叫びの雄牛
重さが消えたその時なぜか僕は、この世の疎外感を重荷の代わりに感じてしまった。
その後、何かを確認しに彼女が来たのを覚えている。
僕を認識できるはずの場所から、明らか僕ではなく、僕の斜め下を見つめていた、そこでなぜか「ここにいます」とは錆びついてしまったようで言えました。
視線を辿ると僕がいた。
正確には死んだ僕がいた。
人間死んでしまったらみな同じとはいうけれどやっぱり違う。
経験者の僕が言うんだから間違いない。
ドッペルゲンガーにあってしまったみたいで異常な気持ち悪さだった。
それだけで深すぎる衝撃だったのに、彼女は徐に携帯を取り出しどこかに電話をし始めたかと思うと僕は会話のすべてが聞き取れたわけではなかったがこの言葉だけは聞き取れた「私の友人青峰 司が遺書を書いた状態で死んでいる」僕は青緑に錆び切った銅を深黒い海に落とされた気分になった。
その時何となく、分かりたくもない状況が分かった
思い出を牛より多く反芻した。
わからなかった全てが、
やがて少し時が経ち警察が入ってきた。
そこで繰り広げられる会話は、フランス語の授業の講義より理解できないのに全然眠くはならなかった、悪魔に耳をあげたい気持ちになった。
何を思ったのか反射的に、彼女の部屋から外に出てマンションの五階から、言の葉にはならない叫びを打ち上げた。
「むうあええうぇああああ」