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35話  決着!スケルトンドラゴン戦

投稿開始から約二ヶ月いつの間にか文字数が10万文字を突破してました。ここまで追ってくれている読者の皆様には改めて感謝を

宣戦布告を終えたキョウは槍を構えこう叫んだ。


「いくぜ!!過負荷(オーバーロード)!!!」


キョウの体から迸るエネルギーを感じる。


能力(スキル)[過負荷(オーバーロード)]5分間の間に限定し、身体強化、感覚器官の覚醒、魔法、スキルの増強など、さまざまなバフを付与する。たが、スキル使用後は反動として使用した倍の時間は魔法やスキルが使用不能に陥るというデメリットも存在する。


次の瞬間、キョウはハルゴスに槍による刺突を行っていた。速い、六樹は純粋にそう思った。


ズドーン!!という音と共に鱗が貫かれ突かれた箇所の骨が崩れ落ちる。


ハルゴスは槍に突かれた場所を再生しようとするが骨が崩れる速度の方が早い。


「邪魔ヲスルナーーー!!!」


ハルゴスは咆哮を上げ尻尾による攻撃を行う。その攻撃は骨を分割した上で高速で繰り出す事により、もはや石飛礫のような凶悪な範囲攻撃と化していた。


「その手は食わねーよ」


なんとキョウは冷静にバラバラになった骨の一つ一つを足場として移動し立体的な機動に切り替えた。

そしてそのままハルゴスの肋骨部分に飛び蹴りをかました。


「さっきのお返しだ!!遠慮なく受け取れ!!」


ビキッ!!という骨にヒビが入る音が鳴り響いた。


だがハルゴスも一方的にやられる器ではない、すぐさま速射のブレスを放った。


「真槍一徹!!」


キョウはブレスに槍による刺突で穴を開け、その僅かな隙間に飛び込んで安全地帯を確保した。そしてそのまま攻撃を続けた。


「アイツと互角に、いや少し押してる!?」


六樹は呆気に取られてそう呟く、時間制限のある一時的なものだとしてもキョウはハルゴスを翻弄している。


目にも止まらない速度で行われる戦闘を目の前に六樹も準備を整える。


「アンリ!!アイツの鱗を剥がしたい!!手伝ってくれ!!」


「はい!なんでも言ってください!!」


「ダクトさん!アイツのバラした骨を撃ち落とす事は出来ますか!?」


「軌道を変える事位なら可能だ、8割位は当たるだろう」


「分かりました、お願いします」



六樹は剣を構える。そして、アンリと共に走り出した。


六樹(エスタ!!頼むぞ!!)


エスタ(気張れよ相棒!!大一番だ!!)


キョウは六樹達が動き出したのを確認すると、こう声を上げた。


「よし!大技を決める!!ちっとばっかさがってろ!!」


するとキョウの槍から魔力による光が溢れて始めた。

そして、高速で戦闘を行いながらも詠唱を唱え始めた。


「神はこの人間界を創りし時、天界から我らを見守る為、天に槍を突き刺し、覗き穴を創造された……」


「戦闘を行いながら長文詠唱を!?」


アンリがキョウのまるで曲芸のような芸当を見て驚愕する。何よりすごいのは全力疾走を行いながら詠唱を噛む事なく速読している事だ、そして、キョウは大きく後ろに下がり、ハルゴスと真っ直ぐと向かい合い槍を構えた。そしてこう叫んだ。


「かの槍は境界をも越える!穿て!!……天蓋貫てんがいかん!!!」


ズドーーンッ!!!というか音と共に、次の瞬間ハルゴスの肩部分に槍を突き刺しそのまま脊椎部分の骨までがバラバラに吹き飛んだ。まるでミサイルやレールガンでも見ているかのような一撃だった。


「ギャオオオオオオオオオ!!!」


ハルゴスの痛みのような叫び声が響く、あまりの速さにより、骨をバラして威力を殺す方法が上手く行えずモロに攻撃を受けたからだ。


「今だ!!行くぞ!アンリ!!」


「はい!私も消耗度外視でいきます!!聖纏(せいてん)……!」


アンリと六樹はここを好奇と見て駆け出した。アンリは自身に聖なる力のようなものを纏わせている。近くにいるだけで空気が浄化されていくのを感じた


「姑息ナ人間ドモメェ!!近寄ルナァーー!!!」


ハルゴスが骨をバラしてこちらに飛ばして来た。だが


「邪魔はさせんよ!打ち水!!」


ダクトの放つ魔法により、バラした骨は後ろに押し戻される。だが、ハルゴスは更なる新技を開発する。


ビシッ!!と六樹とアンリの正面に瘴気の鱗による壁が展開されたのだ、それは黒ずんだすりガラスのような見た目だった。


「!?こいつ!!また新技を!?」


「どいてください!!私が砕きます!!はあああ!!瓦拳(がけん)!!」


アンリが拳を振るうと意外にも薄氷のようにその壁は砕けた。だが、


その砕けた先には絶望が待っていた。

ハルゴスが紫色に発光し、口を大きく開けた状態でブレスを放つ準備を終えていたからだ。


「壁は目眩しかよ!!」 「ぼ、防御を!!」


慌てる二人だったが、もう遅い。先ほどまでとは打って変わってフルチャージの呪いの息吹が放たれた。


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


凶悪な一撃により二人が見えなくなる。生身で受ければ間違いなく呪いであらゆる箇所から燃えるように傷口が広がり最後には灰燼と帰す一撃だ


だが、それが二人を襲う事はなかった。


「言っただろう!?俺の手の届く範囲は誰も死なせないとなぁ!!!」


「「アバルさん!!!」」


そこには盾を構えたアバルの姿があった。彼もいまだに全ての傷が治っているわけではない。だが戦場に戻って来てくれたのだ。


「反撃に転じるぞ!!集積(アキュムレイト)衝撃(インパクト)!!」


アバルはブレスの半ばで溜め込んだエネルギーを解放する。ブレスと衝撃波が相殺され激しい爆発が起きた。


「今だ!!決めろ!!」


アバルの掛け声と共に走り出した六樹、一方のハルゴスは翼を広げそこに瘴気の皮を張り巡らせ爆風を受けて空中に舞い上がっていた、六樹はすぐに緋影を取り出し攻撃する。


「ショット!!」


だが鱗に阻まれ攻撃は届かない、そんな時


「真槍一徹!!」


「飛ばせんぞ!!水撃砲!!」



キョウとダクトの攻撃により翼に張り巡らせた瘴気の皮に穴を開けられ、ハルゴスは地面に叩きつけられた。


ハルゴスの頭蓋骨が地面に落ちる。六樹は飛び上がりアングリッチを構えた。同時にアンリが聖なる光を纏った拳で殴りかかる。


「喰らえ!!聖拳突き!!!」


ガシャーンッ、ビキ、ガシャーンと鱗が二層に渡り砕けちった。それと同時にハルゴスがアンリに頭突きをかました。原始的な攻撃だがその巨体故にアンリは吹き飛ぶ。だが吹き飛ばされながらも更にアンリはこう叫んだ


「まだだ!!聖なる光(ホーリーライト)!!」


ジューーという音と共に瘴気の鱗の層が一枚剥がれた。アンリの献身を無駄にしまいと六樹はハルゴスに飛び込んだ


「届けえぇ!!!」


そう叫びながら六樹がアングリッチをハルゴスの頭蓋骨に突き刺す。エスタが瘴気の鱗の層を一枚突破して剣が少し沈み込んだ、あともう一つ突破すれば骨にたどり着く。


「いい加減に!!鎮みやがれ!!」


「我ハ!!子供達ヲ救ウノダァ!!邪魔スルナァ!!!」


ハルゴスが紫の光を纏い始める。

さらにはその大きな爪で頭の上、すなわち六樹を切り裂いた。


至近距離からの攻撃を避けきれず、六樹の顔に直撃した。ザシュという音と共に血が飛び散る。六樹が呻き声を上げる。だが、剣は手放さない


「……ぐっ!!ぐあぁ!!目が!!クソがぁ!!」


六樹の右目が爪による攻撃で潰れていた。ダラダラと血が垂れ、傷口から呪いによる侵食が始まる。


だが六樹は焼けるような痛みを耐えながらアングリッチを更に奥まで押し込んだ。


エスタ(剣に魔力をありったけ込めろ!!ここだ!!)


魔力を込めたアングリッチが淡い青色に発光しエスタが見つけた鱗の弱点に食い込んでいく、

ギリギリギリ、バキンッという音と共に遂に鱗を全て貫いた。


そして体の筋力の全力を込めて頭蓋骨にアングリッチを突き刺す。


「うおおおおおおおおおお!!!」


自然と出た叫び声と共に、全力を出す六樹。一方でハルゴスのブレスも準備が整いつつあった。


ブオンブオンブォンブォンブォンブォン!!!



そして、ズギン!!という音が響き、アングリッチがハルゴスの頭頂部に突き刺さった。しかし同時に ハルゴスは頭を突き上げ、六樹は宙を舞うそして、真下にはアングリッチが突き刺さったま空中の逃げられない的にブレスの狙いを定めたハルゴスがいた。


しかし、六樹は笑みを浮かべた。片目が潰され全身血まみれで今現在も逃げ場のない空中で至近距離からブレスをくらいそうになっている人間、そんな絶対的なピンチで不敵に笑う六樹を見てハルゴスは興味を持ったのか言葉をかけた。


「名ヲ、聞コウ」


「俺の名前は六樹亮!!お前の望みを叶えてやるよハルゴス!!、だから……今は、今だけは復讐は冷ましておけ!!」


そして、六樹はこう叫んだ


能力(スキル)!!()()()()()()()()!!!収納!!!俺たちの勝ちだ」


次の瞬間、ブレスを構えたハルゴスはシュッとその場から姿を消した。


アイテムボックスは植物以外の生物は収納出来ない、だが逆に言えば()()()()()()可能だという事だ、実際の六樹は猪に始まりさまざまな動物の死骸や食料品などを持ち運んでいる。しかし、アンデットの場合はどうなるのかがわからなかった。


そのため近くに沸いた雑魚アンデット達で試していたのだ。ついでに誘導しやすい角猪のアンデットだけを集めて衝突事故を起こしたりもした。


唯一懸念材料として、アイテムボックスの容量の問題がある。というのも最大で5m×5m×5mの合計125㎥までしか入らないためだ、だが、ハルゴスは当初想定していた落とし穴に落ちないほど軽く、骨しかない為に、体積は問題なしと判断したのだった。

そして結果としては幽閉する事に成功した訳だ。


ドサッと自由落下により地面に叩きつけられる六樹、そしてすぐ仰向けになり、満足感から空を見上げた。

そこには朝日が見え、先ほどまでの喧騒とは打って変わって、木々が風に軋む音や鳥の囀りが聞こえ始めた。それらはまるで六樹達を祝福しているようにも思えた。


「か、勝ったぁぁぁーーーーーーーー!!!!」


頭突きで吹き飛ばされたアンリが六樹の元に駆けつけて来た。


「リョウ!!やりましたね!!私達の勝ちです!!……!?、大丈夫ですか!?血まみれじゃないですか!!それに右目が!!すぐに治療します!!」


「だ、大丈夫…


と六樹は緊張が解けたのかぐたっと倒れ込んだ。全身に擦り傷や打撲があり右目は見えていない、呪いも2回くらった。だが、今六樹は充足感に満たされていた。アンリの心配する声が聞こえる。


「リョウ!?リョウ!!大丈夫ですか!?……全身ボロボロじゃないですか!?」


なんだかこんな場面に前も出くわした気がする。そんなことを考えながら六樹の意識は沈んでいった。


アルヒの町郊外にて発生したスケルトンドラゴンの脅威は、事態が深刻化する前に一人の冒険者による封印という形で幕を閉じる。

そして今回の戦闘における死者は幸いにも一人も出なかった。


スケルトンドラゴン戦、決着


というわけで決着です!この戦いは作品のプロットを練り始めた当初から入れたいと思っていたもので、他よりも長く、敵が悲しい過去を持つ人外で主人公やヒロインが大怪我を負うなどシリアスが多く、投稿していて楽しんでもらえているかビクビクしていましたが、面白いと思って貰えると幸いです。

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