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45話  サブクエスト

書けども書けどもなかなか評価が伸びないものですね。まぁ書くんですけど

六樹は一人輓馬亭に向かった。既に夕日は見えなくなり黄昏時となっていた。


「見つけた、ここだな?」


どうやらそこは馬の貸し出しも行っている宿屋のようだった。とにかく中に入ってみると、受付に話しかけられた


「いらっしゃい!宿泊なら満席だよ?それとも食堂の利用かい?」


「人と落ち合う約束がある。ダリアって人がここに来てないか?」


「ダリア?……あぁ!最近連泊してるあの姉ちゃんか!いまは食堂で夕食中だと思うよ?あっちだ」


受付に促されて食堂に向かう。周囲には酒に酔って騒ぐ者も多い中、淡々と食事を摂る一人の緑色の髪の女性を見つけた。手紙の通りだ


「あの、ダリアさんですよね?俺は六樹亮と言います」


「あぁ!待ってたっス!私は第二王女専属の護衛ダリアっス!」


ぱっと見では女騎士のような雰囲気だったのだが、思ったよりも砕けた人物のようだ、ダリアは六樹をじっと見つめてこう言った


「ふむふむ、外見的に間違い無さそうっスけど一応冒険者プレートと渡した手紙を確認させてください」


「分かりました。これです」


六樹は手紙と銀色に輝く冒険者プレートを手渡した。


「どうやら間違い無さそうっスね!それじゃあ話をしましょうか」


「うちの姫様が魔法試験を受けるって話は聞いてるっスね?」


「はい、その試験の支援をするっていう依頼ですよね?」


「そうっス、色々と事情があるから少し長くなるっスよ?」


「分かりました」


ダリアは依頼を出すまでの経緯を説明した。


まず前提として王族の教育方針を話し始めた。


どうやらガドル王国の王族は第一王子や第一王女には後の王・女王となる為の英才教育を王の隣で学ばせるがのだが、第二以降の王子や王女は王族として最低限の教育を施すものの、成人するまでの少年期は平民に紛れて生活をさせ、世の中を学ばせるそうだ。


これは王族内部での価値観が庶民の感覚と乖離しすぎる事を防ぐ為だそうだ、他にも実社会で叩き上げられ優秀な人材に育てるという狙いもあるらしい。


そして、平民として生活している王族は護衛が最小限の干渉で遠巻きに見守るのが通例らしい。


そして件の第二王女なのだが、彼女はどうも自由奔放なようで旅人のように気ままに各地を回っているらしい。


それだけならまだ元気なお姫様で済まされるのだが、問題なのは彼女に護衛を振り切ってしまうだけの技量と行動力があったという事だった。


その為ダリアのような側近の護衛でさえも常には居場所を追跡出来ているわけではないらしい。随分とアグレッシブな姫様だ


そして、この度そんな彼女が魔法試験に申し込んだわけだが


「伝わってるとは思いますが、王宮(ウチ)としては姫様に合格して貰いたい訳っスよ。だから姫様をサポートして受かる確率を上げたいという訳っス」


「それは理解できます。」


「でもウチの姫様はそういう類の不正は嫌いなんスよ」


ダリアは困ったように頭を抱えた。それをみて六樹が質問する。


「第二王女様は正義感が強いんですか?」


「う〜ん、不正が嫌いというよりも負けず嫌いというか、実力で勝ちたいタイプというか」


「水を差されたくないタイプですか?」


「そう!そんな感じっス!なんで姫様には内密にしないといけないんスよ」


それで間接的な支援なのか、と六樹は内心納得した。


「俺が言うのも何ですけど、間接的とはいえ支援付きで合格して後から不都合が出ないんですか?」


「それは問題ないっス!身内贔屓抜きにしても姫様の魔法使いとしての実力は確かっス」


「じゃあ俺はそんなに関係無さそうですね」


一人でも充分合格ラインにいるが、念のため支援をつけて確実にするとという事かと考え、六樹は少しだけ肩の荷を下ろす。もし失敗して責任を追及されても困るからだ。だがダリアは首を横に振った。


「それなんスけど、今回の試験においてはそう簡単にもいきそうにないんスよ……」


六樹が怪訝な顔をしているとダリアは話を変えた。


「まぁ詳しい事は後回しっス!実はこの町に呼んだのは理由があるっス」


「え、交通の要所で合流しやすいからじゃないんですか?」


「それもあるんスけど、ちょっと気掛かりがあるんス」


「気がかり?」


ダリアは真剣な顔で話し始めた。


「ここ最近、このナポスの近くで人攫いが増えてるんスよ」


「聞いたことあります。それがどうしたんですか?」


確か宿が取りづらいのはそれが原因だったはずだ、ダリアは続ける。


「ここ最近に連れ去られた被害者なんスけど……調べたところ、その殆どが10代前半位の白髪の女の子っス」


「……………」


「問題なのは、この特徴がうちの姫様と完全に一致してるって事っス」


「それはつまり、第二王女を誘拐しようとしてるって事ですか?」


「その可能性があるっス、まぁウチの姫様が捕まるなんて事は万に一つも無いと思うんスけど、移動経路的に姫様がこの町を通る可能性が高いんスよ、リスクは潰しておきたい」


「つまり、俺にこの賊達を潰してこいと?」


「話が早くて助かるっス!明日にでもこの町のギルドに行って依頼を受けてください。私は色々とやる事があるんでこの町にしばらく留まらないといけないんスよ」


ギルドの依頼を経由するのは王宮の人間と六樹が繋がっているのを隠す為だと思われる。

彼女にも色々と仕事があるのだろう。魔法試験前後の護衛も依頼のうちなので素直に指示に従う事にした。


「分かりました。あくまでギルドの依頼で動くという事ですね。」


「そういう事っス、あくまで冒険者として賊退治に出向いてください」


ダリアはそう気軽に返す。六樹は懸念している事を質問した。


「もし…第二王女が人攫い達に捕まっていたらどうしますか?」


「まず有り得ないスけど、その場合でもたまたま冒険者が助け出して風を装ってください。姫様は純白の髪に宝石のような紫の瞳の美少女っス」


「その姫様に対する熱い信頼はなんですか?」


「これでも私達、追跡の腕を買われて姫様の護衛に付いてるんスよ。そんな奴らが束になっても逃げ回る姫様がそこいらの人攫いに捕まるとはとても思えないっス」


どうやら第二王女には護衛の人達も苦労しているようだ


「分かりました。全て終われば国王に謁見させて貰えるという条件は伝わってますよね?」


「分かってるっスよ!その事で一つ聞きたいことがあるんスけど……」


軽い調子で話しているダリアの声色が突然変わる。ズンと低い声になった。


「お前は国王様に危害を加えるつもりは無いだろうな?」


突然切り替わった雰囲気に六樹は少し気圧されるがすぐに答えた。


「ない、危害を加えるつもりも意図的に不利益を与えるつもりもない。」


二人に緊張が走る。ダリアは六樹の目をじっと見つめる。


「…………とりあえず嘘は言ってそうにないな……じゃあ人攫い共の掃討お願いするっス!」


確認が終わるとダリアは再び砕けた調子に戻った。


こうして六樹にサブクエストが言い渡されたのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



翌日の朝、六樹はアンリと共にナポスの町の冒険者ギルドに来ていた。すぐさま賊退治の依頼を探す。


「あった、これだな……人攫い集団の討伐もしくは捕獲及び被害者の救出か……ん?募集条件、銀等級以上が最低3人?」


予想外の所から問題が発生したため、すぐさま受付に確認する。


「あの?この依頼の募集条件なんですが……銀等級以上が最低でも3人必要というのは何故ですか?」


受付嬢は少し重たそうな顔をして答えた。


「それですか……実はこの件はこのギルドでも問題とされているんです。つい先日、金等級の冒険者がソロで向かったのですが、いまだに帰って来ていません。」


「金等級……ですか?」


キョウやアバルと言った先輩達と同じ等級という重みは六樹は理解しているつもりだ、最もあの二人は金等級の中でも上から数えた方が早いらしいが


「もちろん何らかの要因で長引いているだけかもしれませんが、最悪の場合が考えられます。」


「しかし放置する訳にもいかず、ギルドとしては人材の浪費を避けるため銀等級以上が最低でも3人必要としています。」


というわけで突き返された。六樹とアンリは両方銀等級なのであと1人は探さないといけない。


「そもそも3人って数字に何の意味があるんだ?」


六樹がそんな問いかけを口にする。するとアンリには心当たりがあったようだ


「あぁそれですか、冒険者に伝わる賊退治の際のジンクスですよ」


「ん?そうなの?」


「対人戦だと奇襲を受ける事がザラなんです。もし先手を取られて1人失っても、1人が足止めに徹れば、最後の1人は情報を持ち帰る位は出来る。そういうジンクスです。」


「なるほど?」


生まれも育ちも日本の六樹にとって賊退治の際のマニュアルなんて聞いた事がないが、先人達の経験則というのであれば一定の信頼はあるのだろう。そういうものだと納得する。


しばらく同行者を探していると、六樹の背後から声をかける人影が現れた。


「なぁ兄ちゃん!アンタらもその依頼受けるんだろ?私と組まねーか?」


振り返るとそこには1人の人物が立っていた。コートを着ていてファーのついたフードを深々と被っているため顔はよく見えないが、フードの隙間から水色の髪がのぞいていた。


声は高く話し方が乱暴なので一瞬少年かとも考えたが、シルエットからして女性だろう


「願ってもないが、銀等級以上なのか?」


「私の冒険者プレートだ!見てみろ!」


冒険者プレートを見せつけてくる。その色は銀色だ


「銀等級だな、よろしく頼む。」


「短い間だがよろしくな!足引っ張んなよ?」


「舐めんなよ?俺がキレると町ごとなくなるぞ?」


(まぁ俺も巻き添えになるけど……)


六樹の冗談(嘘は言ってない)を少女は笑い飛ばした。


「ハハッ!じゃあ百人力だな!頼んだぜ兄ちゃん!」


こうして青髪の不良少女を加えて受付を終えて、ギルドを出発した。


しばらく平和な回が続いていましたが、そろそろ戦闘などを交えた本題に入って来ます。六樹の恐い部分や異質な部分も出していきたいです。

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