表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/89

31話  袋の屍竜

スケルトンドラゴンが落とし穴に落ちた。ここからは第2ラウンドだ


スケルトンドラゴンの四肢が穴の底に着いた時、ジューーッという音と共に、まるで熱した鉄板の上にのせられたように苦しみ始めた。


「ギィェェェェ!!」


落とし穴の底や壁には清めの塩を塗り固めていたからだ、すかさず穴のへり部分を掴み這いあがろうと試みる。だが、上空にたくさんの箒に乗った魔法使いが現れた。そして一斉に唱える。


「「「「重力魔法(グラビティ)」」」」


ズンッと強烈な重量をかけられ穴の底に押し付けられた。スケルトンドラゴンは穴を登っての脱出は困難と判断したのか、すぐさま横壁に穴を掘ろうとする。だが、そこも清めの塩により固められておりうまく掘り進められない、もはや脱出困難と判断したスケルトンドラゴンは呪いの息吹を放とうとチャージを再開し始めた。

そこにキョウの号令が響く。


「堤を壊せ!!」


「「「おう!!!」」」


次の瞬間、待機していた冒険者達が近くの池に取り付けられていた堤を一斉に破壊した。そして池の水が流れる先には穴があり、それはトンネルとなっていた。水は地中のトンネルを進み、そのまま落とし穴に流れ込む。


「グアアーーーーー!!!」


ジュワーーー!!という音と共に湯気のような煙を立てながらスケルトンドラゴンが苦しみ始める。


大量に流れ込んだ水、それはただの水ではなく聖水だったのだ、スケルトンドラゴンの体は聖水に浸かりはじめる。そして、その身に纏っていた瘴気の鱗が消え去った。


「今が好奇!攻撃開始!!」


ダクトが魔法使い達に指示を出す。すると全員が一斉にそれぞれ魔法を放ち始め、魔法の一斉掃射が行われる。


ダゴン!バーンッ!ダダダダダ……!ドカン!


と様々な種類の魔法がスケルトンドラゴンに襲いかかった。


「まるで絨毯爆撃だな……」


六樹がそう呟く、しかしスケルトンドラゴンもただで喰らうわけではない、重力魔法が止んだ為に再び落とし穴のへりを掴んで這い上がろうとし始めた。


「頑張って用意したんだ、もうちょっとゆっくり浸かれよ!!」


落とし穴のへりを掴んだ爪をキョウが攻撃して再び穴に落とした。あらゆる選択肢を妨害されたスケルトンドラゴンの怒りの咆哮が響き渡る。


「グオオオオオオオオオオオ!!!」


「怒んなよ、成仏すりゃいいだろ?」


そうこうしている間に落とし穴は聖水で満タンになった、そこにダクトが号令をかかる。


「ここだ!!押し込め!!」


号令に反応した魔法使い達は更に集中砲火の密度を高めて攻撃する。その結果、スケルトンドラゴンは落とし穴の底に叩き付けられた。それを見たダクトは号令をかける。


「閉じ込めろ!!」


「「「「聖壁!!」」」」


それまで集中放火していた魔法使いや、アンリなどの直接対峙したメンバー、この魔法を使える全員が同じ呪文を唱えた。これによりコンクリートの壁のように分厚い聖壁が落とし穴に蓋をした。


「よし!このまま閉じ込まれば俺たちの勝ちだ!」


「確かにこのままいけば勝ちだが……気を抜くなよ」


喜ぶキョウに対してアバルは冷静だ、すると、待機していた銅級以下の前衛冒険者達が大きな鎖を持って集まり始めた。


「まずいな、思ったよりも早い」


ズーン!ズーン!ドゴッーン!!


とスケルトンドラゴンが聖壁に体当たりを始めた。分厚い光の壁はギシギシとヒビが入り始める。魔法使い達も全力で押さえ込んでいるようだがもうすぐ限界がくる。


「そろそろだな、来るぞ!頼んだお前ら!!」


「「「おう!任せとけ!!」」」


キョウの呼びかけに屈強な男たちが威勢よく返事する。聖壁はバリッバリッと音を立てて砕け始めた。そして……


ガッシャーンという音と共にスケルトンドラゴンの首が聖壁を砕いて現れた。そして飛び上がって外に出ようと試みる。


「「「ここだ!!」」」


だが次の瞬間、ガチャンッと四方八方から飛んできた鎖でスケルトンドラゴンが拘束される。


「お前は行かせねー!」「踏ん張れ!」「うおお!」


屈強な冒険者達は鎖を綱引きのように引っ張り落とし穴から出させない。対するスケルトンドラゴンはゆっくりと紫色の光が溢れ始めた。


「「「「口閉じろ!!」」」」


たが、ブレスを放つ口部分を鎖で雁字搦めにする。スケルトンドラゴンはもがくが男たちは絶対に離さない、そこに再び上空の魔法使い達の集中放火が加わった。


ドドドドドドドドンッ!!


更なる攻撃に晒されるが、


「こいつ、まだ諦めてない……」


六樹はそう呟く、スケルトンドラゴンの目はまだ執念に燃えている。そして


ブオン………ブオン……ブオン…ブォン、ブォン.ブォン

スケルトンドラゴンの骨の合間から紫色の光が漏れ始める。


「まずい!!来るぞ!!!」


「こいつ!!無理矢理打つつもりか!?」


「逃げろ!!」


その場の冒険者達が慌て始め軽くパニックになる。だがすぐさまキョウやダクトが指示を出す


「鎖は離すな!モロに食らうぞ!!引っ張ったままアバルの後ろに隠れろ!」


「防御魔法が使える者は各自展開するのだ!」


指示を受けて、アンリが周囲の冒険者を集め始めた。


「皆さん!私の後ろに!リョウ!あなたも早く!」


「分かった!」


アンリが聖壁を展開する。しかしいつもと違い、角度を付けて斜めに展開している、これは前回の反省を踏まえて力を正面から受け止めるのではなく受け流すための工夫だった。


「俺たちも離れるぞ!」「逃げなきゃ!!」

上空の箒に乗った魔法使い達も避難し始めた。


そして

ブォンブォンブォン……ビキビキビキバキバキ…………


ギイイイイイイイイイイイイイィィィィィィン!!!


明らかに異様な音を立てながらスケルトンドラゴンによる呪いの息吹(ブレス)が放たれた。


しかし今回のブレスはこれまでとは明らかに違った。


口を無理矢理閉ざされた状態であるため、骨の隙間から細い光線のようにブレスが全方向に乱射されたのだった。威力と引き換えに攻撃範囲を広げた一撃がその場の冒険者達に襲いかかった。



…………………


一瞬の沈黙の後、周囲は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。


「ぐわわぁ!!」「イタイイダイ!」「助けてくれ!!」 「脚がぁ!」 「ぎぐぐっ」 「ああぁ!」



想定外の乱射によってブレスが来るとは想定していなかった冒険者達がダメージを受けた。すぐさまキョウが現状把握に乗り出す。


「くそっ!被害はどれくらいだ!?」


「幸いにも死者はいません、でも前衛組は半壊です。」


「魔法組も似たようなものだ、すまない…」


アンリとダクトがすぐに報告した。


「動ける者は呪いを喰らった奴に聖水をかけて応急処置をしろ!それでも無理なら後方にいる神官達のとこへ連れて行け!!」


「「「「はい!」 」」」


「大丈夫か!?」 「動けるか?」「誰か聖水を!」


大きな被害を受けた冒険者達だったが、すぐに立て直しをはかる。


だが、短い時間ではあるものの、元凶から目を離した事をその場の全員が後悔した。


バッシャーンッという巨大な水飛沫を上げて、スケルトンドラゴンが落とし穴から飛び出てきたのだ


無理矢理ブレスを使ったためか、骨の隙間が焦げ付き自身にもダメージが入っているようだが、その姿は今だに健在だった。


そして勝利宣言のような咆哮を轟かせた


「グアアアアアアアアアアアァァァァーーー!!!」


その声が呪いと共鳴した。


「うあああーー」「いっ!いやぁ!」「やめてくれ!!」


呪いを受けた者たちは更にパニックに陥りジタバタと暴れ始めた。そして、咆哮の効果はそれだけではなかった。


ズボッ、ズボッ、と付近の地面から骨の手や足が地上に伸び始める。スケルトンが起き始めたのだ、それだけではない、近くにあった動物の屍骸もアンデット化してゾンビとして動き始めた。動物が多いが、棘獅子や角猪と思われる魔物の骨格もある。所々人間の骨のスケルトンも現れ始めた。


「おいおい…冗談キツイぜ…」


「これは予想外だったな」


キョウやアバルからも余裕が消える。だが、金等級冒険者はすぐに切り替えた。


「こっからはサブプランだ!!」


キョウがその場の全員に通達する。

スケルトンドラゴン戦第3ラウンドが始まった。


キャラ紹介

名前 アバル・シュハイガー

年齢 25歳

身長 190cm

容姿 強面 ガタイが良い 黒髪 筋肉ダルマ

ステータス 筋力A 魔力C 機動D+ 技術B 射程E

備考 港の町ポルトの金等級冒険者、非常に打たれ強く仲間のピンチに駆けつけられるだけの機動力も有する理想的な重タンク。キョウとは同じ仕事をした事で打ち解けている。アルヒの町の現状を聞き、二つ返事で増援に来てくれた人格者、苗字があるので身分が高いのかも。名前の由来は守るを意味する外国語のもじりから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ