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39話  弟子入り

ここからはしばらく修行パートになります

翌日の朝、魔力酔いからやっと回復し六樹はアンリに事情を説明した。


「王女様の護衛ですか、随分と責任の重い仕事ですね」


支部長の話をまとめるとこうだった。


およそ2ヶ月後に開催される一級魔法試験に、秘密裏に第二王女が参加するらしい。


そして、国としては一級魔法使いの称号を得た王女様をプロパガンダとして利用したいらしく是が非でも合格させたいらしい。


そこで六樹が頼まれたのは二つ、魔法試験で王女様が合格するように間接的に支援をする事、そしてこの国の特別な要人である王女様の護衛だ、これは試験中だけでなくその前後などプライベートな時間も含まれる。


そこでアンリが当然の疑問を投げかけた。


「どうしてリョウが選ばれたんですか?普通はプロの人がいると思うんですけど……それにそもそも、そんな回りくどい事しなくても上からの命令で資格を与える位出来るんじゃないですか?」


確かに国家権力を持ってすれば資格の一つや二つ位ポンと出せてもおかしくない、だが六樹は首を横に張る。


「それなんだけど…魔法試験の運営っていうのは、かなり厳格で、不正は絶対に許さない事でその格を保ち続けてるらしい、それこそ王族や大貴族でも普通に落とされるらしい」


「権力には屈しないと、それで?あなたが選ばれた理由は?」


「そんなわけで試験で、あからさまなアシストは出来ない。それこそプロの人達はある程度信頼と実績、それに家柄もあるからすぐバレるみたいだ。だから俺みたいな素性の知れない奴に白羽の矢が立ったらしい」


元々は王族との繋がりを隠せるような素性の知らない人物であり、万が一の事態に対応できるだけの実力を備えたある程度魔法が使える信頼できる人間


という風な条件だったらしいが、素性不明という時点でかなりハードルが高くなっていたところ、支部長が色々と手を回してどうにかして六樹をねじ込んでくれたらしい。

魔法が使えるという部分は今からどうにかしなければいけないが


しかし六樹にとっては都合がいい、一級魔法試験に合格出来れば国王に会える。落ちたとしても王女様の支援と護衛を完遂すれば同じ結果が得られる。少し違うが王手飛車取りのような状況だ。


「そういうわけで、俺はそれまで修行しなくちゃいけない。魔法は勿論だけどネクロマンサーとしても、それに純粋に要人護衛出来るだけ強くなる必要もある」


「闇雲に修行するわけじゃないでしょう?何か教えてもらうアテはあるんですか?」


「魔法はダクトさんが教えてくれる。ネクロマンサーは誰もいないから独学でやるしかないな、最後はこれから頼みに行くところだ……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ギルドの中の酒場、そこで昨晩から飲み明かしている男が2人いた。


「ぷはぁ!!いやー大仕事を終えた後の酒はしみるぜ!!」


「キョウ、お前飲み過ぎだぞ。それにそのセリフ何回目だ?もう3日前だぞ」


「そういやアバル!お前いつ戻るんだっけ?この町の観光は済んだのか?」


「お前の飲みに付き合ってあまり観れてない、そうだなぁ…特に急ぐ用もないし、あと一週間位はこの町にいると思う。」


「ならまだ飲めるな!!町外れにいい酒屋があるんだ!」


「はぁ、俺は他の事がしたいんだが……」


そんな会話をする2人に六樹が入って行った。


「おう!リョウじゃねーか!!酒場(ここ)に朝からとは、通じゃねーか!?」


「ムツキか、寝込んでいたと聞いたがもう大丈夫なのか?」


「はい、体調はもう大丈夫です。実は2人にお願いがあって来ました。」


真剣な表情の六樹に二人は無言で続きを促す。そして六樹は頭を下げて懇願する。


「お二人に稽古をつけてもらいたいんです。お願いします。」


突然の懇願に金等級の冒険者である二人は少し驚いた顔をしたが


「お、いいぞ」 「………え?いいんですか?」


ものすごくあっさりと返したキョウに六樹は肩透かしを食らった。


「ムツキ、俺もだ。前回お前には助けられたからな、何か礼をした方がいいとはこいつと話し合っていたんだが、そういう事ならちょうどいい」


「あ、ありがとうございます!」


「気にすんな!先輩が後輩に教えるのは当然だ!恩を感じたならお前も誰かに教えてやれ!」


「分かりました!」


「んじゃさっそく行くか!」


「えっと、どこにですか?」


「稽古場だ!リョウ、まずお前の実力を測る。付いてこい!」


キョウについて行くとギルドの広大な庭に空き地のようなスペースがあった。そこには大きなサークルがあり、なんだか学校のグラウンドを連想させた。


この場には六樹、キョウ、アバル、そしてアンリも同行していた。これから始まるのは模擬戦だ


「木刀は持ったな!スキルや魔法は無し、シンプルな白兵戦でいくぞ!」


木刀を持った六樹と訓練用の木の槍を持ったキョウは向かい合う。

アバルとアンリはサークルの外にいて、アバルが二人に声をかけた。


「模擬戦を始める!ルールは十本勝負!始め!!」


その号令の直後、キョウがおよそ生身とは思えない速度で迫って来た。


そして勢いそのままに槍による突きを繰り出した。

ビュン!という音が耳元を掠める。


「ぐっ!?」 「避けたか」


ギリギリで体を逸らし突きを回避した六樹、そして、木刀を槍に沿わせながら剣士の間合いヘ持ち込み、そのまま剣を振り下ろして反撃に移る。


「はぁぁ!!」 「甘いな」


するとキョウは槍を回し六樹の木刀を地面に叩き伏せた。そして、横薙ぎの一撃を放つ


ビキッという甲高い音が響く


「!!、セーフ!」 


だが六樹は間一髪のところで木刀が間に合いこれを防ぐことに成功する。だが


「リョウ!槍の優位性を忘れてないか?」


キョウがそう言った次の瞬間、切り返した木の槍の柄が木刀でガードした反対方向に激突した。


六樹の腹部にに鈍い衝撃が走る。


「ぐふっ!……捕まえた!!」 「……おっと!やるねー」


六樹は胴体に打ち付けられた槍の柄を掴み取り、そして、力の限り引っ張った。


「おっと!?」 「決める!!」


槍を持っていたキョウを勢いで引き寄せ、木刀の射程圏内に捉えた。片手は槍の柄を握り、もう一方は木刀でキョウを狙う。


だがキョウは予想外の行動に出た


だが次の瞬間、キョウは槍を手放し、一気に近寄ると拳によるカウンターパンチを六樹の胴体に叩き込んだ。


「がはっ!!」


更に六樹が咄嗟の事で手を離してしまった槍をキョウは再び掴み取った。


六樹は予想していない攻撃をモロに受け吹き飛ばされたが、


「ぐおっ!!」 「イテっ」


しかし六樹の木刀もキョウの腕を掠めた。


しかしキョウは掴み取った木の槍の穂先を六樹の喉元に突きつけた。


「そこまで!キョウ!一本!」


そこに、アバルの号令が入り、キョウに一本が入り、少し小休止となった。


「リョウ!リーチの長い武器を持ってる奴こそ近接格闘を警戒しろ!さっきみたいに懐に入られた時の対処を心がけてるからな」


「はい!分かりました!」


「それとだ、カウンター喰らっても怯まず木刀を叩き込んだのは良かったぜ!!もしあれが決まれば実戦なら俺の方が致命傷を受けてたからな!」


そうキョウは六樹を褒めると模擬戦を再開した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


試合後、そこにはボコボコにされた六樹の姿があった。模擬戦の結果は2-8六樹はキョウに2回致命打を与えるまでに8回は殺されたという計算になる。


「リョウ!結構やるじゃねーか!俺の方が武器のリーチで有利なんだが、2本も取られた。誇っていいぜ!」


意外にもキョウにそう褒められた。そして、近くに来たアバルに声をかける。


「アバル、どう思う?」


「まぁなんだ?なんというか狙いは悪くない、それに熟達した技術を節々から感じる。しかし体がそれに追いついていない気がするな」


「だよな?なんか違和感あったんだよ、チグハグっていうかなんていうか……まぁそれは置いといて!リョウ!だがお前の強みも分かった!」


「俺の強みですか?」


「あぁそうだ!お前は妙にしぶとい!その上で隙をついてとどめを刺すのが上手い。なんていうか……強いというより恐い戦い方がお前の強みだ!」


「強いじゃなくて恐い、ですか?」


「対人戦だと相手したくないな、こちらが攻撃してもなかなか殺し切れなくてその上で相手はこちらが崩れたらすぐに命を刈り取って来る。やりづれー相手だ」


そして、アバルが更に付け加える。


「ムツキ、今のお前の実力は大体銀等級上位から金等級にギリギリ届くか届かないかといったラインだ。現状でも実力はある。持ち味を活かしつつじっくり強くなれ」


「崩しを覚えろ、相手の意表を突く戦い方をすればお前の勝率はグッと上がるはずだ、よし!次はスキルを上手く扱う訓練だ!お前の武器を持ってこい!」


「はい!分かりました!」


こうして六樹の修行生活が幕を開けたのだった。


なんかキョウが部活の先輩みたいになった

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