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38話  謁見への道筋

作中の時間経過を考えたら意外とそんなに経ってなかった事に驚きました。

アンリが驚いた顔をした


「また物好きなものを選びましたね、ネクロマンサーは言わば神官(わたしたち)と対極に位置する存在です。やる事がやる事だけにある程度白い目で見られる事は覚悟した方がいいですよ?」


「分かった。でもまぁ大っぴらにしなければ大丈夫でしょ」


「それにしても基本的には中衛から後衛になるネクロマンサーと前衛の剣士ですか、変な組み合わせですね」


「アンリだけには言われたくない」


アンリは基本的に後衛にいるはずの神官であるが武闘家でもあり、ぶん殴って癒すバイオレンスヒーラーだ、六樹も妙な噛み合わせだがアンリと五十歩百歩だ。


「まぁあなたの事ですし、いろいろ考えての事でしょう?」


「そんなとこだ、死者をどうこうするのは、俺とそれなりに噛み合わせがいい気がする」


職業(ジョブ)が選択でき、プレテが話を進める。


「決まりましたね、それではギルドの受付にその旨を伝えれば選択した職業に進むための指南書を貸してもらえますよ」


「そうなんですね、分かりました」


六樹は教会を後にしようとするが、プレテに呼び止められた。


「そうそうムツキさん、レカルカさんから伺ったのですが、なにやら昨晩からずっと頭痛や倦怠感に襲われているとか?」


「はい、原因もよくわかってません」


「何やら治癒系魔法も効果がなかったとか?」


「そうですね、まぁ耐えられなくはないんで放置してますが」


どうやらプレテは六樹の体調を心配してくれているらしい。


「先の戦いであなたはそれなりに呪いを受けましたからね、そうだ、新作のポーションを試してみませんか?解呪に解毒効果、それと魔力補給が出来る代物ですよ」


そう言って、プレテは近くの棚から小瓶を取り出し六樹に手渡した。


「ありがとうございます。じゃあ試してみます」


小瓶に入ったポーションを飲み干す六樹、なんだか薬草のような味がし、体に魔力が入るのを感じた。


だが、すぐに異変が起きた。


「あっ!頭が!!割れる!!視界が揺れてる!?」


なんと激しい頭痛に襲われたのだ、先ほどまでの症状が悪化したように感じた。


「リョウ!?」 「ムツキさん!?」


六樹はその場に倒れ込む。だが、意識はひっきりしていた。まるでカフェインを大量に摂取した時のようだ、そしてなんだかこの苦しみには覚えがある気がする。


「ムツキさん、意識はありますね?どういう症状か教えて貰えますか?」


六樹はなんとかプレテによる問診に答える。一通り答え終えたあと、プレテは結論を出した。


「………これは、魔力酔いですね」


「どういう事ですか?確か高密度の魔力に晒されると起こるはずですよね?先ほどのポーションの効果だけでは説明がつきませんよ?リョウは昨晩からこんな具合ですし」


「彼の場合は体質が体質ですからね、ただでさえ皮膚が魔力を通しにくい状態なのに、体の中に精霊を丸々詰め込んでますから」


プレテは六樹に語りかけた。


「ムツキさん、おそらく体内のエスグリミスタさんが回復してきたために今のあなたの体内は魔力がギチギチに詰まっている状態です。」


「……えっ、とどうすればいいのか、教え、てもらっても?」


「結論から言えば、適当に魔力を発散し続ければ治ります。しかし、あなたの体質であれば、しばらく耐えておけば適応すると思いますよ?当然苦しみますけど」


その答えを聞いてアンリが疑問の声を上げる。


「なぜ今さらなんですか?エスタさんを取り込んだのは昨日今日の話ではないですけど」


「おそらく療養生活により魔力をほとんど使わなかったため体内の魔力の密度が上がりすぎて魔力酔いの症状が出たんでしょう」


「難儀な体なんですね、まぁ重大な怪我や病気じゃなくて安心しました」


アンリは納得したようだ、そして、六樹に対して質問した。


「リョウ、どうしますか?適当な魔法を使うなら中庭などに移動しますけど……それともこのまま耐えますか?」


「えっと……プレテ、さん、魔力が高密度に…なるとどうなるんですか?」


酷い二日酔いのような六樹が質問すると、プレテは少し考え込んだ。


「そうですね……正直言ってよくわかりません、なんせ、あなたのようなケースはほぼありませんので……」


しかし、わからないと前置きした上でプレテは予想を述べる。


「ですが少なくとも、あなたが使う魔法にはなんらかの影響が出ると思います。あとは精霊は高密度の魔力を好むのでエスグリミスタさんは喜ぶんじゃないでしょうか?」


「…………頑張って、適応するまで耐え、ます」


それを聞いたアンリが少し溜息をついた。


「まったく、しょうがない人ですね、横になれる所に移動しましょう」


そう言って、アンリは六樹を担いでギルドの医務室まで戻って行った。六樹を医務室のベッドに横にした。そして、しばらく後、六樹に一冊の分厚い本を手渡した。


「これ、借りてきましたよ?死霊遣い(ネクロマンサー)になるための指南書です。」


「ありがとう、本当に、助かる」


ジョブを得るための指南書、今の二日酔いならぬ魔力酔い状態の六樹でも読者位ならなんとかなるため、アンリが気を利かせて持ってきてくれたのだ


「リョウ、あなたは本当に体調不良に事欠きませんね」


アンリが少し呆れた様子でそう言った。


「確か、に、この世界に来てから、半分は、寝込んでる気がする」


「もっと自分の体を気遣って下さいね?命はたった一つなんですから!」


「はは!優秀な、神官様が、俺には付いてるからな」


「減らず口を叩けるのなら大丈夫そうですね、まぁ今日はゆっくり本でも読んでおいてください、また無理したら怒りますからね?」


「分かったよ、大人しく、してる」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


六樹は約束通り、魔力酔いによる体調不良の状態で指南書を読み続けていた。幸いなことに少しずつ症状は改善され、まだ頭痛は酷いものの、悠長に言葉を話すこともできる程度には回復した。



「はぁ、なんで俺の道筋はこうも多難なんだ?」


エスタ(半分位はお前が自分で選んだ事じゃないか?)


誰もいない医務室で大きめの独り言を呟くと、六樹の体調不良と引き換えに活力が沸いているエスタが声をかけてきた。


「確かに平穏に暮らそうと思えば出来たのか………」


六樹が自分のこれまでの選択を鑑みる。


「いやでも仕方ないだろ?この世界にはなつめがいるし、蓮もいる。他にも連れがいるはずだし……帰る方法も見つけておきたい……」


エスタ(帰りたいのか?日本(さと)に)


「そりゃ家族には会いたい、急に離ればなれになって…別れの一つも言えなくて……家が恋しいよ……」


六樹がそう漏らす。エスタは黙ってそれを聞いていた


「……帰りたい…けど、この世界を気に入ってる自分も確かにいるんだよ」


エスタ(相棒、俺の主人様も同じような悩みを抱えてたよ)


「まぁそうだよなぁ…どうやって乗り切ったんだ?」


エスタ(乗り切ってなんかない、故郷への未練は残り続けていた、だがそれ以上の存在をこの世界で築いたんだ)


「それ以上の存在ね」


エスタ(家族だ、主人様は家庭を築き、誰かの子孫ではなく、自身が何者かの祖になる事に決めたんだ)


「強い人だったんだな、鬼道さんは」


エスタ(あぁ強い、だがな相棒!俺はお前も負けてないと思ってるぜ)


エスタにそう告げられるのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


日が暮れ始めた頃、支部長が医務室に尋ねてきた。六樹は突然の事に驚く


「支部長!?すみません!呼んでもらえればこちらから伺ったのに」


「いえ、あなたが寝込んでいるとお聞きして、昨日の時点で頭痛もあったそうですし、申し訳ないことをしました」


今現在に関しては六樹が寝込んでいるのは完全にわがままみたいなものなので支部長に対して申し訳なさを感じた。


「リョウ君、昨夜の君の頼みなんですが、実は条件つきですが、都合がつきそうです。」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


「いえいえお構いなく……そして、その条件なんですが、ダクトさんから一級魔法試験の話を聞いてますね?」


突然の質問に六樹は狼狽える。一体この人はなんで知っているんだろうか?まぁ詮索はよしておこう。


「聞いています。もし合格すれば国王陛下に謁見出来るかもしれないと……それとどう関係が?」


「はい、実は2ヶ月後、魔導都市ウィザリアで開催される一級魔法試験において、秘密裏にこの国の第二王女リベルテ様が参加します。」


「第二王女?ですか?」


支部長は神妙な面持ちで首を縦に振り本題を切り出した。


「リョウ君、あなたは魔法試験に参加する事になります」


「そして、そこであなたには秘密裏に王女の護衛、そして魔法試験内部での間接的な支援を行ってもらいたい。」


「王女様の護衛と間接支援、ですか?」


「はい、これが国王陛下へ謁見する為の条件です」


新キャラ登場の予感、思い返すと六樹はいつも寝込んでるな

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