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61話  ストーカー対策

リベルは六樹へこう言った。


「リョウ兄ィ!……来ちゃった ♪」


「ナノハさん?……なんでここに?」


「へへへ、私から逃げられると思ったかなリョウ兄ィ?この髪の毛、誰のだと思う?」


リベルが探知に使った六樹の髪の毛を見せびらかす。


「ストーカーかテメーは!!」


ツッコミと同時に六樹は心の中でも叫び声を上げる。


(イヤ〜〜〜!!なんでだよ!!まだ半分以上あるぞ!!見つかったー!!いや切り替えろ!!この状況どう切り抜ける?前提条件としてリベルは俺を追ってきて攻撃してくるだろう。俺はリベルを倒す訳にも倒される訳にもいかない。しかしリベルに何もしないとなると流石に怪しまれる。つまり俺がやるべき事は……)


六樹がリベルに打つ手無しである様に見せかけた上での逃亡、これしかない。


「ナノハ、俺と組まないか?」


「やだ!リョウ兄ィとは戦うって決めてんだ!」


「だよなぁ………ショット!」


六樹は緋影を撃ち出した。


氷の盾(アイスシールド)!その技何度見たと思ってんだリョウ兄ィ!お返しだ!氷の棘(アイススパイク)!!」


リベルが魔法を唱えると地面から氷の棘が次々に現れ六樹の元まで迫った。六樹は剣を構える。


「紫電一閃」 「やべっ!、風乗り!!」


ジャキン!という音と共に氷の棘が一掃され、リベルの足元を剣が奔る。リベルはそのまま風魔法で空中に飛んだ


「火炎弾」「風刃!」


二つの魔法がぶつかり合い爆風が巻き起こる。リベルは更に高度を上げた。


(ここだ、今がチャンス!)


「暗障、硬化、ジェット!!」


次の瞬間、六樹は暗障をスノーボードの様な形状で硬化させ、噴出魔法で雪の上を高速で走りさった。


リベルは火炎弾の煙から抜け始めて六樹の逃亡に気付いた。


「逃げやがった!!待てコラ!リョウ兄ィ!!」


六樹はリベルの叫びを無視してひたすら逃げた。


◇◇


目まぐるしく変わる戦局に観客は声援を上げた。その歓声はリベルに向いていた。


「ナノハ選手がヒエン選手を撃破!!竜巻を纏って空中を駆け巡った!!狙撃手を巡った雪山の乱戦ここで決着!!」


「ナノハちゃーん!!」「ヒエンも惜しかったな」「あのムツキってやつ何者だ?」


観客が思い思いの事を口走る中、一息つくと解説が始まる。


「なかなか激動でしたね。ヒエン選手の渾身の一撃をムツキ選手が凌ぎ、そしてあの強烈なカウンター。そして最後にはナノハ選手が全て持っていきました」


「はい!現在ナノハ選手はヒエン選手を撃破した事で現在31点!相対するムツキ選手は何かと点を逃したもののなんだかんだ12点だ!ここはナノハ選手を撃破したいところだ!!」


相対する二人をスクリーン越しに観たダリアが頭を抱えた。


「が〜!!それは不味いっスよ姫様!!ていうか最悪っス!なんでよりによって彼を付け狙うんスか!?」


「落ち着いて下さいダリアさん。誰かに聞かれます!確かにかなり困った状況ですけど……リョウならなんとかしますよ!」


「でもこの状況、どうにかなるもんなんスか?パッと見八方塞がりなんスけど」


そうダリアが弱音を吐いた瞬間、状況が動いた。二人が技の応酬を行ったのだ。


「先に動いたのはムツキ選手!!短刀を飛ばした!しかしナノハ選手これを防御!そしてアイススパイクがムツキ選手に迫る!!ぶった斬ったーー!!凄まじい応酬です!」


「そして、二つの魔法がぶつかり合う。あっーー!!ムツキ選手が逃げた!!まさかの逃亡!!それも無駄に鮮やかな逃げ方だ!!」


六樹の逃亡に観客席はブーイングが響く。


「逃げるな!!」「ちゃんと戦え!」「それでも男か!」「妙にスタイリッシュなのが腹立つな…」


響き渡る野次を見かねた実況は解説に意見を求めた。


「互角に思えた戦いからの逃亡、これは一体何故だ!?ネクトさん!分かりますか!?」


「………う〜ん、考えられるとすれば、動きが読まれていた為に不利と悟ったか、もしくはヒエン選手の二の舞になるのを避ける為ですかね?」


「ヒエン選手の二の舞、ですか?」


「はい、先程ムツキ選手はヒエン選手に上空まで逃げられて完全に射程圏外となってしまいました。そして、そのヒエン選手を上空で打ち負かしたのがナノハ選手。そのためナノハ選手が制空権を握って一方的に攻撃して来てもおかしくない訳です。ですからムツキ選手はナノハ選手が風魔法で空を飛び始めた為、割に合わないと考え逃亡を測ったのかもしれませんね」


「なるほど!!確かにそれは有り得ますね!何がともあれ逃げるムツキ!そしてナノハ選手はそれを追う!!」


一方でダリアとアンリはホッと胸を撫で下ろす。


「良かったっス。とりあえず上手い事逃げてくれて」


「しかしリベルちゃんはずっと追いかけてますね、これからどうするつもりでしょうか?」


アンリの疑問に答える様に六樹は真っ直ぐに先に進む。


「向かう方向はフィールドの中央部分だ!!これは面白くなって来た!」


「四つのエリアが交わる中央には闘技場があります。あそこは遠距離型や中距離型が戦い辛い戦場であるため、近接戦闘が得意な者が多く集い、陣取り合戦を繰り広げていました。しかしその戦いの王者が先程決まりましたからね」


「闘技場のチャンピオンの元に向かう二人!一体どうなるのでしょうか!?」


「いえ、あの二人だけではありません。もう二人、同じ方向に向かっている物達がいます。これは本当に面白くなりそうだ」


◇◇


市街地エリア、そこは町を模した建造物が建ち並んでいた。


そしてそこではエルフの結界術師であるシギルが境地に立たされていた。


「チクショウ!なんで僕ばっかり追ってくるんだよ!?」


「本気で来いよ!シギル!!真剣勝負だ!」


そう、このリヒトと名乗ったこの男、コイツがしつこく付き纏って来るからだ。


「鬱陶しい!!結界魔法、暗闇の牢獄(ダークプリズン)!」


「な!?またか!」


リヒトの足元から突然黒い壁が現れた。そしてそれはあったいう間にまるで独房の様にリヒトを閉じ込める。


「潰れろ!圧縮(コンプレッション)!」


黒い牢獄はみるみる小さくなり、人がやっと入る程度のサイズにまで縮む。だが次の瞬間


ガタッ!ガタガタガタ……バシュッ


と、光の剣が牢獄の壁を貫いた。親の顔より見た光景だ、もうすぐ結界は破られ奴が再び出てくる。


「またダメか!このっ、ぶっ飛べ!!」


シギルは結界ごと吹き飛ばした。

そして、空中でリヒトが壁を破壊して外に出る。


「この程度の結界、本気じゃねーだろシギル!光の槍(ライトオブスピア)!!」


光の槍がキラキラと輝きながらシギルの方に向かって来る。シギルはあの槍の威力を身をもって知っていた。


「やばいやばいやばい!守護(プロテクション)!」


次の瞬間、魔法よってシールドを展開、光の槍受け止めた。しかし光の槍は爆発した。


ドォーンッ!!という爆音が響き、防壁が割れ、シギルは数メートル吹き飛ばされる。


「チクショウ!火力馬鹿、いや馬火力め!やっぱりそうだ!あいつは一つの魔法属性しか使えないがその分強力な魔法を放てる特殊職業(ジョブ)だ!」


シギルの読みは当たっていた。特殊職業(ジョブ)光術師、リヒトは光に関する魔法しか使えないもののその威力や精度は破格であった。


「あんなのと付き合ってられるか!」


そう吐き捨てシギルは逃亡を計る。魔導師であるシギルは付近の魔力を集めリヒトを結界に閉じ込めるが、リヒトはすぐに壊して外にでる。


「アイツどんな魔力量してんだ!?」


「待てよー!!」


後ろからリヒトの叫び声が聞こえる。幸いな事に少し距離を離せた様だ。


「待てよシギル!俺たちもうダチだろ!?」


「誰がダチだ!さっき始めて会ったばっかだろ!お前が勝手に僕に付き纏ってるだけだ!!」


「俺は俺の本気の攻撃をお前の本気の防御にぶつけたいんだよ!!分かるだろ!?」


「知るかそんなもん!!一人で壁打ちでもしてろ!」


シギルは建物を駆使してリヒトの視線を切りながら逃げ回る。


(チクショウ!地図で補足される以上アイツから逃げ切れない!とならばやる事は一つ!アイツを誰かに押し付けよう!)


爽やかに下衆な考えを思いつくシギル、そして地図を見た。


「よし、まずこの22点が僕で、後ろから追ってきてる27点がリヒト(アイツ)だな。この地図の中央、これはコロシアムかな?なんだこれ?35点!?強い奴がいるな…だけど好都合だ」


シギルは闘技場の方向を確認して走り始める。


(このまま闘技場に行ってアイツと強者にぶつける。毒をもって毒を制す。完璧だ)


それを追うリヒトもまた目的地に気付く。


「シギルの奴、闘技場の方へ向かってるな。まさかそこで決闘することつもりか!?受けて立つ!!」


◇◇


六樹もまた何の因果か同じ場所に向かっていた。


(闘技場に35点の奴がいる。もしリベルに取らせる事が出来れば支援になる。それが無理でも乱戦に持ち込めばリベルを引き離す機会が出来るかもしれない。それなりに危ない橋だが)


「リョウ兄ィ、この方向は闘技場か?何が目的だ?まぁ私は追っかけるだけだな」



「四人の魔法使い達が同じ場所を目指す!!これは大乱戦の予感だ!!」


「そして、それを待ち受けるのは鉄腕の異名を持つ錬金術師アルマ!!この試験屈指のパワーファイターだ!!」


「彼女の程近接に特化した魔法使いもそういません。闘技場という閉鎖空間で地の利を得たアルマ選手に飛び込む四人はどう対処するのか、見ものですね」


◇◇


そして、六樹とリベル、シギルとリヒトの四人が反対方向から闘技場にたどり着く


「あれだな、入り口はあそこか」


「リョウ兄ィ!追い付いたぜ!!」


「よし!入った!どこだ35点!?」


「闘技場とは、良い趣味だぜ!シギル!!」


そして、四人はほぼ同時に中央の舞台に到着した。


「な!?誰だ!?」 「乱入か!?」


「…ブッキングか」 「誰だコイツら!?」


四人が顔を合わし困惑する。


すると突然上からズシンッ!と砂埃をあげて鉄の鎧が飛び降りてきた。


『  !?   』


その場の全員がただ一人に集中する。

その鎧は普通の物とは違い、腕だけだ異常に大きく造られていた。


六樹(コイツ……確か要注意リストに載ってたな)


リベル(重戦士タイプか、厄介だな)


シギル(コイツが35点か、頼むアイツの気を引いてくれ)


リヒト(イカした鎧だ!!それに五人で乱戦とは!!楽しくなってきた!!)


「我は錬金術師アルマ、何も言う事はない、いざ尋常に……」


『   勝負!!  』


全員が口を揃えて宣戦布告を行う。

有力魔法使い達による五つ巴の大乱戦、開戦


冷血八百長剣士 VS ストーカー系不良少女 VS 不憫系根暗エルフ VS 熱血ヒーローモドキ VS 武人系鎧姉御

レディファイト!


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