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37話  ジョブ選択

ここから2章スタートです。


「はあ〜王に謁見する方法ね、何があるのか……てか頭いてぇ〜それになんかダルいし……」


朝のギルド、そのロビーに備え付けられた長椅子に六樹は腰掛けながらそんな事を呟いた。しばらく安静にと命じられており、ラフな服装で武器などもメンテナンスして貰うために預けてある。なぜか体が風邪を引いたような状態だが、頭痛と倦怠感以外には特に異常も無く、解毒魔法をかけてもらったが何故か変わらないのでひとまず無視だ。


昨日の夜、支部長に聞いたところ戦時下である現状、内外の敵による国王の暗殺計画が絶えず、群衆の中に紛れて一目見るなどはまだ可能かもしれないが、国王に直接謁見するような事はかなり難しいらしい。


しかし、それで出来ませんで終わる支部長ではなかった。いくつかのアプローチに心当たりがあるらしく、今は調べてくれている。しかし、確実とは言い難いので六樹自身も調べておいた方がいいとのことだ。


そして、ギルドにいた知り合いに声をかけているわけだが……


グレース「国王陛下に謁見か、それもなるべく早く、すまないが戦争で武勲を建てる位しか思い浮かばないな」


ゲロン「王様に会いたいね……さっぱり分からん!まぁ知ってそうな奴に聞いておいてやるよ」


ルーナ「王様になんか用でも?私は見たこともないなぁ、もし会ったらサイン貰っておいてよ!」


と言った具合で特に進展は無し、正直言って六樹も日本に住んでいて、国のトップに会う方法を聞かれて答えられる自信はない。一般人からすればの住む世界が違う。

そんな風に黄昏ていると、一人の男が六樹に近づいて来た。


「ゲロンから話を聞いたぞ少年、国王に会いたいのだな?実は少し心当たりがある」


そう言ったのはダクトだった。六樹はその話に飛び付く。


「何か知ってるんですか!?ダクトさん!」


「あぁ、私の経験でしかないが、可能かもしれない」


「聞かせてください」


食い気味に話す六樹にダクトは話し始めた。


「私は国王陛下に一度だけ謁見した事がある。それは私が魔法試験に合格し、一級魔法使いの資格を授与された時だ」


「一級魔法使い?」


「あぁそうだ、魔法使いにとっては花型の資格とでも思ってくれ。試験を受けて一級魔法使いに合格すると、授与式において国王陛下が直々に賞書を手渡すというわけだ」


「それで謁見できると……」


「どういう理由で国王に会いたいのかは知らんが、戦場で大戦果をあげるよりかは早いと思うぞ」


「魔法の試験ですよね?俺は魔法そんなに使えないんですけど…」


「少年よ、確か最近まで鉄等級だったな?それならば仕方ない。職業(ジョブ)の影響で魔法職以外は大抵の場合下級魔法程度しか習得出来んからな」


確かに江川歩の手記にはジョブにより魔法やスキルの習得出来ない場合があるとか書いていた気がする。


「魔法を使えるジョブを取得できればいいんですか?」


「そういう事だ、魔法の習得範囲はジョブにより大きく異なるからな」


ダクトはそう断言する。ベテラン魔法使いである彼のいう事だ、従うのが妥当だろう。


「ジョブの事は分かりました。でも俺は剣を使って戦うのが主流ですけど、魔法をちょっと覚えただけで受かるものなんですか?」


戦闘スタイルがまったく違う状態では魔法を少し覚えれたとしても付け焼き刃だ


「それならば心配ない、魔剣士のような魔法をサブで使う者達も合格できるような仕組みだ」


「それなら、やってみる価値がありそうですね」


「とにかく、まず職業(ジョブ)を決めなさい……まぁ適正というものもあるから必ず取得出来るとは言えんがな」


「分かりました、そうしてみます」


「うむ、もし魔法職の職業(ジョブ)になれたなら私が魔法を教えよう」


「いいんですか?ありがとうございます!」


「そういう事で、私は仕事に行く。何かあれば声をかけなさい」


ダクトが依頼に出かけて行った。



それと同時にアンリがギルドに帰って来た。ちょうどいいのでジョブについて教えて貰う事にする。


「アンリ、ちょうどよかった。職業(ジョブ)について教えてくれないか?」


「いいですよ、え〜と……それじゃあ教会に行ってプレテさんに頼みましょうか」


「?…頼むって何を?」


「適性を調べて貰うんです」



教会に移動し始めた。短い移動中、六樹は気になっていた事を質問した。


「ジョブって銀等級から決められるの?」


「本来なら銅級に昇格してから決めるものですね、あなたは飛び級したので例外です。」


「大事な事なんだろ?なんで最初から調べて決めないんだ?」


「兵士はともかくギルドの冒険者は万能な活躍が求められるんですよ。そのため鉄等級の見習いの時は色々な事を試して戦いを通して自分に必要なものを知って基礎を押さえる為だそうです。」


「試用期間ってことか……」


「そういう事です。それにジョブを後から変更するのは出来なくはないんですが、なかなか大変なんですよ。だから慎重に決める必要があります」



なんとなく理由がわかった。実戦も知らない状態で最初から調べて決定してしまうと後から不都合が生じるということか


そんな事を考えているとアンリが話題を変えた。


「ところでリョウ、体調の方は大丈夫なんですか?昨日から頭痛と倦怠感があると言っていましたが」


「あーそれなんだけど全然治らないんだよな、アンリに回復も解毒もしてもらったはずなのに、なんでだろ?」


「う〜ん、疲れですかね?心配ですね」


「経験したことはないけど、二日酔いってこんな感じなのかな?別に命の危険を感じる程ではないけど……」


そんな話をしていると教会に到着した。


プレテに経緯を説明する。すると、教会の奥に案内され、祭壇のような場所に案内された。

そして、天窓から入った光がちょうど当たる場所に立つように言われた。


「ムツキさん、しばらくそこから動かないでくださいね、あなたの適性を調べます。」


そう言うと、プレテは神に祈りを捧げるように両手を握り込み、詠唱を始めた。その後もしばらくお経のような言葉が続くと、プレテが筆を取り、紙に文字を書き起こした。


「終わりましたよ、ムツキさんに適性のある職業(ジョブ)を一通り書き連ねましたのでご確認を」


そう言って紙を手渡される。そこには様々さな職業が書いてあった。


[適性職業(ジョブ):剣士、暗殺者、狂戦士、狩人、死霊遣い、魔術師、斥候、盗賊]


「なんか……悪そうな奴が多い」


と、六樹が自分の適性を見て苦笑いする。なんだか敵役にいそうなジョブだ


「……ほんとだ、魔王軍にでも入りそうなラインナップですね」


隣からのぞいたアンリが容赦なく肯定してくる。


「簡単な説明位は出来ますが必要ですか?」


「お願いします。」


プレテは六樹が適正のある職業(ジョブ)を簡潔に説明した。その説明は江川歩がゲームを元に整理しただけあり、六樹の固定観念とおおよそ同じものだった。


そしてプレテは最後にこう補足した。


「あぁそれと、あなたは現時点で[剣士]を取得していましたよ、まぁよくある事です。」


「??……じゃあ、剣士は確定って事ですか?」


「そういう事ですね、あなたの場合は魂に刻み込まれているようなので変更は不可能だと思われます。補助としてもう一つ選ぶのがいいでしょう」


隣にいたアンリが補足を付け足す。


「因みになんですが、あえて一つにする事でそのジョブに専念するという方法もありますよ、キョウさんなんかは槍使い一つであれだけの強さを発揮していますし……」


「とっておけばいいって訳じゃないのか、結構奥が深い……うーん、魔法を本格的に使えるのはどれなんですか?」


六樹の質問にプレテが答える


「そうですね、あなたが適性のある魔法職は魔法使いと死霊遣い(ネクロマンサー)の二つです。魔法使いは攻撃魔法の上級まで使えます。幅広く魔法が扱えるのが利点ですね。」


「死霊遣いであれば、光属性の魔法はほとんど使えませんが、中級までの攻撃魔法や補助系魔法とアンデットやゴーストを操ったりなどの特殊な魔法やスキルを使えますよ。」


「上級魔法と中級魔法ね……」


イマイチ魔法のレベルにピンとこない六樹にアンリが解説する。


「リョウ、ほらクラメさん?の時を思い出してください、しっかりと詠唱をして必殺技のように出していたのが上級で、すぐさま速射していたのが中級です。」


「あーなるほど、あれか!、これはどうするか悩むな」


六樹の頭の中の選択肢は主に三つ、

まず剣士一本に絞る方法、エスタという頼れる相棒のおかげで剣の道に全て捧げるという方法も決して悪くない気がする。


二つ目は剣士に魔法職を添える方法、中遠距離の攻撃手段の足しになり、さまざまな魔法が使えれば戦術の幅が広がる。


三つ目は剣士に暗殺者を添える忍者スタイル、六樹は基本的には初見殺しで嵌める方法を多用するので、ある意味あっているとも言える。


熟考する六樹にエスタが話しかける。


エスタ(相棒!!剣士一本だ!!剣で天下を取るんだ!)


エスタの熱弁に六樹は少し考え込むが


六樹(確かに悪くは無いんだけど、前衛に専念しようとすると基礎的な筋力や体力の比重が大きいんだよなぁ……となるとやっぱりある程度の拡張性を持たせた方がいいか)


そして、六樹は答えを出した。


「決めた!俺は剣士と死霊遣い(ネクロマンサー)にする!」


ジョブという概念を出していたのにやっとここで回収です。六樹の出来る事が広がる反面、私の考えなければいけない事が増えるというジレンマ。

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