え込まれたのか、借りて来た猫の様に縮こまるリベル、どうやらこの場の誰もアンリには逆らえないらしい。


するとコンコンッと宿の扉を叩く音が聞こえ、その直後に聴き馴染みのある声が響いた。


「姫様!いますか!?ダリアっス!」


リベルはすぐに扉を開け、そしてダリアが入って来た。手には何か手紙の様な物を持っている。


「3人とも元気そうで何よりっス」


「ダリアさんもお元気そうでよかったです」


ダリアの挨拶にアンリが丁寧に返す。するとダリアはすぐ切り替えてこう言った。


「まぁ挨拶はこれくらいにして、姫様!お知らせがあるっス!」


その言葉にリベルは少しため息をついて答えた。


「あぁ、王宮への呼び出しの件だな?」


「はい、まずはそれっス!来週に迎えが来るんでムツキ君と一緒に王都へ向かってくださいね!」


「分かったよ。論功式にはちゃんと出る」


そしてリベルは聞き返した。


「で、他にもあるのか?」


するとダリアは静かに頷いた。


「これに関しては姫様と直接関係は無いんスけど、この国の王族として世間に出回る前に知らせておくっス」


その仰々しい物言いに3人は息を飲む、そしてリベルは続きを促す。


「分かった。その知らせってのは?」


ダリアは真剣な表情で簡潔に話した。


「昨日、勇者レン様によって、魔王軍幹部の一人、鬼神・ナガリが討ち取られました」



割と平和?な回でした。六樹はあれこれ小細工してますが魔法使いとしては二流である事には間違いないので、審査員の方も頭を悩ませた事でしょう。


また葦刈を通してカノイさんの面影を見れる様になったので今後剣技が増えていくと思います。鬼道清兵衛とカノイ・ウォレストの二人を受け継いだ形となりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ