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81話  剣と魔法

最近リアルの方が忙しいため更新が遅れてます。少しずつ書いてるので気長にお待ち頂けると幸いです。


「かかれ!!」


リベルの掛け声と共に近接戦闘も行える魔法使い達が一斉にカノイに攻めかかった。


「「うおおお!!!」」


「………」


カノイは静かに剣を握り、そして技を放った


「……穂刈!」


ジュバ!!!


「!」 「なっ!?」 「!?」


カノイの剣撃がまるで羽虫を振り払うが如く周囲の魔法使い達を切り裂いた。


ビシャーーーーー!!!


周囲が赤く染まる。


19人、カノイが剣を一振りしただけで19人が犠牲になった。


その場にいた魔法使い達は理解する。カノイに数の暴力は通用しないと


だが


「怯むな!!進め!!」「やるんだ!やるしかないんだ!!」


だが魔法使い達は一瞬怯みこそすれ、より一層戦いの覚悟を固めた。


「戦場であれば逃げ出すのだが……街を守る為か」


カノイはそう分析する。彼らが恐怖によって戦意が喪失する事は無いと理解した。


「仕方ない、地道に削る事にする」


カノイは剣を一度鞘にしまう。そして目の前に迫る第二陣に次の一撃を放つ。


「紫電一閃」


先ほどよりもより早い抜刀術が魔法使い達に迫る。

だが


ガギィーーン!! と何か硬い物体によって無理やり中断された。


「刃物を振り回すでない、怪我するぞ?」


カノイの目の前には彼の剣を杖で受け止めたヴェルフが立っていた。


本気の一撃では無いとはいえ剣聖の一撃、只人には防御すら許さないその剣撃を木の棒で受け止められたカノイが驚きの表情を見せた。


「驚いた。まさか木の棒に防がれるとは…」


カノイがそう漏らした次の瞬間、飛び込んで来た野人の様な男、タナー・ドーンが腕をアームハンマーのような形で腕を振り下ろした。


「岩衝!!!」


タナーが叩きつけた地面は揺れる。まるで地震を個人で引き起こしたかの様だ、そしてその震源地が突然隆起し、跳ね上がられた地面がカノイに襲いかかる。


「……」


カノイは素早い足捌きでそれを躱す。そこにアルマの拳が迫った。


「鉄拳!!」


自分の顔よりも大きい鉄の拳を目前に、カノイは剣を振る。


「……旋烈」


剣を前後に一回転させたカノイは、アルマの鉄腕の軌道を少しずらした。


ドシィン!!


照準が逸れた鉄拳は地面に突き刺さる。体勢が崩れたアルマの一瞬の隙をカノイは見逃さない。


カノイは剣を振り上げその技名を呟いた。


「斬鉄」


「!!」


アルマにカノイの一撃が迫る。彼女は鋼鉄の鎧を纏っているが、剣聖の実力であれば容易く突破するだろう。実際の所、先程の試験の途中での六樹との戦闘で突破されたばかりだ。六樹に出来てカノイに出来ない訳がない。


「くっ!」


その危機に対してアルマは鎧に刻み込んだ魔法陣に魔力を注ぎ込んだ



バシュー!!次の瞬間、鎧から噴出魔法が放たれ、スラスターの様にアルマを後ろに下がらせた。ガリッとほんの少しではあるもののカノイの剣がアルマの鎧を掠める。もしまともに受けていたらと想像せずにはいられなかった。



急死に一生を得たアルマの隙を埋めるべく、今度はリヒトが飛び出した。


「本気で行くぜ!!光の槍(ライト・オブ・スピア)!!」


リヒトは光り輝く槍を手に持ちカノイに振り翳した。


カノイは近接に応じ、彼もまた横薙ぎの大振りの一撃を浴びせかけようとした。剣と光の槍が勝ち合おうとする。


(よし!これなら隙をつける!)


リヒトは内心そう思っていた、彼が生み出す光の武器は実体を無くす事が出来るからだ、撃ち合いをしようとしていた人間は突然すり抜けた一撃を対処する事が難しい。


そんな攻撃をカノイに仕掛けた。だが剣聖は甘くない。


「……影抜き」


すり抜けようとしていた攻撃が、逆にすり抜けられた。


「なに!?」


カノイのそれはただの技術、ただ手首と肘を上手く動かしただけのものだがそれはリヒトの魔法を出し抜いた。


自分が浴びせようとしていた攻撃が今度は自分に向けられた。


光刃(ライト・ブレード)!!……」



バチバチバチ!!!と眩い閃光が辺りを照らす。


リヒトは光の刃を取り出し何とか刹那の間だけカノイの一撃を受け止めリヒトに回避の時間を与えた。


リヒトはなんとか避けたのち獰猛に叫ぶ


「まだまだ!!」


リヒトは右手に光の槍、左手に光の剣を持ちながらカノイに挑み掛かる。


「いくぜ剣聖!!」


「勇敢だな、悪くない」


カノイはそう言うと、リヒトと打ち合った。


バチンッ!バチンッ!バチバチバチ!!と火花が飛び散る。リヒトは二つの武器でカノイに果敢に迫る。この攻撃が途切れたら恐らくカノイのカウンターが炸裂する。攻撃こそが防御だ


すると後ろから別の声が響いた。


「リヒト!行くぞ!」


その声を聞いたリヒトはニヤリと笑って叫び返す。


「頼むぜシギル!!」


その言葉に応じたエルフの青年シギルが彼の専門である結界魔法を唱えた。


「……人籠(ひとかご)!」


カノイの足元から突然白い棒の様な物が現れすぐに周りを取り囲んだ。


「?」


そして、それはみるみるうちに鳥籠の様な構造物を形成した。


人を閉じ込める籠、その結界は外部との内部を遮断しない。それすなわち閉じ込めた相手を外から攻撃できる事を意味していた。


「放て!!」


ヴェルフが号令を出した。すると、少し離れていた魔法使い達が一斉掃射を行なった。


火、水、風、地、光、闇、雷、他にもざまざまな属性の魔法が放たれる。


「鉄釘萌芽!」「地隆拳!!!」


アルマやタナーも魔法を放つ、一方の地面から鉄の棘が突き出し、もう一方では土で固められた拳が飛び出した。


「好奇!」 「本気で行くぜ!」


ガイトもそれに加わる。マントの魔法陣を発動させ複数の魔法を同時に放つ、リヒトも手に持つ光の槍を勢いよく投擲した。



「……………………」



蜂の巣にされているカノイは静かに剣を鞘に納める。


何も言わない。だがその眼には力が宿っていた。

魔法が目前に迫る中、カノイは動いた。



「…………魔断(まだち)



キラッ、と刃の反射が目に映った次の瞬間


ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


魔法が全て迎撃された。まるでミサイルの雨を全て撃ち落としたかの様な光景だった。


ガシャン……とシギルの結界が崩れ落ち、そして虚空に消えた。


そして、煙幕の中から悠々と歩くカノイが現れた。


「そう上手くはいかんか…」


ヴェルフがそう漏らした。すると後ろにいたリベルが号令を出す。


「負傷者を後方へ!中衛は後退!!」


そして、リベルは六樹を近くの者に託した。


「彼をお願いします」


「承知、出来る限りの事は施しましょう」



修行僧の様なその男、フルスは周囲の者達と血まみれの六樹を運び始めようとする。


「ま、待ってくれ!」


だが六樹は血が足りないのかフラフラした様子で彼らを制止しリベルに駆け寄りこう言った。


「リベル……悪かった…だから!」


六樹が言いかけた所でリベルが指で口を遮る。そして六樹の手を握り優しく告げた。


「心配すんなリョウ兄ィ!今度は私が守るから!」


リベルは優しさと強さを兼ね備えた声で微笑みながらそう言った。


「リベル……っ」


何か言いかけた所で六樹は糸が切れたかの様に気を失った。


「早く!」


リベルは急ぎ足で六樹を運ばせる。


すると、魔法使い達を相手に孤軍奮闘していたカノイがそれに気付いた。


「!………………」


カノイは運ばれる六樹を鋭い目で捉える。そして剣を構えた。


「飛迅」


ジュバーン!!と斬撃が六樹目掛けて飛ばされる。だが


ガギン!とヴェルフが杖によりその攻撃を叩き伏せた。


六樹が視界から消えるのを確認したヴェルフがカノイに尋ねる。


「剣聖が怪我人を狙うとは、意外じゃな?」


カノイはヴェルフを静かに睨み付けながらその理由を口にする。



「………彼が視界から外れるのが危険だと判断した」



カノイはそう漏らす。その言葉は六樹を警戒していたからこそ出るものだった。だがヴェルフはそれを吐き捨てる。


「野暮な事をするな、儂が相手してやるから我慢しろ」



「………仕方ない。出来る事なら仕留めておきたかったのだが」


カノイは改めてヴェルフ含めた魔法使い達と向き合った。


するとリベルが前に出る。そして号令を発した。


「前衛前に!ここからは、真向勝負です!」


その命令に魔法使い達は思い思いの言葉を口にする。


「やってやるぜ!!」


リヒトは爽やかに笑い、そして光の剣を構える。


「流石にそう上手くはいかないか」


シギルは双璧を構え、防御の体制に入る。


「心得た」


アルマは無言で拳を握りしめ様子を伺う。


その場に残った魔法使いはおよそ40人、彼らはカノイと戦う事が出来るとヴェルフに判断された者達だ。


『…………』


全員が様子を伺う。カノイに不用意に近づかないからだ

すると、真っ先に駆け出したのはあろうことかリベルだった。


「はぁぁーー!!疾風翔舞!!」


リベルは風を纏い、常人ではあり得ない速度でカノイに肉薄した。カノイは静かに居合いの構えを見せる。


「………紫電


「!…風乗り!! 」 一閃……」


リベルは飛び上がり、空中でカノイの剣筋を躱す。カノイの真上にリベルが迫る。リベルはすぐさまカノイに攻撃を浴びせかける。


「氷剣!!」


リベルの空中を舞う勢いを乗せた氷の刃がカノイの頭部に迫る。


「雲切」


それに対し、カノイの切り上げた剣はリベルの生み出した氷の剣をいとも容易く砕き、そして氷の剣だけでは飽き足らずすぐさまリベルに迫った。


「空歩!!」   ポッ!


リベルは空中を蹴り上げカノイの剣撃を立体的に躱しそのまま地面に手をつく。そして次の瞬間、更に攻撃を放った。


氷の棘(アイス・スパイク)!!」


氷柱が地面から生え、カノイを串刺しにせんと向かった。


殺意の籠ったその攻撃に対し、カノイは片手で剣を回した。


「…旋烈」


バリバリバリバリッ!!!


と、氷がキラキラと舞い散る。特に苦もなく防御したカノイはリベルを見る。


「………。」


その顔は先程恐怖に震えていた彼女とはまるで別人のようだった。


「……いい顔になったな」


一言、ただそう言ってカノイはリベルを褒めた。


「ありがとよ!」


リベルはそう乱暴に、しかし心底嬉しそうに返した。


「守りたい物が出来た顔だ、子供の成長にはつくづく驚かされる」


カノイはそう言うと、少し黙り込んだ。その間も魔法使い達はカノイを取り囲む。


「……………ふっ」


カノイの表情が緩み、その口は小さな笑みを浮かべる。

そしてこう言った。


「…少し、楽しくなって来た」


余談 魔法使い達が使う魔法について

熟練した魔法使いは主に自身の得意な属性の魔法に特化するタイプと色々な属性の魔法を伸ばして手札を増やすタイプに分かれます。前者はアルマ、シギル、タナーなど魔法を探求する者に多く、後者はガイト、ダクト、あと一応六樹(魔法使いとしては未熟)もですが実戦派が多い印象です。彼らは使いやすい魔法を使っているだけで別の属性も使えます。しかしリヒトはジョブの関係で光属性以外は使えません。

ちなみにリベルは前者に相当し、氷魔法と風魔法の二属性を極めているので相当優秀です。更に言えばヴェルフ翁は7つの属性を極めている化け物で、二つのタイプのいいとこ取りの様なイメージです。

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