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29話  増援と増強

今回は場面展開がかなり多めとなっております。

翌日の朝、六樹は朝食の際にアンリにこんな質問をした


「そういえば昨日教会で何やってたの?」


「昨日はですね、町中の神官が集まってスケルトンドラゴン対策に聖水や清めの塩を大量に作っていたんです。大忙しでしたよ」


「アンデット対策だよな?どれくらい効果があるもんなの?」


「物によってまちまちですが、強い力が込められた物ですと、アンデットにかけるだけで溶けるように成仏していきますよ」


「効果抜群って訳か…アイツにはどれくらい効くんだろ?」


「………正直よく分かりません。あの量の瘴気を纏って、それもドラゴン、あとはアレがどれだけの負の感情を抱いているのか……」


「負の感情が強い程、アンデットは強いって事?」


「その通りです。怨念がアンデットを強くします。しかし、ドラゴンがそんな感情を抱くというのは珍しいと思うんです。…」


考え込むアンリ、六樹は話の続きを促す。


「どういう事?ドラゴンは他の種と何が違うんだ?」


「というのも、ドラゴンは本来は誇り高き生き物です。もし死ぬとしても気高く討ち死にしたり、最期に何かをやり遂げたりと未練を残しません。アンデット化した事例なんていうのは私は聞いた事がない」


「じゃあ、よほどの理由があると?」


「はい、おそらく何かとんでもない怨念が残る程の最期を迎えたのだと思います。恐ろしい執念を見せるかもしれないので気をつけて下さいね」


アンリは六樹にそう忠告するのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


六樹とアンリがギルドに到着するとそこはいつもとは少し雰囲気が違った。

魔法使い達が集合してスキンヘッドの魔法使いが何やらレクチャーしているのも気になるが、さらに注目を集める光景があった。


そこには前衛職と思われる屈強な男たちや、支援職であろう小器用そうな冒険者達が普段の武器ではなく土木作業の道具を持って待機していた。


「なんかスコップ持ってる人がいっぱいいる。土木工事でもするのか?」


そんな六樹の独り言に答えを教えてくれる人物が現れた。グレースだ、彼女もまたスコップを持っている。


「おはよう二人とも、今の話はまさしくその通りだ、スケルトンドラゴンを落とし穴に落とす。その為の罠をこれから準備しに行くのさ」


「落とし穴に?そんな事出来るの?」


「その為にいろいろと準備してるんだよ、やってやるさ。これから詳しく説明されるだろうが君たち直接対峙するグループには誘導してもらう事になる。よろしく頼む」


グレースと話しているとギルドの奥から支部長と見たことがない大楯を担いだ男が現れた。


「なんか強そうな人が出てきた、誰だろ?」


「私は知りませんね」 「残念ながら私もだ」


どうやら二人も知らないらしい、他の人たちも面識がないのかその男に注目を集めた。すると支部長が説明を始めた。


「皆さん、彼はアバル・シュハイガー、金等級の冒険者です。港の町ポルトからはるばる増援としてお越しいただきました。それではアバルさんご挨拶をお願いします。」


「ご紹介に預かったアバルだ!不束者だがよろしく頼む!そして約束する!俺の手の届く範囲は誰も死なせない!」


頼り甲斐のある宣言に周囲は歓声を上げた、すると上の階からキョウが降りてきた。


「お!アバルじゃねーか!!待ってたぜ!!お前がいれば百人力だ!」


「久しぶりだなキョウ!頼りにしてるぞ」


どうやら面識があるらしい二人を他所に支部長が声をかける。


「皆さんそれでは移動してください!キョウ、現場での判断は貴方に一任します。危険は犯さずなるべく安全な場所で作業してください」


「了解!いざとなれば俺が囮として引きつけますよ!積もる話は後だアバル!ちょっくら仕事してくる」


「行ってこい、俺は他のメンバーと顔合わせがあるからな」


こうして土木作業組と、それを守る索敵や護衛のメンバーはギルドを出て行った。


すると今度はアバルが六樹達に話しかけてきた。いや正確にはアンリにだ


「君が銀等級の神官だね?話によると奴と直接戦闘したとか」


「はい、散々な結果でしたけどね……」


「だが、ダメージを通したのは事実だろう?相性の関係上、君が大きな役割を果たす事になると思う。よろしく頼む」


「はい、覚悟は出来ています。」


「勇ましいね、……隣の君は……もしかして前線に参加する鉄等級の冒険者かい?」


「はい、六樹亮といいます」


「話を聞いた時は正直不安だったが……なるほど、キョウの奴が指名したのも頷ける。期待してるよムツキ!だがヤバくなったらすぐ俺を呼べ、守りに入るから安心しろ」


そう逞しい笑顔でそう宣言するのだった。


エスタ(この男は強いぞ、信用しても構わない)

六樹(そうだな、頼り甲斐がありそうな大人だ)


六樹もエスタの意見に肯定する。生存率がグッと上昇したように感じた。


その後アバルと連携の練習と模擬戦闘を行った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ギルドでの用事が終わると六樹はすぐに武器屋に向かった、依頼の品を受け取るためだ。


「おっちゃん!出来たか!?」


「おっ来たな!!安心しろ!ちゃんと完成してある」


そう言って、鍛冶師は店の奥から注文の品を持ってきた。まずアングリッチを渡された


「めっちゃ綺麗になってる。新品みたいだ…」


「そうだろう、試しに魔力を込めてみろ」


六樹がアングリッチに魔力を注入してみる。初めてなのでぎこちなかったが刀身が淡い青色の光を帯びた。


「………綺麗だな」 


「じっくり育てていくんだぞ」


感嘆の声を漏らす六樹、鍛冶師も満足したようだ。


そして


「これがご注文のもう一つの品だ………」


鍛冶師が取り出したのは赤い刀身の短刀だ、鍔はなく長さは15センチほどだろうか、手に待ってみると意外と重く感じた。


「要望通り投擲用に作ってある。小さいがそれなりに強度があるから多少乱暴に使っても構わない、全部で12本、魔力を込めた状態で敵に突き刺すとしばらく麻痺させる事が出来る。……そうだ!名前だ!名前をつけてやれ!」


「名前かぁ〜、どうするか…」


「名前ってのは重要だぞ、それをつける事で愛着が湧いてきて、ただの武器から頼れる相棒になるんだ」


なるほど一理ある。実際ただの刀から付喪神にまでなったエスタが良い例と言えるだろう。


六樹は真剣に考えてみる。赤い短刀…紅、茜、朱色、緋色、短剣、小柄、手裏剣、暗器


「………よし決めた、緋色の影で緋影(ひかげ)」にしよう!」


「いい名前じゃねーか!間違えて自分に刺さないように気をつけろよ!」


「確かに笑えねーな!気をつけるとするよ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あばばばばばばばばばばばばばば……………」


麻痺した六樹がギルドの医務室で横になっている。


エスタ(イカれてんのかテメーは!?真っ先に自分で試すかよ!?)


エスタの罵倒が脳内に響き渡る。当然だ、六樹は緋影を自身に突き刺してその効果を身をもって試しているからだ


六樹はエスタに自身の行いの正当性を主張する。


六樹(投擲の練習でコツは掴んだし、あとは効果時間の確認が必要だろ?どのみち自分に刺した時の対処法も身につける必要があるし)


エスタ(確かにそうかもしれませんがお前の行動は虫みたいで怖いんだよ!なんていうか人間味がない!)


六樹(それたまに言われるんだよなぁ…まさか人以外からも言われる日が来るとは……)


そんなこんなで、なるべく魔力の操作に集中して麻痺を治す努力をしながら痺れが取れるまでの時間を測った。

あらかじめ医務室を使わせてもらう為に係の人には説明しておいたが、案の定というか白い目で見られた。


「よし!治った!時間は……1時間位かな」


六樹は近くに置いていた砂時計を確認した。


「対処法を知っててもこの時間なら本当の初見ならもっと時間がかかるかもな、逆にもっと早く治すやつもいるだろうし参考程度に考えておこう」


新武器の効力を確認した六樹は次は教会に向かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「リョウ!来ましたね!」


教会に着くとアンリが元気に迎えてくれる。

教会には六樹と同じ理由で他の冒険者もたくさん押し寄せていた。


「武器のお清め?に来たんだけど大丈夫?」


「はい勿論!武器を預かりますね」


六樹はアングリッチや緋影などの武器を渡す


「少し待っててくださいね」


アンリがそう言って教会の奥の方に向かって行った。


六樹を含めた冒険者達はスケルトンドラゴン戦に備えて武器をお清めしてもらっている。


方法はよく知らないがそれをしてもらう事で付け焼き刃ではあるものの聖属性的な何かが付与されてアンデット対策になるらしい。最も六樹はその辺りの事はアンリに言われた通りにしてるだけだが


教会のベンチのような長椅子に腰掛けていると、近くを通り掛かったプレテがこちらに気づいて話しかけてきた。


「こんにちはムツキさん、今日は武器のお清めですか?」


「はい、今アンリにやってもらってます。あの……討ち入りは明後日ですけど今日やってどの位の時間、効果が持つんですか?」


「アンデットに対しての効果は一週間程度ですね、効果は時間が経つにつれ薄れていきます。」


「じゃあなぜ今日行うんですか?明日や明後日の討ち入り直前の方が効果的じゃないんですか?」


「その理由は明日は魔力を回復させる為ですよ。明後日は多くの負傷者が出る恐れがあります。その為こちらも万全の状態で挑まなければいけません。それは魔法使いだけでなく私たち神官も同じです。」


「そうなんですね、考えが足りませんでした…」


「いえいえ、常に様々な事に疑問を持ち続け、更に良い方法を模索するのはあなたの美徳ですよ」


プレテとそんな話をしているとアンリが戻ってきた。


「終わりました。これで対策はバッチリですね!」


「ありがとアンリ!これで装備の準備は整った」


「明日は連携のおさらいと現地の下見、そしてコンディションを整えます。そして……」


「明後日の早朝、いよいよ開戦です!」


キャラ紹介

名前 香 (キョウ)

年齢 23歳

身長 185cm

容姿 男前な顔 しなやかな筋肉  茶髪

ステータス 筋力B+ 魔力D 機動A+ 技術S 射程C


備考 アルヒの町の冒険者ギルドのエースであり、金等級の冒険者であり一般家庭出身の野良強者。かつて金銭関係で詐欺にあった事があり、その際に助けてくれた支部長を尊敬している。以降、後輩などを気にかけ頼れる兄貴分であろうと努力している。カラッとした性格の槍使いというのは完全に作者の好み


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