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71話  魔彩七式

長くなりましたが一級魔法試験、この回にて終了です。


「信じがたいのう……貴様が勇者とは……という事は、まさか!?」


ヴェルフの言葉を察した六樹が答える。



「峰ちゃん…いや、勇者峰山は俺の友達だった…」


「そうか……すまなかった……」


ヴェルフは俯きながらそう謝罪した。それが六樹を召喚した事に対してか、峰山を死なせた事に対してかは分からない。しかし、ヴェルフの意思は揺るがない。



「因果なものだな……この場で貴様と出くわすとは」


「確かにな」


六樹もその感想に共感する。確固たる目的を持って参加した二人、それはある意味偶然ではなかったのかもしれない。


だが、この場においては敵同士である事に変わらない、ヴェルフはこう続けた。


「助けてやりたいが、だが儂が手を抜かないのは分かるだろう?」


「まぁそうですね。結局やる事は変わらない」


試験時間は残り1分、決着をつける必要がある。

ヴェルフが六樹にある提案をした。


「そろそろ白黒つけねばな、儂は次の攻撃に全てを賭ける。乗るか?」


「乗った」


すると、ヴェルフは懐からコインを取り出して見せた。

目を見れば分かるこれは合図だ、コイントスと同時に動くという合図。


六樹は脚に力を入れられる様に身を屈め、アングリッチを構えた。


睨み合う中、ヴェルフがコインを投げた。コインは宙を舞い、地面に向かう。


「「……………………………」」


その数刻は二人には数分とも数時間とも感じられた。





………………………チャリンッ


「紫電!! 「断崖!!」


音と共に二人が同時に動き出す。


六樹が剣撃を放とうとした瞬間、地面が勢いよく隆起し、六樹はそのまま空中に突き出された。


「な!?」


ヴェルフは本来地面を隆起させて防御などに使う断崖を相手を打ち出す為に使ったのだ。



飛ばされた六樹が下を見ると、ヴェルフの周囲に7つの魔法陣が展開されているのが見えた。


ビィーーーン……と不気味な光と音が響く。


考えてみれば、この場所は六樹が最初に魔法の発生源を断とうと、元々目指していた場所であったと後から気づく。


空中という逃げ場のない場所にいる六樹目掛けて、ヴェルフが最後の魔法を放った。


魔彩七式(まさいななしき)!!」


ゴロロロロロロ……!!!


魔法陣から蛇のような七色の柱が六樹に迫る。前に放たれた時のような一つずつ捌く為の距離はない。


そしてあの七色の攻撃を受けきるだけの魔力はもはや残ってはいない。


絶体絶命の六樹、このままでは同時に全弾命中しすり潰されるだろう。


蛇の様に迫り来る七つの柱、そして六樹は見つけた。七つの魔法、その中央部が空いている事に



「だったら、飛び込むまで!アイテムボックス!!」


瞬間、六樹は自身の足元に地面から抉り取った土塊を展開した。


1秒もすればすぐに落ちていく土の塊だが、逆にアイテムボックスから出されたその一瞬だけは、その土塊は足場となる。


六樹は空中に生まれた異物を足場とし、上下逆さまの体勢で脚に出来る限りの力を込めた。


常にバフをかけている身体強化のスキルに加えて、過負荷(オーバードライブ)をかけ、極め付けには体のリミッターを解除する。


ガキッ!と踏み込んだ足場がその力に沈み込む。


「…………………!!!」


そして、六樹は只人ではあり得ないほどの脚力でヴェルフに向かって跳び出した。


六樹は獲物目掛けて急降下する隼のように空中を駆けた。


六樹は迫り来る七色の柱の中央に開いた隙間を針に糸を通すようにくぐり抜けた。七色の柱は突然標的が後ろに回ったため、一瞬混乱しそして急旋回して後を追った。


「なんじゃと!?」


ヴェルフが驚きの声を上げる。六樹の予想外の急接近に対応が遅れた。六樹が勢いを乗せたアングリッチで斬りかかる。


「うおおおーー!!!」


「儂はまだくたばらんぞ若造が!!」


ガギィーーンという剣が硬い物にぶつかった音が響いた。


ヴェルフは杖でアングリッチを受けきれなかった。アングリッチはヴェルフの肩に食い込んでいる。しかしながら決定打を回避していた。


「泥臭いのは嫌いか?」


ヴェルフがそう苦笑した瞬間、ゴキッ、と骨を鳴らした様な音が響いた。


「?…!、まさか!?」


ヴェルフはあえて肩に剣が食い込ませた状態で自身の骨でもって剣を押さえ込み、六樹を捕まえた。


「くそっ!」


六樹がそう吐き捨てる。このままでは先程避けた魔彩七式が押し寄せる。通常では考えてもやらないような方法を選ぶ。これが歴戦の魔導師かと六樹は実感させられた。


「もうすぐ迎えじゃ!ゆっくりしていけ!!」


ゴロロロロロロッ!!と空から魔彩七式が押し寄せる。もう時間が無い、しかし六樹は尚も抵抗した。


「悪いけど爺さんは先に逝け!暗刃!!」


六樹はアングリッチから左手を離し、そしてヴェルフに暗刃を突き刺そうとした。当然ヴェルフは防御の構えをとる。


「それしきの暗器!防げないとでも思うか!?」


「防げないな」


六樹はそう断言すると、頭の中で念じた。



[ステータスオープン]



「!??………なっ!?」


目の前に現れた表示に呆気に取られるヴェルフ、そして


ジャキン……


漆黒の刃がヴェルフの胴体に突き刺さった。


「かはっ………」


紛れもない決定的な一撃を入れられたヴェルフは小さく、かつ穏やかな声で呟いた。


「……… これだから最近の若造は……すぐ老人(儂ら)の予想を超えてくる。」


「!!……時間切れか……」


ヒィーーン、ドドドドドドドッ!!!!


魔彩七式が降り注いだのは試験終了とほぼ同時だった。



◇◇



「相打ちだ〜〜!!ヴェルフ翁とムツキ選手の戦闘ここで決着!!」


六樹とヴェルフの死闘を見届けた観客達が歓声を上げた。


「うおおお!!」 「最高だぜ!!」 「やるじゃねーか!」


ヒュー……ドーン!!


と、歓声と同時に試合終了の花火が打ち上がった。


「終了〜〜〜!!!第二次魔法試験!ここでタイムアップ!!」


試験終了の合図が告げられた。


「いやー!今回のバトルロワイヤルは荒れに荒れましたね!!まさかヴェルフ翁が無名のルーキーと最後に相打ちとなるとは!!」


「ガイト選手の様な実力者が早々に退場するなど下馬票を覆す様な事が多々ありましたね。色々な戦いが見られたのが面白い所でしたね」


興奮冷めやらぬ中、すぐさま合格発表に移った。


「それでは!これが獲得点数一覧です!!」


先程までバトルロワイヤルが映されていた画面に参加者達の名前と獲得点数が映し出された。紹介されていく合格者の中にはリヒト、シギル、アルマの名前もあった。そしていよいよトップ5が発表された。


1位 ヴェルフ・ウィザード 獲得点数 127点

2位 ナノハ        獲得点数 106点

3位 フルス        獲得点数 101点

4位 ムツキ・リョウ    獲得点数 99点

5位 タナー・ドーン    獲得点数 86点



「第5位はタナー選手!!市街地エリアで土壁を利用する事で終盤に大量得点を獲得!!最後にここまで食いついた!!」


「第4位はこの試験の台風の目ムツキ選手!!その得点なんと99点です!!得点が大幅に上がってますがこれはどう言う事でしょうか?」


「相打ちとなった場合相手の得点の半分が加算されます。ヴェルフさんは104点でしたので、元々持っていた47点に52点加算され99点になったようですね。もし最後の攻撃を防げたら一位になっただけに惜しかったですね」


そして、解説はトップ3に入る。


「第3位はフルス選手!!川の近くに陣取り得意の水魔法で安定的に得点を獲得!!3桁の大台に乗った!!」


「一見地味ですが、終始安定感のある戦いをしてくれましたね。見事です」


「そして第二位はナノハ選手!!中盤の大乱戦において大量得点を確保!更にムツキ選手の押し出しにも対応し2位まで上り詰めた!!」


「大技も小技も充実していて手数が豊富でしたね。それに加えて機動力を活かし対面を調節していたのが印象的でした」


「そして!映えある第一位はヴェルフ・ウィザード選手127点!!様々な強豪達を打ち取り最後はムツキ選手に致命打を与えられつつも相打ちに持ち込みました!!」


「流石としか言いようがないですね。魔法使いとしてあらゆる技術に優れる所を見せてくれました。もはやそれしか言えません」


そして、実況は最後の挨拶をした。


「それでは!一級魔法試験!!バトルロワイヤル終了です!!」


「参加者の皆さんは後日、魔法の技術を測る最終試験がありますが一般公開されるのはここまでです」


「また来年お会いできる事を楽しみにしております!!さようなら!!」


こうして、バトルロワイヤルは締め括られた。


ステータス目眩しはやられた方からしたらたまったもんじゃないですね。ゲームでも発狂ものなのに現実でされた日には……


一級魔法試験自体はここで終わるんですけど、一級魔法試験編はまだ続くんですよね。すみません、騙したわけでは無いんです。

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