ウィリアムの事情 積み込むまで
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かつて 俺は 大精霊の一人と契約した。
だから 召喚の間を走り回っている裸の女が人間であるということは分かった。
こちらの常識とは かけ離れた行動しかしていない女だが、その気配は人間であるし、その外見は紛れもなく女だ。
はっきり言って 素っ裸で部屋を駆け回る女を見たのは生まれて初めてだ。
普通は うずくまって体を隠そうとするものではないのか??
要領の良いメサイアは、俺と女が言い争っている間にこっそりと抜け出して
服を持って駆け込んできやがった。
しかしまあ 私としても裸でおびえ切った女性といつまでも同じ部屋に居るのは好ましくないと思ったので、というかおびえて虚勢を張る女への対処の仕方などわからなかったので、おとなしくメサイアに押し出されて部屋を出ることにした。
私が女とやりあっている間に、部下たちは 儀式の間にいた魔術師どもをはじめとして
建物内に居る人間をすべて逮捕していた。メサイアとアメリアを除いて。
実のところ アメリアは巫女に扮して召喚の間にいたのだ。
私は部下たちと連絡をとりあい、塔の中に移動した女の元に急行した。
メサイアやアメリアに先駆けて 女を私の城に連れていくために。
一方メサイアも女を塔の中の閉じ込めたあと、他の神官と連絡をとろうと建物の外にでてきた。
そこを私の部下が捕まえた。
私が 女の部屋に入れてもらうこともできずにいる間に、
侍女服に着替えたアメリアが割り込んできた。
こうなれば 力づくで女をさらうかと思ったが
女は おとなしく私とともに馬車にのってくれた。
やれやれ。
馬車の中で 泣きそうな顔をした女から「恥辱だ」と訴えらえたときは
正直驚いた。
異世界の人間の反応は わけがわからん。
しかし 情緒的には 私たちと同じなのかもしれない。よくわからないが。
そういえば この女の名前をまだ聞いてなかった。
塔の中に残してきたアメリアは 私の部下が逮捕したと報告を受けている。
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