幽霊となって、視ることにした。
僕は死んでしまった、余りに儚く。
海に溶ける泡みたく、自分がどのように死んだかもわからず儚く。
死ぬまでの20年そこそこ楽しかった。
そんな僕にも、後悔があった、
だから幽霊になった。
僕には、赤西 公子という彼女がいた。
別に彼女のことが好きすぎて幽霊となって現世に残るとかそういう青いことではない。
むしろその逆で
僕、青峰 司を殺した犯人と疑っているのだ。
彼女を疑ったのにも理由があった
第一に僕はいたって健康だったと自分では思っている。この点に関しては唯一間違いかもしれない。
第二に僕が死んだその日にあったのは彼女だけ、ほかの人には誰にも教えてない。
第三に僕は殺された瞬間を認識していない、
第四に彼女の家で眠っている間に僕は死んだ
第五にこれは死んでから知ったことだが僕は自殺として世間から抹消された。
こう聞くと恨み節に聞こえるかもしれないが、別に恨んでないこれは至って強がりではない。
もしも、もしも僕を殺したならばその理由が知りたかった。
ヘタを付けたらリンゴにも見える髪型に、桃のように赤みがかった頬とアクリルガッシュを原色でそのままぶちまけた感じの真紅の唇を持つ彼女が、美しいあの人が何を思って殺ったのかを知りたかった。
あの人の澄んだ赤さを中まで拝見したいと思った。
それでせめて、僕を殺すに値する理由が知りたかった。
ただそれだけだった、
・・・・・・・
・・・・・・・
僕が殺された日の次の朝独特すぎる感覚に襲われた。
まるで、夢の中で高いところから落ちたみたいな浮遊感を感じたのち、恐怖から足をばたつかせていると
目覚めが来て起きてみると自分にあるはずだったものがなくなっていた。
いや正確には、世界にある筈のものが
重さだ。