表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

災厄と聖女と覚醒と②

 オレは王城で召喚された訳だけど(王様たちも召喚を見たいと言ったからだそうだ)、覚醒が神殿じゃないと出来ないなら神殿ですれば良かったのに、とも思う。つうか、居たのか王様。これが漫画だったら、きっと召喚の時のコマのコピーにココとかって矢印で差されてるんだろな、王様。

 まあ、馬車を使えばすぐの距離らしいからごちゃごちゃ言うのはよしておこう。外を見てみたい気もするし。


 オレが召喚された広間に、王子と戻る。広間がすごい事になってた。使用人(あ、侍従とか言うんだっけ?)の一人が、ニコニコと王子に報告するには『聖女様の歓迎パーティーの準備は整っております』とか何とか。急展開過ぎない? いつから準備してたんだよ。

「ああ、しかしもう暫く待ってくれ。覚醒の儀式を先にしてしまおうということになった。」

やんわりと王子が言う。うん、ありがとう。今から歓迎パーティーとか言われても、オレはついていけない。

「陛下には私から伝えるので大臣たちへは頼んだ。」

「王様から既にパーティー気分なのか…?」

「ふふ、そうですね。まずは陛下に報告をして枢機卿を探しましょうか。」

なんだろうなあ、この意味深な笑み? っての? 不安にしかならない。いや、おっさんとかじいさん達は、ホントに歓迎してくれてるんだろうけどな、あのテンション、全員が演技だったら起だったらそれはそれでこの国が怖いしな。


 ある意味、なすがままって感じで王子の後についていく。向かう先は王様の居る、広間の奥まった場所にある玉座。多分、まじめな顔をしていれば渋いおじ様って感じなんじゃないかっていう、おっさんが座っている。王冠も王笏も台無しなくらい、顔がにやけている。初孫を見る爺さんみたいな顔だ。王様にはもっとキリっとしていて欲しいのは、オレだけじゃないはず。でも、周りを見たらほとんど初孫にメロメロな爺さんばっかりだった。この国、戦の災厄なんか来ないんじゃないか?


「我が国はあなたを歓迎します、聖女よ。」

うん。キリっとした顔で(2回目)言って欲しかった。そんなにでれっとされても、オレ困るわー。王子はそんな調子の王様を気にも留めず(いや、親子だよな? オレだったら、自分の父親がこんな顔してたら引くわ。ある意味すごい。)、報告をする。聖女(オレ)に簡単に状況を説明し協力してもらえるようになったこと、まずは教会で覚醒をすることになったと。

「歓迎パーティーは覚醒後で良いのではないでしょうか? 神殿まで馬車を使えばさほど時間もかかりませんし、覚醒の儀も何時間もかかるものではありません。」

「う、うむ…」

王様はなんだか渋っている。…これはあれかな? お祭り騒ぎが好きな国民性とかなのか?

「聖女様もここに来たばかりで、本当に災厄に対処できるか不安なようです。不安なまま周囲が期待をかけてもプレッシャーになるだけでは? 覚醒して能力を自覚だけでもしていただいた方が、聖女様もパーティーを楽しめるのではないかと。」

王子がつらつらと言葉を並べて王様を説得している。王子の方が有能なんじゃないのか?

「それもそうだな。枢機卿を呼べ。」

溜息の後に、王様は傍に控えていた側近にそう指示をした。うん、ここでごり押しされなくて良かった。王様にも理性はあるみたいで安心したぜ。


「クローヴィス枢機卿を探す手間が省けましたね。」

こそっと王子がオレに囁いた。

「そう、だな。その枢機卿が来たらどうするんだ?」

「枢機卿が儀式をするので、一緒に神殿に行きます。」

「そうか。」

で、覚醒して、城に戻ってどんちゃん騒ぎ… か。この国、ホントに危機が迫ってんのかな。オレは周囲をこっそり観察しながらそんなことを考えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ