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本と進めよ、転生者!  作者: テクテク
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3.村です

……着いたんですが。

いや、なんだかんだ言ってたら本当に着いたんですよ、

村に。しかも……

 


「珍しいのぉ。こんな小さな小さな村に旅人さんが来るとは…長生きしておいてよかったわい!もしかしてお腹がすいているのかい?………そうかいそうかい!ささ、お粥用意するからお食べ。」



めっちゃ歓迎されました。考える限り、かなりの高待遇で。


何故こうなったか、話少し前に遡りますと…

村の前でマゴマゴしていた。村長さんが気づいて話しかけてくれた。村長さんの家に通された。料理用意してくれた。以上です!



うんうん。トントン拍子に話が進んでくれて何よりです。

最初はノコノコついていっていいか疑いもしたんですが、ちょこっと運動不足の影響(当社比)が出ましたので、脳死でついってった、というわけです。

1時間近く歩いたんですから、それは疲れますよ。

2キロも歩いたんですから、何も考えられなくなりますよ。


ちなみにですが、お腹すいたとは一言も言ってません。村長さんのご好意を無駄にするわけにはいかない!その使命感のもと、食べているだけです。ええ。それだけです。

卵が入っていてふにふにしてて、ほんのり味付けされてて、凄く口が動く料理なだけです。優しいお味。



そうやって口がもぐもぐ動いていたら、村長さん、私に頼み事があるそうな。

……まぁ、大丈夫でしょう。こんなに親切な村長さんですから。



「頼む……。魔王を討伐してはくれぬか…?」





なんとおっしゃいました…?




いや、確かに料理いただきましたよ!!食べました!

はっきり言って美味しかったです!


でもこの流れは期待をいい意味で裏切るパターンでしょう……。




よし、冷静に考えましょうか。今までの出会いを振り返りましょう。

本は論外。

スライムだって強かったけど、いつのまにか居なくなってましたね。可愛かったです。

村長さんは………ごく普通ですね。助けるかわりに別の面で助けてもらう姿勢。相互の協力、美しい関係。



…………こりゃ仕方ない。

というかまず魔王いるんですか……。

本の言ってた教会、働いてませんね、なんて怠惰なんでしょう。

怠け者教会に代わって、このごく普通の、ごくごく普通の一般ピーポーが解決しなければならない、そんな状況になってるんですから。




……というかこの状況、利用できるんじゃないですか?

まずは魔王の事を聞きつつ、周りの地形を把握します。そして、了承したら、怠け者教会に情報を流せば特に問題ないでしょう。これで討伐すれば怠け者の称号外せますよ、教会。

それに確かに、討伐してほしいとは言われましたが、決して私が討伐しなければならないって訳ではないので。

それにほら、素人よりプロに任せる方が安心でしょう。

普通にwin-winですね。

私、なんで賢いんでしょう!


もちろんこの村長さんに恩は感じていますので、情報の受け渡し、きちんと努めて見せますもの、ええ。



パラパラ…………

それさ、人としてどうなの。

いやまぁ、まあまあ正論だけどさ。

討伐と情報受け渡しって全然違うじゃん。

それに情報くらい、とっくに提供してるでしょ。

パタン………。



どうやらこの本は寝言を言っていますね。

ほらほら、布団ですよー。

村長が用意してくれた布団に爆弾敷き詰めてねんねの時間ですよー。

………やだな、本気でやるわけないじゃないですか!決して村ごと爆破とか考えてないですよ?

ちゃんと私逃げますもの。え、逃げるのは私だけですよ。



あと、教会に情報提供されてることくらい、流石に想定済みですよ。

「め」から始まって、「い」終わる6文字が自分の中にあったので、適当な理由を自分なりに考えただけですよ。





さてさて、リラックスしたところで情報集め開始です。




「えっと………。魔王ってどんな存在なのですか?どんな被害にあわれてるのでしょうか?」




村長さんは、その言葉を聞いて肩をプルプルと言わせて…一枚の写真を見せてくれたのですが……



………これは確かにどうやって倒せば良いのでしょうか。そんな事できるはずがないですよね。倒せる想像が全く付きません。なぜなら………






あまりにも可愛らしいもふもふで、抱っこしたら凄くふわふわになりそう、というかきっとなるでしょう。手も足もちょびちょび生えてて触ったらプニプニしてそうです。

抱いて寝たら最高そうな、クッションサイズのおめめくりくりもふもふが写っていたのですから。




…………これ倒したらいじめになるんじゃないですか……?なんで倒さないといけないんですか…!!


写真をじっと見つめたまま動かない私に対して、

村長さんの話は続きます。



「この魔王は、酷いものでな……。お腹が空いて倒れておるものに対して、自分の腕を引きちぎって与えるという、とんでもないことをしたのじゃよ…。腕をもらったものは、空腹は改善されたんじゃが、精神的に落ち込んでしまうたわい。」




……なんと言えばいいのでしょうか。

凄くいい事をしているとも言えますし、残酷な事をしているとも言えます。




助ける事はいい事ですけど、完全に自分を蔑ろにした行為ですよね。それにこんな可愛いもふもふが腕を引きちぎる…。なんて恐ろしい光景なのでしょう。

確かにこれは、魔王と呼んでふさわしいもふもふです。


そんなこんな考えてる間にも、村長さんの話は続きます。



「教会の方々に討伐を頼もうとしたのじゃが、討伐の必要性なしと言われて門前払いを受けての…。村の者も動こうとせんし、最早貴方にしか頼めぬのじゃ…!!」



あ、分かりました。これ損です。

汚れ役やれって言われてんです。

後、怠け者教会確定です。


………ふざけてるんですかねー!?!?

精神的に落ち込むものがいるから、討伐しようって考えてるんですか!?どんな人生観なんです!?

人生少しでもやな事あったら排除するタイプなんですかー!?




はぁ………。


…………でもま、確かに自分を蔑ろにするのは見てられませんがね…。


一応討伐方法だけ聞いておきましょう。

それで決めてあげます。


「討伐方法はの、魔王を魔王城から出す事じゃ。

…………引き受けてはくれぬか?」



…………………

簡単そうなので、引き受けてあげます。

もう疲れたので、ツッコみませんよ。









パラパラパラ………

なんで引き受けちゃうのー!?

ほっとけばいいじゃん!!

困ってなさそうな雰囲気だったでしょ!?

というかまず本開け!!読めー!!

こんな必死に止めてんのに!

…もうどうなっても知らなーい。 

パタン……





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